睡眠の質を改善!朝までぐっすり寝る方法とは?

人間にとって睡眠は必要不可欠です。人生の4分の1は睡眠時間に充てられているとされ、年数換算すると約20年です。睡眠が人生の多くを占めていることからも睡眠の大切さがわかりますね。

人生の質は、適切な睡眠をとれているかで大きく変化するといっても過言ではありません。そこで今回は、睡眠をきちんととることのメリットと朝までぐっすり寝るためのコツ、試してもらいたい睡眠法について解説していきます。

執筆者

jyun_kanoさん

大学・大学院にて心理学を専攻し、臨床心理士と公認心理師の資格を保有しています。2児の父であり、子育てに関することから職場でのストレスの対応方法など、日常生活に応用できる心理学をわかりやすく解説していきます。

目次

朝までぐっすり寝るメリットとは?

質の高い睡眠をとることで得られる効果はたくさんありますが、今回は代表的なものを3つ紹介していきます。

頭がすっきりして仕事の質が上がる

ぐっすりと眠ることで、脳と身体を休めることができるため、頭がすっきりし、仕事や勉強の質が上がるといわれています。

睡眠中は起きているときと比べ、脳の水分量を調節する脳脊髄液の流れる隙間が60%ほど広くなっているそうです。このため脳の老廃物が洗い流されやすく、すっきりした気分になれるのだそう。

また、睡眠時に起きている際に記憶したことが整理・定着が行われるため、仕事をスムーズに進めたり、効率的な働き方をすることができるといわれています。

身体の調子が整って健康的になる

睡眠中は体内の疲労を回復する成長ホルモンが多く分泌されることで、疲れが取れたり、ストレスなどの外的要因によって損傷されていた部分が修復されたりして、身体が健康的な状態になります。

同時に、日中緊張して張りつめていた筋肉も弛緩してリラックス状態になります。この状態が数時間続くことで私たちの体はしっかり休むことができ、私たちの体は活動することができるのです。

メンタルが向上して積極的になれる

人間には交感神経と副交感神経からなる自律神経というものがあります。この自律神経のバランスが崩れると、お風呂に入ったり友だちと楽しく話しているときに緊張したり心臓がドキドキしてしたり、逆に仕事中や試験の際に眠くなったり気が抜けたりしてしまいます。

このような状態が続くと精神的に不安定になり、怒りっぽくなったり、突然涙があふれたりするといった状態になる可能性がありますが、しっかりと睡眠をとることで自律神経のバランスを整えられ、メンタルが安定し、様々なことに積極的に取り組めるようになります。

朝までぐっすり寝るためのコツ

ぐっすりと寝ることは意外と難しいものです。夜中に起きてしまったり、早朝に目覚めてしまったりしたという経験がある方も多いのではないでしょうか。

ここでは、朝まで質の高い睡眠を続けるコツを紹介していきます。

規則正しい生活をする

人間には体内時計があり、朝日を浴びてから15時間以上経つと自然と眠くなるようにできています。適切な睡眠時間は個人差がありますが、約7〜8時間であるとされているため、起きる時間から逆算して寝るようにしましょう。

起床後はすぐに太陽の光を浴び、夜更かしせずに寝るなど、則正しい生活を心がけることが重要です。

忙しい方は週のなかで体内時計をリセットする曜日を決めて、少なくともその日だけは規則正しい生活を送れるように意識できるといいですね。

就寝直前の飲食を避ける

食事のタイミングも重要です。寝る直前に食事をとってしまうと胃や腸が活発に働いてしまい、睡眠中にも動き続けるため睡眠に質が下がるといわれています。

また、寝る前に大量の水分を摂取すると夜中にトイレに行き、せっかく長い睡眠時間を確保できていても眠りが中断され、十分な量の睡眠をとることができなくなってしまいます。

就寝の2〜3時間前は、できるだけ飲食は避けましょう。どうしてもおなかがすいてしまったらホットココアを飲んだり、消化のよいおかゆを食べるなどして、胃腸に負担をかけないようにします。

就寝前にブルーライトを浴びない

スマートフォンやパソコンから発せられるブルーライトや照明の光を就寝前や夜中に大量に浴びてしまうと、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が阻害されてしまいます。メラトニン量が少ないと人間の脳は「今は日中である」と勘違いしてしまい、体内時計が後ろにずれ込み、眠くなる時間が遅くなり、結果として睡眠不足になってしまうのです。

少なくとも寝る2時間前からは、ブルーライトを浴びないように心がけてください。本を読んだり家族と話をするなど、落ちついた時間を過ごすことで自然と眠くなってくるようにしましょう。

就寝1時間前に入浴する

入浴はリラックス効果があり、睡眠の質を改善することができます。忙しいとついついシャワーで済ませてしまいたくなりますが、疲れているときこそ湯船につかることが重要です。

この際、熱めのお風呂は逆効果となります。熱いお風呂につかることで交感神経が優位になり、興奮状態になってしまうからです。40℃程度のお風呂に15分ほどゆっくりつかることで副交感神経を刺激し、リラックスするようにしましょう。

また入浴をすると体温が上がりますが、体温は上がった分だけ下がろうとする性質があり、体温が下がってくると眠気を感じやすくなります。入浴後1時間程度で眠るのに適した体温になるため、就寝の1時間前には入浴を済ませておきましょう。

自分に合った寝具を用意する

寝具によっても睡眠の質は左右されます。枕の硬さやマットレス・掛け布団の大きさが体に合っていないと寝心地の悪さを感じやすく、睡眠の質が下がります。

最近は枕やマットレスを手軽にオーダーメイドできるため、それを利用するのも良いでしょう。どの高さ・硬さが自分に合っているのか、横になった際にどの程度楽なのかを体感することで、自分に合った寝具の大切さを実感できます。

寝室の明るさや温度を調節する

寝室の環境は睡眠に対して大きな影響を与えます。特に「光」「音」「温度・湿度」の3つのうちどれか1つでも損なわれると、睡眠の質は大きく低下してしまいます。

光に関してはブルーライトの部分で解説した通り、メラトニンの分泌が抑えられ眠りにくくなってしまいます。夏場に関しては早朝から強い朝日が注ぎ目覚めてしまう場合もありますので、光をシャットアウトする遮光カーテンや遮光シートで対策するようにしましょう。

外からの騒音や屋内からの生活音も睡眠の妨げになります。厚手のカーテンとレースカーテンの二重掛けにする、内窓を設置して二重サッシにするなどして、外部からの音の影響をできるだけ小さくしましょう。家族にお願いして、寝ている時間帯の生活音をできるだけ小さくしてもらう、可能なら生活音が響きにくい部屋に変えてもらうといった工夫も有効です。

温度に関しては夏場は25℃、冬場は17℃前後が理想的とされ、湿度は1年を通して50%程度が睡眠に適しているといわれています。季節にあわせてエアコンで室温をコントロールし、加湿器や除湿器をうまく使いながら適度な湿度にしていきましょう。

こんなリラックス方も人気

以上のコツ以外にも、リラックス状態を作り出すことで寝つきをよくしたり、夜深い睡眠ができるようになる方法があります。代表的なものを4つ紹介していきます。どれも手軽にできるものばかりですので、取り入れてみてはいかがでしょうか。

アロマ

手軽なリラックス方法として人気が高いアロマ。。特にラベンダーやカモミール、ヒノキの香りにはリラックス効果、ストレス低減効果があるとされ、副交感神経を刺激して心地よい状態で眠りにつくことができます。

タイマー付きのアロマディフューザーを使用すれば、アロマの匂いに包まれながら安心して眠ることができるでしょう。

音楽

寝る際にいろいろと考えごとをしてしまう人は、音楽をかけることで雑念が取り払われ、穏やかな気持ちで眠ることができるかもしれません。

特に、川のせせらぎや波の音などの自然音はおすすめです。自然の音には人間の気分を安定させる「1/fゆらぎ」と呼ばれるリズムがあり、このリズムを聞くことで脳がリラックスし眠りにつきやすくなるといわれています。

ツボ押し

ツボ押しも人気です。ツボを刺激することで対応した体の部位に刺激が伝わり、不調が改善されて睡眠の質が向上するとされています。人差し指と中指の付け根の間の少し下の部分である「労宮」やかかとの真ん中にある「失眠」のツボを押すと効果があるそうです。

ツボ押しの際には薄暗くした部屋で10回程度、気持ちい程度の力で刺激してあげるとより効果的です。なお、睡眠改善のツボはほかにもいくつかあります。ぜひいろいろ調べて、試してみましょう。

ヨガ

深い呼吸や体をほぐすポーズが睡眠の質を高めると言われているのがヨガです。。ヨガは腹式呼吸で行われるため、深く息を吐き出すことで副交感神経が刺激され、心身ともにリラックスすることができます。

よりよい睡眠のためには運動も欠かせませんが、いきなりハードな運動をするのはハードルが高いですし、そんな時間がないという方も多いでしょう。そのような方にも、身体への負担が少なく、短時間でできるヨガはおすすめです。

ぜひ試してみたい話題の睡眠法

睡眠の質を上げる方法として「睡眠法」というものがあります。ここでは最近話題の睡眠法を3つ紹介します。

アリス式睡眠法

1つ目がアリス式睡眠法です。アリス式睡眠法は準備や道具が必要ないので寝るときにすぐに始めることができる睡眠法です。

アリス式睡眠法のやり方は次の通りです。

  1. 布団の上に座ってあぐらをかく

リラックスして身体を動かさないようにしましょう。

  1. 目を閉じて寝るときのようにゆっくりと呼吸をする

意識的に呼吸をしましょう。このときは何も考えてはいけません。

  1. 頭の中に浮かんできた映像をぼーっと見続ける

自然と頭の中に映像が浮かんできます。目を閉じたまま何も考えず映像を見続けましょう。

  1. ウトウトしてきたたら横になる

眠くなってきたら静かに布団に入りましょう。布団に入っても眠れないときは1からもう一度やり直しましょう。

アリス式睡眠法では10分以内に眠れるとSNSで話題になっています。

はじめのうちは何も考えず頭に浮かんだ映像を見続けることが難しく、「早く寝なきゃ」「本当に寝れるのかな」といった考えが浮かんできてしまいますが、回数を重ねることで無意識でぼーっとすることができるようになり、アリス式睡眠法の精度が高まってきますので、繰り返し試してみてください。

米軍式睡眠法

2つ目は米軍式睡眠法です。第二次世界大戦中のアメリカ海軍で開発された睡眠導入方法で、戦場というきわめてストレスの高い状況であってもすぐに寝付け、質の高い睡眠をとることができるとされています。

米軍式睡眠法のやり方は次の通りです。

  1. 布団の中に入り仰向けになり、手のひらを上に向け、足を少し開き、目を閉じます。
  2. 手足を丸め、一度ギューッと全身(顔の筋肉から足先にいたるまですべて)に力を入れながら息を吐きます。その後大きく息を吸いながら全身の力を抜いていき、吐く息とともに更に力をゆるめていきます。このあと部位ごとに力を抜いていくので力を抜きすぎないように注意してください。
  3. 一度自然な呼吸に戻し、一呼吸吐く度に、眉間、こめかみ、眼球、口元、首の力を抜いていきます。このとき頭が地面に沈んでいくような感覚になります。
  4. 首、肩、ひじ、手首、指先の順に呼吸に合わせゆっくりと力を抜いていきます。一呼吸したら、次は肩甲骨、腰、脚の付け根と力を抜き…骨盤をゆるめ、ひざ、足首、足先と力を抜いていきます。
  5. 全身の力を抜いたら、静かで穏やかな場所をイメージし、息を吐く度に全身の力を地に沈めていきます。これらの動作を10分ほどかけて行っていきます。

4・7・8呼吸法

3つ目は4・7・8呼吸法です。アリゾナ大学のアンドリュー・ワイル博士が開発した睡眠法で、古代の瞑想と呼吸法を参考に考案されました。最初の数回は眠りにつくまで60秒以上かかりますが、実践していくうちに効果が高まるとされています。

4・7・8呼吸法のやり方は次の通りです。

  1. 楽な姿勢(仰向けが推奨されています)をとり、体の力を抜きます。
  2. 次に4秒間、鼻から静かに息を吸います。
  3. 息を止めて7秒数えます。
  4. 最後に8秒間、口からフーッと音を立てて息を吐きます。

このサイクルを最大4回繰り返します。

この呼吸法を実践することで、呼吸に意識が向けられるため余計なことを考えなくなるだけでなく、リラックス感を高め、不安感を軽減する効果があるとされています。

慣れないうちは多くとも1日8回くらいが適切とされており、何度もやりすぎないようにしましょう。ただし横隔膜の使い方が不十分だと過呼吸のような状態に陥る可能性があるため、気持ちよい範囲でとどめておきましょう。

まとめ

今回は睡眠の質を上げることによるメリットと朝までぐっすり寝るコツ、人気のリラックス方法と睡眠法を解説してきました。

睡眠は忙しい現代人からはないがしろにされやすいですが、人生の質を向上させるのに必要不可欠な要素です。今の生活に満足していない方や自分自身を変えたいと思っている方は、まずは睡眠への意識や睡眠環境を変えてみるのはいかがでしょうか。いきなりすべてを変えることは難しいので、できるところから少しずつ変えていくことで、無理なく睡眠の質を高めることができます。

今回の記事が参考となり、ご自身の睡眠のあり方を振り返り、みなさまの人生がよりよいものとなる一助になれば幸いです。

40代50代のお悩み” は専門家に相談しよう「悩ミカタ相談室」

SNSシェア
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!