精神不安定なときに心が落ち着く8つの方法。原因や病気との関連も解説

現代社会の中で、ストレスやプレッシャーは多くの人々にとって避けられない存在となっています。そして、その影響から「情緒不安定」を感じる方も増えているようです。そこで今回は、そもそも情緒不安定とはどのような状態を指すのか、どのような要因がそれを引き起こしているのか、心を安定させるためにどんな対処法があるのかについてご紹介します。日常生活の中でのストレス管理や心のケアにお役立ていただければと思います。

執筆者

藤原美保さん

公認心理師、介護福祉士、保育士、健康運動指導士の資格保有、療育支援に携わること20年以上。

放課後等デイサービスを運営する中で発達障害児童、そのご家族の悩みも含め相談やカウンセリング対応を10年以上行う。自己肯定感が低い、親から虐待を受けた過去に悩む方からの相談なども多数対応。

これまでに、『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』(エッセンシャル出版社)、『発達障害の女の子の「自立」のために親としてできること 』(PHP研究所)と2冊の本を執筆。現在も出版に向け本の執筆をつづけている中、子育てのポータルサイトにて発達障害の子の子育てコラムを連載中。

目次

情緒不安定とはどういう状態か

「情緒不安定」とは、感情のコントロールが難しい状態を指します。情緒不安定な状態では、イライラや不安、悲しみといった感情が予測不能に現れ、些細なことに対しても過剰に反応してしまうことがあります。これによって、人間関係や日常生活に支障をきたすことが多く、周囲との関係も悪化しやすい傾向があります。
特に40代、50代の人は、生活環境や身体の変化が重なることで情緒不安定に陥りやすい傾向があります。この年代になると、仕事や家庭での責任が増え、心身ともに疲労が溜まりやすくなることが影響しています。また、更年期の始まりやホルモンバランスの変化も、情緒不安定の一因です。

例えば、職場での人間関係がうまくいかない、子どもの独立や親の介護といったライフイベントが重なると、それが精神的な負担となり、不安やイライラを抱え込みやすくなります。また、睡眠不足や運動不足が原因で気分が落ち込みやすくなることもあります。こうした状況が続くと、些細なことでも感情が高ぶり、怒りや悲しみが一気に溢れ出すなど、自分ではコントロールしにくい状態に陥ることもあります。

40代、50代の方が情緒不安定を感じたときは、原因を自覚し、気持ちを整理する時間を取ることが大切です。

精神状態が不安定になる原因とは?

大きく「外的要因」と「内的要因」に分けられますが、外的要因によって内的な要因に結びつくことはあります。

外的要因

環境や人間関係の問題

職場や家庭でのストレスは、精神状態に大きな影響を与えることがあります。職場での人間関係のトラブルや家庭内での様々な問題などは、精神的な不安定さを引き起こす大きな要因です。人間関係が悪化すると、孤立感や自己否定感が増し、心のバランスが崩れやすくなります。

内的要因

遺伝的要因や生物学的要因

精神状態は、遺伝的な要因や脳内の化学物質(セロトニンやドーパミンなど)のバランスにも影響されます。例えば、うつ病や双極性障害などは遺伝的な傾向があるとされており、脳内の神経伝達物質の不均衡が情緒不安定に関係しています。

身体の健康状態

慢性的な痛みや病気、ホルモンの変動(特に女性の月経周期、更年期)も精神状態に影響を与えます。また、睡眠不足や栄養不足も脳の働きに悪影響を及ぼし、情緒が不安定になる原因となることが知られています。
さらに、自律神経の乱れは精神状態に直接的な影響を与えます。交感神経が優位になりすぎるとリラックスが難しくなり、常に緊張状態が続くため、感情が不安定になりやすくなります。

トラウマや過去の経験

過去に経験したトラウマや心理的な傷が心の中に残っている場合、それが引き金となり、これらの要因が複合的に絡み合うことで、日常の些細な出来事にも過剰に反応することがあり、精神的なバランスが崩れやすくなります。

すぐにできる、不安定な心を落ち着かせる方法とは?

目をつむりゆっくり呼吸をする

イライラして精神が落ち着かない理由の一つに情報過多があります。自分の感覚をリセットするために目を閉じてゆっくり呼吸をしましょう。数を数えながら呼吸することで呼吸に集中しやすくなります。

体を温める

緊張で身体が硬くなっている場合に、温かいタオルで肩や首を温めるのもおすすめです。

スマホやデジタルデトックスの時間を設ける

情報過多やSNSからの刺激は心を不安定にすることが多いので、毎日決まった時間だけでもスマホやデバイスから離れる時間を作りましょう。気持ちがリフレッシュします。

その場から離れる

イライラしたり精神的に不安定になっている時は、その場から物理的に離れましょう。外に出て公園を散歩したり、ベランダや窓から外の景色を見るだけでも気持ちを切り替えることができます。

書き出す

最初は何を書いてよいか分からないかもしれません。そんな時は今日外で見た気になったものを書いてみるだけでもOKです。書き出すことで、自分の意識が向くものが何なのか気づくことができます。

日常生活のなかでできる、心を落ち着かせる方法とは?

運動

私が一番におすすめするのは身体を動かすことです。特におすすめは、激しい運動ではなく歩く、ストレッチ、ヨガといった呼吸を意識できるものです。例えば自然がある公園などを、散歩してみると気持ちが不思議と落ち着くものです。五感をフルに使ってどんなものが見えるか、どんな匂いがするか?といったことに意識を向けることも有効です。

運動に時間を取ることが難しければ、家の中でのストレッチやヨガなどもいいでしょう。自律神経のバランスが乱れている人は、身体が緊張状態にあることが多いもの。それにより上手くリラックスすることができないため、筋肉が固まりやすくなります。
意識的に筋肉をほぐすストレッチや呼吸法を伴ったヨガをすることで自分の身体に意識が向けられ、筋肉がほぐれることで身体の血行が良くなり代謝も高まります。血行が良くなることはリラックス効果をもたらします。

腸内環境を整える

腸と脳は「腸脳相関」と呼ばれる密接なつながりを持っており、腸内の状態が脳の働きや気分に影響を及ぼすことが分かってきています。特に、腸内細菌のバランスが精神的な安定に重要な役割を果たすことが研究によって示されています。

腸内で善玉菌が優勢になると、腸内で生成されるセロトニンやドーパミンといった「幸せホルモン」の生成が促進されます。これらの神経伝達物質は、気分を安定させ、ストレスを緩和する作用があり、不安感やうつ症状の軽減にもつながるとされています。また、腸内環境が整うと、慢性的な炎症が減少するため、ストレス反応が過剰になりにくくなり、心が落ち着きやすくなる効果も期待できます。

具体的な影響としては、気分の浮き沈みが少なくなったり、不安感やイライラが和らいだりする効果が報告されています。腸内環境を整えるためには、乳酸菌の豊富な食品、腸内環境を整えるためのサプリメント、発酵食品や食物繊維を多く含む食品を摂取することが有効とされており、バランスの取れた食生活がメンタルヘルスの維持にも役立つといえるでしょう。

睡眠をとる

睡眠不足は情緒不安定を引き起こすことが多くあります。睡眠は脳と体の回復に欠かせない時間であり、特に心身のバランスを保つためには重要です。睡眠が不足すると脳が十分に休めないため、情緒面でのコントロールが難しくなり、イライラや不安、落ち込みなどの感情が表れやすくなります。そして脳の感情を司る部位である扁桃体が過剰に反応しやすくなり、その結果、些細なことに過敏に反応してしまい、ストレスを感じやすくなります。通常であれば冷静に対応できる状況でも、感情が大きく揺れやすくなり、コントロールが難しくなることがあるのです。


仕事をしている人は、お昼休みの時間に少し仮眠をとるだけでも気持ちを落ち着かせることができますよ。

情緒不安定になる症状が出る病気とは?

情緒不安定の症状が現れる病気や状態はいくつかあります。これらは精神的な要因やホルモンバランスの変化、自律神経の乱れが関係していることが多く、適切な治療やサポートが必要です。

うつ病

気分の落ち込みや意欲低下、興味関心の喪失が特徴的ですが、情緒不安定な状態も見られることがあります。

双極性障害(躁うつ病)

気分の変動が激しく、短期間で気分が大きく変わるため、日常生活や人間関係に支障が出ることがあります。

境界性パーソナリティ障害(BPD)

感情のコントロールが難しく、急激な気分の変動が起こりやすい傾向があります。

更年期障害

ホルモンバランスの急激な変化により、情緒不安定が引き起こされることが多いです。

自律神経失調症

自律神経が乱れることで気分の不安定さが現れることがあります。

甲状腺機能異常(甲状腺機能亢進症や低下症)

甲状腺ホルモンの分泌異常は情緒不安定を引き起こすことがあります。

睡眠障害(不眠症や過眠症)

睡眠の質や量が低下すると情緒が不安定になりやすくなります。

不安障害

強い不安を感じ、過度に心配してしまう状態です。

強迫性障害

特定の思考や行動に囚われてしまい、情緒が不安定になります。

パニック障害

急激な不安や恐怖を伴うパニック発作が起こり、情緒の安定が崩れることがあります。

不安なときの相談先とは?

1.精神科・心療内科の医療機関

精神科や心療内科では、専門医が診察を行い、診断や薬物療法、カウンセリングなどの治療を提供します。不安障害や情緒不安定が続く場合、早めに医療機関で相談し、症状に合った治療法を見つけることが重要です。紹介状がなくても受診可能な場合が多いですが、予約制のところも多いため、事前に確認することがおすすめです。

2.公認心理師や臨床心理士

臨床心理士や公認心理師は、カウンセリングを通じて心のケアを提供します。不安障害に対しては、認知行動療法(CBT)などの心理療法が効果的とされており、カウンセリングによって不安や恐怖に対する対処法を学ぶことができます。

3.電話やオンラインの相談窓口

電話やインターネットを通じて相談できる窓口も増えています。匿名で相談できるため、対面で話すことに抵抗がある方にも利用しやすいです。最近では、オンラインで簡単に予約できるカウンセリングサービスもありますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

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まとめ

情緒不安定はさまざまな要因で引き起こされ、その改善には心身のケアが重要です。生活習慣を見直し、ストレスを軽減する方法を取り入れることで、不安定な状態から心を落ち着かせる効果が期待できます。また、症状が長引く場合や生活に支障が出ている場合には、適切な相談先に助けを求めることも大切です。自分に合ったサポートを見つけ、少しずつ心の安定を取り戻していきましょう。

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