毎日の生活の中で、何らかの原因で急に食べられなくなることもあるでしょう。1日2日で治ってしまえば、あまり気にせずにいられますが、気持ち悪い状態がずっと続くと心配ですよね。
この記事では、急に食べられなくなったときや気持ち悪いと感じる場合の原因や対処法などについて詳しく解説します。食事に関して不安を持つ人は、どうぞご覧ください。
心理カウンセラー
久木田(くきた)みすづさん
心理カウンセラー、精神保健福祉士、社会福祉士。現在は、フリーランスライター。
大学卒業後、カウンセリングセンターにて、メンタルヘルスに関する講座やセミナーの講師、個人カウンセリングに携わる。その後、精神科病院でソーシャルワーカー兼カウンセラーとして患者様やご家族のカウンセリング、助言や相談などの仕事に従事。
急に食べられなくなる・気持ち悪くなる原因とは?
急に食べられなくなる・気持ち悪いと感じる原因には、
- 生活習慣の乱れ
- ストレス
- 消化器の疾患や精神的な疾患
- 薬の副作用
などが考えられます。原因によって、その後の対処法も変わってくるため、次にそれぞれの原因について説明します。
生活習慣の乱れ
急に食べられなくなる原因のひとつとして、睡眠不足や運動不足・過労・過度な飲酒や喫煙などの生活習慣の乱れが挙げられます。私たちの体は、毎日快適な睡眠で疲労を回復させ、適度な運動によって食欲を促すことができています。
しかし、睡眠不足が重なったり、まったく体を動かさなかったりする状態が続くと、食欲が低下することがあります。加えて飲酒や喫煙の習慣があると、食欲をはじめとする体のサインを感じにくくなることも少なくありませんす。
ストレス
2つ目の原因としては、ストレスが挙げられます。私たちの脳は、過度なストレスを感じると脳の中の「視床下部」という部分の働きが低下するといわれています。
視床下部の働きが低下すると「食べたい」という食欲の信号を正常に発することができなくなり、食べられなくなる可能性が高まるのです。
また、食欲は自律神経と深く関連し、ストレスによって自律神経が乱れると食欲不振になりやすいとされています。
消化器の疾患
3つ目の原因として挙げられるのは、消化器の疾患です。たとえば、急性胃腸炎や胃潰瘍など、消化器の疾患があると、急に食べられなくなる・気持ち悪いという症状を引き起こす可能性が高くなります。
消化器の疾患は痛みなどの症状がなく、ただ食欲不振という形で症状が現れる場合も少なくありません。そのため、疾患とは思わずに他の原因を考えてしまうケースもあるでしょう。
精神的な疾患
4つ目の原因としては、精神的な疾患が挙げられます。「うつ病」や「拒食症」などの場合、消化機能は正常でも、精神的な疾患によって自律神経が乱れて食欲が極度に低下します。
そのため、急に食べられなくなり、消化器の検査をしても、異常が見つからないことがあるのです。
薬の副作用
最後の5つ目の原因としては、薬の副作用が挙げられます。たとえば、「痛み止め」や「抗生物質」、「抗精神病薬」や「抗がん剤」などの薬は、副作用として食欲不振が現れる場合があります。
すべての薬が、服用後に必ず食欲不振が現れるわけではありませんが、継続して服用していると、気持ち悪さや食べられないという症状が出る可能性が高いでしょう。
急に食べられなくなる・気持ち悪くなるときの対処法
では、急に食べられなくなる・気持ち悪くなるときの対処法について解説していきましょう。対処法は、先ほど紹介した原因によって異なるため、原因に合わせた対処法を参考にしてみてください。
生活リズムを整える
生活習慣の乱れによって、急に食べられなくなった・気持ち悪いという症状が出ている場合は、まず生活リズムを整えて自律神経の働きを正常な状態に戻すことが大切です。
食欲は、自律神経の働きと密接に関わっているため、十分な睡眠と適度な運動を心がけ、体のリズムを一定に保つようにしましょう。できるだけ就寝時間と起床時間を一定にし、起きたら必ず朝日を浴びるようにすると体内時計が整い、自律神経の働きも正常に戻りやすくなります。
さらに、毎日湯船に浸かるようにすると、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズになりやすく、睡眠の質を上げることが期待できます。しかし、長時間の入浴は、かえって疲れが出てしまう場合があるので、心地よいと感じる程度で続けるのがおすすめです。
食生活を改善する
忙しい毎日を送っていると、どうしてもカップラーメンや菓子パンなどで簡単に食事を済ませてしまうことがありますよね。しかし、私たちの体にとって食事から摂る栄養は、想像以上に大きな影響を与えます。
最初は影響が少なくても、徐々に栄養素が足りなくなってくると、食欲をはじめ正常な体の働きができなくなってしまうのです。
そのため、乳製品や魚などからカルシウム、旬のフルーツや野菜などからビタミン、海藻類からはミネラルなど、それぞれの栄養素を多く含んだ食べ物を摂るように心がけましょう。
また、ダイエットなどで敬遠されがちな糖質も体のエネルギー源となる大切な栄養素なので、1日1回はご飯などで摂取するようにしてください。
市販薬を服用する
食べられない・気持ち悪いという症状が重い場合は、無理に多く食べようとせずに、市販薬の力を借りるのもひとつの方法です。
たとえば、胃の働きの低下によって食べられない・気持ち悪いという状態になっている場合は、消化酵素が配合されている胃薬がいいでしょう。また、空腹時に胃痛を感じて不快である場合は、胃の粘膜保護成分が配合されている薬がおすすめです。
他にも、ストレスや疲れから胃痛が起きて食欲不振に繋がっている場合は、抗コリン薬の使用が効果的です。また、胃酸の分泌が過剰になっている場合は制酸薬などを用いることで、症状が改善するケースがあります。
薬局などの同じ胃薬のコーナーにあっても、それぞれ用途ごとに配合されている成分が異なるため、市販薬を試すときは薬剤師などに相談しながら選ぶようにしましょう。
医師の診断を受ける
あまりにも食べられない・気持ちが悪いという状態が続き、生活リズムを整えたり市販薬を服用したりしても改善されない場合は、医師の診断を受けることをおすすめします。
食べられない・気持ち悪い症状が起きている原因には、疾患が影響しているケースもめずらしくなく、そのまま放置すると、病気が進行して食欲不振以外の症状も出てくる可能性があるからです。
病院では、問診以外にも血液検査や超音波検査、内視鏡検査やCT検査など、さまざまな角度から原因を探し、原因に合った薬を用いながら治療をします。精神的な疾患が原因の場合は、薬だけでなくカウンセリングなどを行うケースも少なくありません。
問診では、体重の変化や食べられなくなったときの状況、服用している薬などを詳しく確認しながら、治療につなげていきます。
まとめ
食欲は、胃の調子だけでなく体全体の調子が関わっています。
たとえば、疲れが溜まっていたり、睡眠不足が続いて自律神経の働きが乱れたりしていると、目の前に食べ物があっても「おいしそう」と感じられなくなってしまうでしょう。また、ストレスや精神的な疾患が引き金となって、食欲不振が起きるケースもあります。
食べられない・気持ち悪い症状を軽く考え放置していると、他の症状が出てきたり、体調を崩したりすることもあるので、あまりにも食べられない期間が続く場合は、今回紹介した対処法を試してみるようにしてください。
<参考URL>
急に食べられなくなったのはストレス?食欲不振の検査と治し方を医師が解説 (tennoji-endoscope.com)
食欲不振・吐き気の原因は?病気の可能性や改善方法|安藤内科おなかクリニック (ando-naikaonaka.jp)
食欲不振で急に食べられなくなったのはストレスが原因かも!?医師が解説 (clinic-hatamori.com)
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