恋愛依存症とは?5つの特徴や原因、苦しさの克服方法を解説

「恋愛中なのに不安や苦しさを感じる……」「自分は恋愛依存症かも?」と悩んでいる人は少なくありません。

相手を優先するあまり自分を犠牲にしてしまう恋愛依存症。苦しい状況は、仕事や趣味を充実させたり、自信を高めたりすることで改善します。まずは、自分が恋愛依存症かどうかを確認しその要因を理解することが必要です。

この記事では、恋愛依存症になりやすい人の特徴や原因、克服するための方法を解説します。ぜひ参考にしてください。

監修者

認定心理士

白髪利恵さん

認定心理士、プロフェッショナル心理カウンセラー、SNSカウンセラー。心療内科・精神科での勤務を経て、これまでに相談を受けてきた件数は3000件以上。現在はSNSカウンセリングや電話相談も含め、幅広い年齢層を対象にカウンセリングに携わる。

目次

恋愛依存症とは

恋愛依存症とは、恋愛関係にある相手の考えや行動を最優先に考え、自分の日常を犠牲にしてしまう状態です。相手との適切な距離を保てず過度に依存し、不安を抱えながら関係を続けてしまうのが特徴です。

また、恋愛関係が崩れ失恋してしまうと無気力になり、相手との関係をなんとか繋ぎとめようと必死になることもあります。

恋愛依存症は医学的に正式な病名ではありませんが、状況によっては自分自身を傷つけたり、友人や家族などの人間関係に影響を与えたりすることもあります。日常生活に支障をきたす場合には別の診断名がつくこともあるため注意が必要です。

恋愛体質との違い

恋愛依存症と恋愛体質は似ているようで大きく異なります。恋愛依存症は、恋愛の相手に過度に執着するため、恋愛がうまくいかないと精神的に不安定になります。たとえば、メールやLINEの返信が遅いと不安になり、嫌われていると恐れて相手に合わせ続けてしまいます。

一方、恋愛体質は恋愛に対して積極的に楽しめるため、恋愛だけに執着しません。依存症は特定の相手に執着し、別れたあとも相手にしがみつく傾向が見られますが、恋愛体質は新しい恋愛で立ち直りやすいことが特徴です。

恋愛依存症と回避依存症の関係性

恋愛依存症と回避依存症は対照的な関係性にあります。恋愛依存症は相手に過度に依存しますが、回避依存症は他人との深い関りを避ける状態です。回避依存症は、深い関係になることを恐れ、恋愛を面倒に感じます。

これらの依存症はお互いに惹かれやすい一方で、関係が泥沼化しやすい傾向にあります。回避依存症の人は相手と深い関係になると距離を置くため、関係が長続きしないことが多いでしょう。

恋愛依存症になりやすい人の特徴

恋愛依存症の人には、相手に合わせすぎたり連絡がないと不安になったりする特徴があります。しかし、自分でも気づかないうちに相手に依存してしまう場合や、恋愛以外の事に集中できず、いつのまにか日常生活に支障をきたす事もあります。

まずは自分の感情を見直し、セルフチェックで恋愛依存症の可能性を確認することが重要です。恋愛依存症になりやすい人の主な5つの特徴を解説します。

恋愛依存症になりやすい人の主な特徴
  • 生活のすべてを相手に合わせてしまう
  • 相手に見捨てられるのではないかと不安になる
  • 恋人を優先してしまう
  • 恋人や好きな人に頼まれたら断れない
  • 連絡が取れないと不安になる

それぞれの特徴について、詳しく紹介していきます。

生活のすべてを相手に合わせてしまう

恋愛依存症になりやすい人は、生活のすべてを相手に合わせる傾向があります。恋愛中に多少なりとも相手を優先することは自然な心の動きですが、依存症の場合はその傾向が極端に現れます。常に相手中心のライフスタイルになり、自分の意見を抑えてでも相手に合わせてしまいます。

たとえば、友人との約束をキャンセルしたり、仕事よりも相手を優先したりすることもあります。さらに、相手の影響で服装やメイクを変えるケースも見られます。恋愛依存症では、相手の期待に応えようとするあまり、自分の生活が完全に相手に支配されてしまうのです。

相手に見捨てられるのではないかと不安になる

恋愛依存の傾向がある人は相手に見捨てられることに対する不安が強く、相手のささいな変化にも過敏に反応します。相手が普段と違う言動をすると、「見捨てられているかも」と心配になり、機嫌を取ったり無理な要求に応じたりします。

その結果、短期間で肉体関係をもつことも珍しくありません。常に「いい人」であろうとするあまり、自分を犠牲にしてしまう傾向があります。また、恋人がいないと自分の価値が感じられず、連絡が遅れると浮気を疑うなど、ネガティブな思い込みが強いのも特徴です。

恋人を優先してしまう

恋愛に依存する人のなかには、仕事や友人との予定があっても、恋人からの誘いがあればドタキャンしてしまうことが日常化しているケースもあります。さらに、デートのために仕事を欠勤してしまうことも少なくありません。

このように、職場や友人に迷惑をかけてまで恋人を優先する状態が続くと、恋愛依存症の可能性が高いといえます。

恋人や好きな人に頼まれたら断れない

恋人や好きな人からのお願いを断れないことがよくあるのも、恋愛に依存しやすい人の特徴です。好きな人の気持ちをつなぎとめるために、自分を犠牲にしてでも尽くそうとします。好きな人に尽くすことは自然ですが、依存症の人にとっては、相手に尽くすことが自分の価値を証明する手段です。別れの兆しがあれば、金銭を渡したり自傷行為をしたりすることもあります。

つまり、自分が心から尽くしたいと思うのではなく、相手の期待に応えないと愛されないと感じることが典型的な特徴です。

連絡が取れないと不安になる

恋愛依存の傾向がある人は、相手からの連絡が少しでも途絶えると大きな不安を感じます。「嫌われた」「他の人と浮気しているのでは?」「何か隠し事があるのでは?」と心配のあまり何も手につかず、携帯やスマートフォンなどを手放せずに何度も連絡を試みることもあります。

連絡が取れたときには、その不安を相手にぶつけることも多く、こうした行動が依存症の兆候です。

恋愛依存症になる原因

恋愛依存症の特徴をチェックすると、「自分も当てはまるかも」と思った人もいるでしょう。恋愛依存症の原因を知ることで、苦しい現状の解決につながる可能性があります。自分の依存症に気づかないと、さらに依存性を深めてしまうこともあります。恋愛依存症になる主な原因を3つ解説します。

恋愛依存症になる主な原因
  • 過去の恋愛でよい思い出がない
  • 自分に自信がない
  • 親の影響を受けている

それぞれの原因について、具体的に解説します。

過去の恋愛でよい思い出がない

過去の恋愛におけるつらい経験や失敗が、恋愛依存症の原因になる場合があります。たとえば、浮気や音信不通などのトラウマは、「また同じ目に遭うのでは?」という不安を生じさせます。

自分を責めることで相手に過剰に尽くそうとするため、恋愛をなかなか手放せません。過去の傷が癒えないと「次の恋愛では同じ思いをしたくない」と必死になり、相手の要求に合わせすぎることで依存状態に陥ります。

自分に自信がない

自信の欠如も恋愛依存症の原因のひとつです。自信がない人は、自分の考えよりも相手の言葉を優先し、相手の要求に従ってしまいます。「好き」や「かわいい」といった言葉を求めることも特徴です。

また、「嫌われたくない」と思うあまり、相手に過剰に尽くし関係を維持しようとします。このように、自分の価値を恋愛相手に依存させることで、依存性が悪化するケースもあります。

親の影響を受けている

恋愛依存症になる理由として、親の影響が考えられます。親から、付き合う異性に対して厳しく言われた経験や、幼少期に十分な愛情を受けられなかったことが影響しています。特に、親に甘えられなかった経験があると、恋愛依存症になりやすいといわれています。親に認められなかった思いが恋人に投影され、過剰な依存を引き起こすのです。

ネグレクトや虐待を受けていた場合、自尊心を育むのが難しく、恋人からの愛情を強く求めます。親からの愛情を恋愛相手に求めることで、恋愛が重くなりやすく、相手にとっては負担になる場合もあるでしょう。

恋愛依存症を克服するための方法

恋愛依存症は、自覚をして原因さえ理解できれば克服できる可能性があります。依存から解放されることで、恋愛も人生もよりよいものに変わっていくでしょう。恋愛依存症から抜け出すための主な3つの対処法を解説します。

恋愛依存症から抜け出すための3つの対処法
  • 恋人に理想を求めすぎない
  • 自分に自信をもつ
  • 仕事と趣味の時間を増やす

ここからは、各対処法について詳しい内容を紹介します。

恋人に理想を求めすぎない

恋人に対して過剰な理想を求めることは避けましょう。自分の理想をもつのはよいことですが、それを相手に強く求めすぎると「思い通りにならない」と感じ、恋愛依存を助長させる可能性があります。恋人が自分の思い描く理想通りに行動することは「まれ」であり、連絡の頻度や発言が期待通りでなくても、愛されていることには変わりません。

さらに、相手と距離を置くことも必要です。会う時間や電話の頻度を減らすことで、自分自身の仕事や趣味に集中する時間が増えます。このように、あえて相手と距離を置くと、恋人がすべてという状態から抜け出し、バランスの取れた関係性を築けます。

自分に自信をもつ

恋愛依存症から抜け出すためには、自分に自信をもつことが重要です。自分を好きになる努力をすることで、依存性を減らせます。自信をもつためには、自分磨きをしたり、仕事や趣味に打ち込んだりすることが大切です。

自己肯定感をもてば他人の評価に左右されず、自分の価値を自分で認識できるようになります。特に、「嫌なことは断ってもいい」と言い聞かせ、自分を大切にするとよいでしょう。

仕事と趣味など、自分の時間を増やす

仕事や趣味に時間を費やすことも有効です。相手との時間を優先しすぎると、どうしても不安や依存性が強くなりますが、自分の仕事や趣味に没頭すると、心の中で相手の存在が占める割合が自然と小さくなります。

規則正しい生活を心がけ、自分の機嫌を自分で取ることがポイントです。好きなことに集中し、恋愛以外で心を満たす方法を見つけましょう。

恋愛依存症に似た症状が出る病気はある?

恋愛依存症は正式な病名ではありませんが、似た症状を示す病気はいくつかあります。代表的な2つの病気について解説します。

パーソナリティ障害

恋愛依存症に似た症状が出る代表的な病気は、パーソナリティ障害です。特に、境界性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害が似た特徴をもっています。それぞれの障害の特徴は以下の通りです。

  1. 境界性パーソナリティ障害:孤独や見捨てられることが不安で、感情が不安定になる。
  2. 演技性パーソナリティ障害:注目されることで気分が安定し、相手に過度に依存する傾向がある。
  3. 依存性パーソナリティ障害:自分の支えを他者に求め、見捨てられることへの不安が強い。

愛着障害・不安障害

愛着障害は、養育者との関係の問題から対人関係に困難を伴い、成人してからも影響が続くことをいいます。大人になると、不安障害と診断される場合が多く、対人関係や精神状態に不安を抱えています。

愛着障害やアダルトチルドレンは、恋愛依存症に似た症状を示し、相手への過度な依存や見捨てられ不安が見られることがあります。

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恋愛依存症にはカウンセリングが必要?

恋愛依存症に悩む場合は、依存症や自己愛、愛着障害などの専門家であるカウンセラーに相談しましょう。恋愛相談だけでは問題を解決できないことが多く、状態によっては心療内科でのカウンセリングも推奨されています。

恋愛依存症は正式な病名ではありませんが、自己肯定感の低さやトラウマ、愛着形成の問題が関わっていることもあります。カウンセリングを受けることで、根本的な問題に対処し改善する可能性があります。

恋愛依存症の相談先は?

恋愛依存症の相談先にはいくつかあります。主な3つの相談先を解説します。

相談窓口

恋愛依存症の問題は専門的な対応が必要であり、保健所や精神保健福祉センターなどの相談窓口に相談することが有効です。これらの機関では、適切な対処法やサポートを受けられるほか、恋人や家族、友人のストレス軽減にも役立ちます。

▼当サイト「悩ミカタ」でも、ミドル世代(40代50代)の悩みや不安・ストレスについて各分野の専門家/カウンセラーに相談できるオンラインカウンセリングサービス「悩ミカタ相談室」を展開しています。つらくて不安な気持ち、1人で抱え込まずにまずはお気軽に相談してみませんか?

精神科

恋愛依存症は、精神科では診断名として認められていませんが、「依存症」や「アディクション」として治療されることがあります。自己肯定感やトラウマに対するアプローチが有効なため、恋愛依存症に関する治療を行う専門家に相談することも一つの方法です。

自助グループ

恋愛依存症の回復には、自助グループを活用することも有効です。これらのグループは、「言いっぱなし聞きっぱなし」のルールで、同じ悩みを持つ人たちが体験を共有し、共感や安心感を得る場を提供します。

代表的なグループには、「SA(セクサホーリクス・アノニマス)」「エサノン」「SCA-JAPAN(セクシュアル・コンパルシブズ・アノニマス)」「LAA(ラブ・アディクツ・アノニマス)」「S.L.A.A.-Japan(セックス・アンド・ラブ・アディクツ・アノニマス)」があります。

興味がある場合は、各団体のウェブサイトやミーティングに参加してみるのもいいでしょう。

恋愛依存症の克服にはまず自己理解が大切

恋愛依存症は、恋愛だけでなく人生そのものに影響を及ぼす深刻な問題です。女性、男性を問わず誰でも陥る可能性があります。

依存を克服するためには、まず自分自身の心理を理解することが大切です。自己肯定感を高めたり、パートナーと適切な距離を保ったりすることで改善する可能性があります。カウンセリングを活用し、自分と向き合いながらよりよい人生につなげましょう。

▼悩ミカタ相談室は、恋愛依存症を含むさまざまな悩みや問題を相談できる窓口です。オンラインで自宅からでも利用でき、心理士などの専門家から適切なアドバイスを得ることができます。

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