近年では「生涯独身」を選択される方も珍しくありません。未婚率が年々増加しているなか「このまま一生独身でいてもいいのかな」「独身生活に不安を感じる」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、一生独身で過ごすことを選ぶ方が増えている理由や結婚しないメリットとデメリット、充実した独身生活を送るためのポイントをご紹介します。

梅田ミズキさん
認定心理士、サービス介助士。大学で臨床心理学・産業組織心理学・発達心理学などを学び、卒業後は公的施設にて精神疾患の方のケアや介助業務、ご家族の相談対応などに従事しながら、ホームページ掲載用のコラムやミニ新聞を執筆。現在はフリーライターとして独立し、くらしにまつわるエッセイの執筆、臨床心理・発達支援・療育関連のコンテンツ制作および書籍編集に携わりながら、心理カウンセラーも務めている。趣味は読書、映画鑑賞、気まぐれで向かうプチ旅行。
一生独身の人は増えている?
2005年に「おひとりさま」という言葉が新語・流行語大賞にノミネートされて以降、男女問わず働き方や生き方は急速に多様化しました。未婚化が進む現代社会において、一生独身という生き方を選択する人が年々増加しています。
生涯独身者は増加傾向にある

国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集(2024)」によると、50歳時点で一度も結婚をしたことがない「生涯未婚率」は、1980年には男性で約3%、女性で約4%でした。しかし、2020年には男性で約28%、女性が約18%まで上昇しています。
つまり、現代社会において「一生独身」という選択は決して珍しくないのです。
50歳時点での未婚率を示す「生涯未婚率」は「45〜49歳」「50〜54歳」の5歳階級別の未婚率の平均値から算出されています。この数値は、実際に一生結婚しなかった方の割合を表すものではありませんが、50歳までに結婚していない方はその後も独身のままでいる可能性が高いと考えられることから、生涯独身者の割合を推計する指標として広く用いられています。
未婚化の原因は「社会的要因」?
未婚化の背景には、複数の社会的要因が絡み合っている可能性も否定できません。
まず、経済的な要因として、終身雇用制度の崩壊や非正規雇用の増加により、若者の収入が不安定化していることが挙げられます。実際、20代から30代の平均年収は、バブル期と比べて大きく低下しているのが特徴です。
また、社会全体での価値観の多様化も、未婚化が進む大きな要因の一つです。特に女性の高学歴化と社会進出が進み、従来の「結婚して家庭を持つ」という生き方だけではなく、キャリアを重視した働き方を選択する方が多くなってきました。仕事を通じて、経済的自立や自己実現を目指す女性が増加しているのです。
さらに、近年では仕事と生活の調和を重視するワークライフバランスの考え方が広まりつつあります。長時間労働や仕事優先の生活を見直し、自分の時間を大切にしたいという意識が強まっているのです。
趣味や自己啓発、社会貢献活動など、個人の興味や関心に基づいた自己実現を重視する傾向も強まっています。このように人生の選択肢が広がり、必ずしも結婚を前提としない多様な生き方が受け入れられつつある点も、未婚化の要因の一つと考えられます。
一生独身でいる理由とは?
未婚率が増えているとはいえ、その理由はさまざまです。ここでは、独身という選択肢を取る主な理由について、男性と女性それぞれのデータを読み解いていきます。
独身の理由は男性と女性ともに「出会いがないから」
出典: 現代日本の結婚と出産|国立社会保障・人口問題研究所
国立社会保障・人口問題研究所の「現代日本の結婚と出産」によると、結婚意思のある未婚者に現在独身でいる理由をたずねたところ、18~24歳では「結婚するにはまだ若すぎるから」「結婚する必要性をまだ感じないから」「今は、仕事(または学業)にうちこみたいから」といった、積極的な結婚の動機がないことが挙げられています。
しかし25~34歳では男性の約43%、女性の約48%が「適当な相手にまだめぐり会わないから」と回答している点から、年を重ねるにつれて“出会いさえあれば結婚を視野に入れたい”と考えている方も多いようです。また「異性とうまくつき合えないから」という回答も、男女ともに増加傾向にあります。
結婚とは切っても切り離せない「経済面」
出典: 現代日本の結婚と出産|国立社会保障・人口問題研究所
同調査にて「いずれ結婚するつもり」と回答した18~34歳の未婚者に対し何が結婚の障害になるかという質問をしたところ、2021年時点で「結婚資金」を挙げる未婚者が最も多く、男性では約48%、女性では43%でした。次いで多いのが「住居」で男性が約23%、女性が約21%、3番目に「職業や仕事上の問題」で男性が約15%、女性が19%です。
結婚式の資金だけではなく、結婚後の生活費や子どもの教育費、住宅ローンなどにかかる費用を考えると「正社員でも将来の生活設計が立てにくい」「現在の収入では難しい」と感じる方が少なくありません。
また、仕事中心の生活に慣れてしまい、結婚生活のイメージが持てないとの声も聞かれます。さらに、恋愛経験の不足やコミュニケーションに自信が持てないことから、パートナー探しに積極的になれない方も多いようです。
上記以外にも、社会進出により経済的な自立が可能になった女性が増え、必ずしも結婚を選択する必要がないと考える方も増えています。「自分らしい生き方」を追求したいという思いから、独身を選択する方も多いのです。
一生独身でいることのメリットとデメリット

独身生活は、一人の時間を謳歌できる自由さがある反面、将来に向けて考えておきたい課題も存在するものです。ここでは、一生独身でいることで得られるメリットと懸念したいデメリットについて挙げていきます。
一生独身でいるメリット
自由に時間を使える

独身生活の大きなメリットの一つは、時間の使い方を自分で決められる点です。仕事後の時間を自由に使えるだけではなく、休日の予定も気兼ねなく決定できます。突発的な予定変更にも柔軟に対応でき、趣味や自己啓発に時間を使うことも容易です。実際に「仕事後にヨガやジムに通えるため、心身の健康維持に役立っている」との声も聞かれます。
仕事や私生活を充実させられる
仕事や私生活に多くの時間とエネルギーを注げるのも、独身生活のメリットでしょう。転職や転勤、留学なども自分の意思で決定できるため、好きなだけキャリアアップを目指せます。
資格取得や留学などもチャレンジしやすいほか、副業や起業にも時間を使う方もいらっしゃいます。自分の興味に従って生活を組み立てられるため、より充実した私生活を送りやすいのが魅力です。
家族を持つことによる責任が発生しない

独身生活では、配偶者や子どもの扶養義務がありません。そのため、経済的・精神的な負担が軽減されます。また、家族間の人間関係に悩まされることも少なく、ストレスの少ない生活を送りやすいのも利点です。
経済的に余裕が生まれる

世帯支出を自分一人でコントロールできるため、計画的な資産形成も可能です。子育てにかかる費用がないため、自己投資や趣味に使える金額も増えます。
また、老後の資金準備に集中できるのもメリットの一つです。「毎月の収入の30%を資産運用に回せているため、将来への不安が少ない」という方もいらっしゃいます。
さらに、高額な商品やサービスを自分の好きなタイミングで気兼ねなく選べるなど、突発的な出費への対応がしやすいのも利点でしょう。
自分のペースで生活できる
独身生活では、他人に合わせる必要がありません。そのため、食事の時間や休日の過ごし方、部屋の整理や掃除のタイミングなど、全てを自分の好みやリズムで生活を送ることができます。
また、静かな環境で集中して作業ができるのも、独身生活での大きなメリットです。
一生独身でいるデメリット
健康管理を全て自分で担わなければならない
配偶者のいない生活では、病気やケガをした際のサポートが限られます。そのため、日常的に健康管理をより意識しておかなければなりません。実際に、独身の方からは「「風邪で寝込んだときの食事の準備や買い物に苦労した」との声も多く聞かれます。
介護が必要な場合の選択肢が限られる

高齢期に介護が必要になった場合、家族のサポートが期待できません。そのため、より早い段階から介護保険や施設入所などの準備を考える必要があります。
また、介護施設への入所を考える場合も、保証人の確保や入所費用の準備など、独身者特有の課題があるのも特徴です。50代のうちから地域包括支援センターに相談するなど、具体的な介護プランを立てるのが重要といえます。
孤独を感じやすい

独身生活では、どうしても一人で過ごす時間が長くなりやすいものです。そのため「たまにふと孤独感に襲われる」「休日に誰とも話さない日が続くと、やはり寂しさを感じる」と話される方も少なくありません。
また、話し相手や相談相手が限られるため、将来への不安を一人で抱えやすい傾向があります。
周囲からのプレッシャーに疲れる
独身でいることを心配されたり結婚を勧められたりすることで、精神的なストレスを感じる方も多いようです。職場の同僚や上司からの何気ない言葉、親族からの心配や干渉にプレッシャーを感じるとの声も聞かれます。
一生独身で過ごすときに考えておきたいことや準備しておきたいこと
「一生独身でいるのはやっぱり不安がつきもの…?」と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。しかし、一人で過ごすか誰かとともに生きていくかは個人の自由です。
例えば、独身でいると決めた場合でも以下のような準備をしておけば、より充実した独身生活を送りやすくなります。
老後の資金を準備しておく

独身の場合、老後の生活費を自分一人で確保する必要があります。老後に向けて計画的に資金を準備していきましょう。
年金に加えて、個人年金や資産運用など、複数の収入源の確保も選択肢の一つです。また、将来の医療費や介護費用についても試算し、緊急時に備えた貯蓄も欠かせません。
一人で考えていくのが不安の場合、資金計画をファイナンシャルプランナーに相談し、具体的なプランを立てるとよいでしょう。
健康維持を心掛ける

前述したとおり、独身生活では急なケガや病気の対応を全て一人で担わなければならない場合が多くあります。そのため、日頃から健康を維持する意識を持っておくのがおすすめです。
定期的な健康診断の受診はもちろん、日常的に運動をする習慣をつけるようにしましょう。また、バランスのよい食生活や十分な睡眠時間の確保も大切です。将来に備えて、医療保険や介護保険への加入も検討してみてください。
信頼できる人間関係を築く

独身生活ではあらゆることを一人で担う場合が多いとはいえ、完全に一人で生きていけるわけではありません。そのため、困ったときに助けを求められるように、周囲の人と信頼関係を築いていくのも大切です。
近所の人や職場の同僚とできるだけ良好な付き合いを維持するのもよいでしょう。また、趣味を通じて積極的に友人を作ってみたり、医師や弁護士など専門家とのネットワークも築いておいたりすると安心です。
将来の住まいを考える

年齢とともに変化する生活環境に対応するため、住まいについて長期的な計画を立てておくのも重要です。将来的なバリアフリー化の検討や、介護施設への入居に向けた準備を進めましょう。また、地域との繋がりを考慮した住所選びや、緊急時の支援体制の確認も重要な検討事項です。
結婚しない人生を豊かに過ごすためのポイント
独身生活を充実させるために「準備しておくとよいこと」を挙げましたが、結婚しない人生を選んだ際に「より豊かに過ごすためのポイント」もいくつかご紹介します。自分らしい生き方を見つけるためのヒントにしてみてください。
他人と比較しない

独身生活を送っていると、つい「結婚している人としていない自分」と無意識にカテゴリー分けをしてしまう方もいらっしゃるはずです。しかし、いざ結婚生活をしてみると「子どもがいる人といない人」「結婚後も働く人と専業主婦になる人」など、さまざまなライフスタイルがあります。
このように、結婚する・しないに限らず、人はそれぞれに異なる人生があります。そのため、他人の生き方と比較せず、自分の価値観に従って生きる姿勢を大切にしましょう。自分の人生や将来を決める主導権を持っているのは、あなた自身です。
交友関係を構築する
趣味のサークルやコミュニティ活動への参加を通じて、新しい出会いを大切にしましょう。「イベントがあるごとに外に出るのは少し億劫…」という方は、オンラインコミュニティの活用もおすすめです。同じ価値観を持つ仲間との交流は、生活を豊かにしてくれます。
自分なりの楽しみや幸せを見つける

独身生活で「生きがい」を持てると、一人の時間をより充実させられます。趣味や社会貢献活動など、自分が心から楽しめることを見つけましょう。
新しい趣味を見つけなくても、いまある趣味をより深めたり、ペットと暮らしたりなどで日々の生活に潤いをもたらすのも一つです。また、創作活動や表現活動に取り組んだり、地域活動に参加したりなどで充実感を得るのもいいでしょう。
習い事にチャレンジする

新しい経験は、独身生活に彩りを添えてくれます。語学教室に通ったり、音楽や芸術を学んだりして、知識や技術を広げていくのもおすすめです。
「料理教室で新しいメニューを作るのが楽しい」「スポーツや運動を始めてから生活に刺激が生まれた」と話される方もいらっしゃいます。また、新しい仲間との出会いが期待できるのも習い事を始める魅力です。
自己投資を積極的に行う

自分自身のために思いっきり投資ができるのも、独身生活の大きなメリットです。習い事や資格の取得など「学び」だけにとらわれず、“自分がワクワクすること”も視野に入れてみましょう。
運動習慣や美容、映画鑑賞、一人旅、読書、自家菜園など、時間を自由に使えるからこそ深めやすい自己投資は数えきれないほどあります。「自分のために時間とお金をかける」こと自体を楽しんでみてください。
大切なのは「結婚しているか」ではなく「満足しているか」

「結婚せずに一生独身で暮らす」という選択が珍しくない時代です。自分らしい生き方を実現するための準備を整える方は増えています。
「独身と結婚、どちらがよくてどちらが悪い」ではなく、あなたの価値観に合った幸せを追求していきましょう。「独身生活、こんなことで困っている」「結婚したくないわけじゃないけれど、具体的にどう動いていいかわからない」という方は、ぜひ専門家に相談してみてくださいね。
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