最近、婚活を意識して出会いを求めているが、どうしても「人を好きになれない」「恋愛はもう無理かも」と感じている。そもそも人に興味が持てない、1人の方が楽で出会いの場に出ることが億劫に感じる。出会ったら出会ったで、相手が自分に好意を抱いてくると何だか気持ち悪く感じてしまい好きになれない。相手の欠点ばかりが目について、ダメなところばかりなように見えてしまい、恋愛できない。そのように感じてしまうことはないですか。
本記事は、上記のようなお悩みを持つ方に向けて、人を好きになれない人の特徴やパターン、背景にある心理状態、対処方法などをまとめています。
人を好きになれず、恋愛できず困っているが、この状態になってしまう理由や対処法が知りたいという人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
あーちゃんさん
公認心理師、臨床心理士。指定大学院を卒業後、街のクリニックで非常勤心理士としてカウンセリングや心理検査の業務に従事する。その後、小学校や高校のスクールカウンセラー、公的機関の電話相談員、Webライターとしても活動中。
「人を好きになれない」「恋愛できない」と悩む人の特徴
「人好きになれない」「恋愛できない」と悩む人の特徴は以下の3つです。いずれも相手が原因というよりは、本人の内面に理由がある場合が多いです。
1人でいる方が楽という人や、好かれると好きになれなくなる人、相手を減点方式で見てしまう人などは、人を好きになれなかったり恋愛できなかったりして悩みやすくなるでしょう。自分にも当てはまるところがないか、早速みていきましょう。
1人でいる方が楽だと感じる
「人を好きになれない」と悩む人の中には、そもそも1人でいることが苦でなく、むしろ好きであると感じる人たちがいます。人と過ごすことが嫌いではないけれど、それよりも1人でいることの価値が高いのです。
休日は趣味に没頭したり、1人でぼんやり考え事をしたりして過ごすことで心身の疲労を回復するタイプなのです。そのため、人と会うよりも1人でいる方が楽だと感じ、人を好きになることが難しくなります。
蛙化現象を起こしやすい
蛙化現象(かえるかげんしょう)とは、好意を抱いている相手が自分を好いてくれていると分かると、相手に対して嫌悪感を持つようになる現象をいいます。2004年に跡見学園女子大臨床心理学科の藤澤教授が名付けたことで広まった心理学用語です。
蛙化現象が生じると、自分を好きになってくれた相手を好きになれず、片思いの恋愛ばかりを繰り返すことになります。そのため「恋愛できない」と悩む機会が増えるのです。
減点方式で人を切り捨てる
減点方式とは、人を判断する際に、相手の嫌なところやダメなところを減点して評価する傾向をいいます。減点方式では他人の評価がよくなることはなく、悪くなる一方になりがちです。
もし、身の回りの異性を見回した時に「ろくな人がいない」と感じる場合は、減点方式で人を切り捨てている可能性が高いため注意しましょう。減点方式で相手を評価すると、お眼鏡にかなう人になかなか出会えなくなるため、人を好きになりにくくなります。
「人を好きになれない」と悩む人の代表的な3パターン
「人を好きになれない」と悩む人は、以下の代表的な3パターンを経験する機会が多いようです。
出会いの場に出ることが億劫に感じたり、好意を抱かれると嫌悪感をおぼえたり、相手のダメなところばかり目についたりすることはないですか。もし、当てはまるようであれば、1人が気楽である、蛙化現象が生じている、減点方式で相手を見ているなどの特徴が当てはまる可能性が高まります。
出会いの場に出ることが億劫に感じる
1人でいることが楽だと、なかなか出会いの場に出かけていかなくなります。出かけたとしても、初対面の人との会話に気を使い疲れてしまい、また引きこもります。
「すぐに恋人が欲しいわけではないから、まあ良いか」と思っているうちに、時間がたってしまっているパターンも多くなるでしょう。連絡を取り合っても、自分からは連絡しなかったり返信に時間がかかったりするため関係が長続きしません。
少し良いなと思う人に出会えても、複数人同時進行するほどキャパがないため、その人との関係が上手くいかなくなると、再び1人に戻ってしまいます。
好意を抱かれると嫌悪感をおぼえる
自分に好意を抱いてくれた相手に対して「私を好きになるくらいだから、きっと人を見る目がないんだろう」「なぜ私なんかを好きになってくれたのだろう」と下に見たり、疑ったりしてしまうことはありませんか。
また、自分に対してそっけなく接してきたり、興味がなさそうだったりする相手にほど好意を抱いてしまうことはないでしょうか。このような傾向がみられる場合は、蛙化現象が起きているのかもしれません。
はじめは片想いだったため好きだと思えたが、両想いになった途端に気持ち悪いと感じるようになってしまったという場合は、蛙化現象が生じている可能性が高まります。
相手の欠点が目につき好きになれない
異性とデートをした際に、相手が自分をいかに楽しませてくれるかを待つのみでお客様気分でいることはないでしょうか。そして、上手に接待してもらえないと相手を減点し、評価を下げることはないでしょうか。
例えば、異性とデートの際に上手にエスコートをしてくれない、食事の食べ方が気になるなど、さまざまなチェック項目を作って相手を採点している場合は減点方式で相手を見ている可能性が高いです。
相手の欠点のみ見える色眼鏡をかけている状況のため、不思議と相手の良いところを見つけても無視をしてしまいがちです。欠点の粗探しをはじめてしまうと、終わりが見えなくなることが多いでしょう。
「人を好きになったことがない」理由や心理とは
なぜ、1人が楽に感じたり、蛙化現象を起こしやすかったり、相手を減点方式でみてしまったりする特徴が生じるのでしょうか。
背景には、対人希求性の低さや自己肯定感の低さ、人柄より条件をみてしまう傾向などの原因が隠れている可能性が高いです。背景にある心理を理解することで、なぜこのような特徴が身につくかを理解することができます。
対人希求性が低い
対人希求性とは、他人に対して興味を持ち、親密な関係を持ちたい願望を持つ程度をいいます。対人希求性が高ければ自ら他人に興味を持ち、深く関わろうとしていくことができます。しかし、低いと他人に関心が持てず、1人で過ごす方が楽であると感じやすいのです。
対人希求性は主に、本人と両親・身近な養育者との間の愛着のパターンや、自閉スペクトラム症の有無が影響し、低くなることがあります。また、本人の性自認によって、アセクシャルであるため性的に人を求める気持ちが薄いことから対人希求性が低くなることもあります。
自己肯定感が低い
自己肯定感とは、ありのままの自分の存在価値を認め、受け入れる感情のことをいいます。良いところも悪いところも含めて、ありのままの自分を認めることができていれば、他人から好意を持たれた場合でも素直に好意を受け止めることができます。しかし、自己肯定感が低いと、他人からの好意に疑問を抱き「気持ち悪い」と感じることがあるかもしれません。自己肯定感が低いと蛙化現象も生じやすいです。
また、自己肯定感が低いと他人と自分を比較し、より価値の高いパートナーを見つけることで自身のなさを穴埋めしようとすることがあります。出会いの幅を狭めてしまうことにもなるため、注意が必要です。
人柄より条件を見てしまう
歳を重ねると誰しも、若い頃よりも慎重に恋愛相手を選ぶようになります。例えば、女性なら「義両親と同居している長男」という条件を聞けば、義両親の介護や後継ぎの期待などの問題が頭によぎるかもしれません。若い頃と比べて単純に「好き」という気持ちだけで関係が続くほど甘くないと思っているからこそ、人柄より条件をみてしまう傾向となるのでしょう。
しかし、条件が先行すると「好きだから家族になりたい」という根本の大切な気持ちが見えにくくなるものです。条件も大切ですが、そればかりで相手をみていないかいま一度、自分を振り返ってみましょう。
「人を好きになったことがない」は異常で病気なのか
人を好きになったことがないことを引け目に感じ「もしかしたら自分は病気なのか」と心配している人がいるかもしれません。以下には、人を好きになったことがない場合に考えられる性的指向やパーソナリティ障害、発達障害をあげています。
もし、自分が何者か分からず混乱しているようであれば、当てはまるものがあるとわかるだけでも安心しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
アセクシャル
アセクシャルとは、他人に対して性的欲求を抱くことが少なかったり、全く抱かなかったりするセクシャリティをいいます。相手に恋愛感情を抱くことはあっても、触れたいとは思わないのが特徴です。性的マイノリティの人を表すLGBTQAのA(Asexuality)がアセクシャルに該当します。
アセクシャルの場合は、付き合うこと自体が性的な接触とイコールであることが多いため、必要性を感じないことが多いです。そのため、必然的に人と付き合う機会が減り、人を好きになれない(付き合えない)と感じるのです。
回避性パーソナリティ障害
回避性パーソナリティ障害は、自分が拒絶されたり、批判されたり、恥をかいたりすることを恐れるあまり、人と関わることを回避しようとするパーソナリティ障害の1種です。
上記の特徴があると、新しい出会いを求めに行くことに消極的となったり、他人から好意を示されても素直に受け取れなかったりすることがあります。また、ちょっとしたことですぐに「嫌われた」と感じやすいため、関係が深まってもすぐに途切れてしまい、人を好きになれない、恋愛できないと感じやすいです。
自閉スペクトラム症
自閉スペクトラム症(ASD)とは、自閉スペクトラム症とは、場の空気を読むことが苦手、言葉や身振り手振り、相手の表情から気持ちや考えを汲み取ることが苦手、特定の物事に強い関心がある、こだわりなどの特徴を持つ発達障害の1種です。
自閉スペクトラム症の人の程度はさまざまですが、人に興味を持てないため恋愛に発展しにくかったり、好きになったとしても上手にコミュニケーションを重ねることができなかったりして、恋愛関係が発展しにくいことがあるでしょう。
カウンセリングを受けてみると原因がわかる
カウンセリングとは、専門の資格を持つカウンセラーがクライエントの相談に乗り、話を聞いたり整理したり、助言をしたりする活動をいいます。
カウンセラーに相談をしてみることで、自分がなぜ人を好きになれないのか、恋愛ができないのか原因や傾向を探ることができ、新たな気づきを得られるかもしれません。また、判明した原因に対して、どのように対策することで状況が改善できるか解決の手立てを見つけることも可能です。
恋愛が難しくなる場合、幼少期の両親や身近な養育者との関係が影響していることもあるため、何が自分に影響を与えるのかを知ることで、いたずらに振り回されなくなる効果を得ることができます。
恋愛対象として人を好きになるための方法とは
恋愛対象として人を好きになるためには、他人に関心を持つ努力をする、褒め言葉を受け止め完璧を手放す、他人の良いところを探すなどの方法が役立ちます。
よく「理想の結婚相手は良い相手に出会った時に見つかるのではなく、心の準備が整った時にたまたま隣にいた人である」と言われますが、まさにその通りなのです。
以下は、どれも明日から実行できるものばかりです。普段から意識することを心がけてみてくださいね。
他人に関心を持つ努力をする
人を好きになるためには、まず相手を知らなければなりません。会話の進行やデートの打診を相手まかせにせず、積極的に自分から話しかけたり、デートの約束を取りつけたりしてみましょう。
LINEのメッセージのやり取りで事前に相手の興味関心や休日の過ごし方、望む恋人との関係性や将来の見通しなどを質問しておき、実際に会った時に深掘りして行くことをおすすめします。自分との共通点を見つけることも意識してみましょう。
共通点が見つからなくとも、相手の好きなことや大切にしている価値観について質問していくうちに相手の人となりがわかるため、自分に合いそうかどうかを判断する材料を増やすことができます。
ぜひ自分から心を開き、相手に関心を持つ努力を惜しまないことを意識してみてください。
褒め言葉を受け止め完璧を手放す
完璧主義が強いと、相手から褒められてもその言葉を素直に受け取れず「そんなことない」と謙遜してしまうことが多いです。
完璧でない自分をありのまま受け止め、自己受容することで褒め言葉を受け取りやすくなります。まずは、完璧を手放すことを意識してみましょう。その次に、褒められたら「ありがとう」と言葉を素直に受け取ることを意識してみましょう。
人はお互いに完璧でないからこそ、支え合って生きているのです。自分だけで完結しようとせずに、相手との補い合いで完璧に近いところを目指すことを意識すると気持ちが楽になります。
自分への厳しさを手放すと、次第に相手を減点評価したり、条件だけをみて判断したりすることも減っていきます。
他人の良いところを探す
良いところを探すことで、相手のポジティブな一面をフォーカスしてみることができ、好意を持ちやすくなる効果が得られます。
他人の良いところなんか見つからないという人は、リフレーミングという手法を用いることで探しやすくなります。例えば「女性に慣れていなそう」と捉えれば短所ですが、「浮気しなそう、一途そう」と捉えれば長所に変わるものです。
このように、相手の短所と思われる部分を見つけてしまった場合に、すかさず長所に変換していくことで、良いところをバランスよくみる目を養うことが可能です。
見つけた相手の良いところは、心の中で意識するだけでなく相手に褒め言葉として伝えることで、関係を深めていくこともできます。
「恋愛できない…」とお悩みの方へのメッセージ
「恋愛できない…」と悩む人の多くは、自分自身を「恋愛できない人」と決めつけてしまっていることが多いものです。憶測で決めつけてかかる癖があると、恋愛も上手くいきにくいため気をつけましょう。
自分に対して「恋愛できない人」と決めつける代わりに「何かしらの理由があって、恋愛感情を持ちにくい状態となっているのだろう」と考えることで、その理由は何だろう、どのような対処をすれば改善できるだろうと内省するきっかけとなります。
諦めずに、自分自身と向き合う姿勢を持つことを忘れずに。時には身近な人やカウンセラーなどの専門家に相談をしてみる手段も検討してみることが大切です。
壁打ちをしながら、自己理解を深め、適切な対処を繰り返すうちに少しずつ心の癖が解けて、人を好きになりやすくなっていくはずです。
皆さまが素敵な人と出会い、良いパートナーシップを築けるよう、心から祈っております。
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