「この人と結婚したいけれど、年の差が原因でうまくいかなかったらどうしよう」「年の差婚をして将来後悔しないだろうか」と不安を抱えていませんか。
確かに、年齢の差がある結婚は離婚率が高いといわれています。しかし一方で「年の差があったからこそ結婚生活がうまくいった」との声も少なくありません。
この記事では、年の差婚で直面する可能性のある課題や後悔しやすいポイント、幸せになるためにしておきたいことなどをご紹介します。年の差婚のメリットとデメリットを比較しながら、幸せな結婚生活を送るためのヒントを探してみてください。
関連記事はこちら→バツイチ女性と初婚男性の結婚はうまくいく?後悔しないための準備を夫婦関係のプロが解説

梅田ミズキさん
認定心理士、サービス介助士。大学で臨床心理学・産業組織心理学・発達心理学などを学び、卒業後は公的施設にて精神疾患の方のケアや介助業務、ご家族の相談対応などに従事しながら、ホームページ掲載用のコラムやミニ新聞を執筆。現在はフリーライターとして独立し、くらしにまつわるエッセイの執筆、臨床心理・発達支援・療育関連のコンテンツ制作および書籍編集に携わりながら、心理カウンセラーも務めている。趣味は読書、映画鑑賞、気まぐれで向かうプチ旅行。
年の差婚の離婚率は高い?

ベンナビ離婚が行った調査によると、離婚経験のある20代〜60代の男女200名のうち「年の差5歳以上」での離婚率は約33%、そして「年の差5歳未満」では約15%でした。この結果から、年齢の差が大きくなるにつれて離婚率も高くなる傾向があるとわかります。
なお「年の差10歳以上」では、回答者10名中離婚した方が1名のみと離婚率は高くありません。しかし、回答した人数が10名と少ないため、必ずしも離婚率が低くなるとは言い切れないようです。
なお、上記はあくまで統計的な結果のため、個人の関係性によって結果は大きく異なるものです。離婚の原因は年齢差だけではなく、コミュニケーションの質や価値観の違い、経済状況などさまざまな要因が複雑に絡み合っています。
「自分たちには年齢差がある」と認識し、違いを認めたり楽しめたりしながら安定した関係を築いている方々も多くいらっしゃいます。
【参考】年の差婚の離婚率は高い?200名アンケートでわかった年の差婚の主な離婚率|ベンナビ離婚
年の差婚で後悔することが多いポイント

年の差があると離婚率が高くなる傾向の原因として「年の差婚ならではの課題」が挙げられます。ここでは、男性が年上の場合または女性が年上の場合、それぞれのシチュエーションで生じやすい後悔のポイントをみていきましょう。
男性が年上の場合
価値観やライフスタイルの違いが顕著に出やすい
世代が異なれば育った時代背景も違うため、家事分担や子育て方針、休日の過ごし方など日常生活のさまざまな場面で意見の相違が起こりやすくなります。例えば、年下の妻が「もっと協力的な夫が良かった」と感じたり、年上の夫が「自分の考え方を理解してもらえない」と不満を抱いたりすることでお互いの溝が深まっていくパターンなどです。
社会的な視線やプレッシャーを感じる

年の差が大きいカップルは、周囲からの好奇の目や偏見にさらされることがあります。特に夫が年上の場合、年下の妻は「お金目当てではないか」「父娘に見える」といった心ない言葉に傷つくこともあるでしょう。
また、親族からの反対や友人との価値観の違いから孤立感を感じるケースも少なくありません。特に年下の妻は同世代の友人と異なる生活環境になりやすいため、社会的なつながりが希薄になり孤独を感じる場合があります。
子どもを持つタイミングの問題
男性が年上の場合「子どもを持つかどうか」「いつ持つか」というタイミングで悩む場合があります。年上の夫はすでに子育てに消極的だったり、子どもができても高齢の父親となることで体力面での不安を抱きやすかったりするかもしれません。
また「子どもの成長過程で父親が高齢になるのが気がかり」との声も聞かれます。年下の妻が「もっと若いうちに子どもを持ちたかった」と後悔するケースや、逆に子どもを持たない選択をして悔やむケースもあるようです。
介護や健康問題の負担が増える

男性が大幅に年上の場合、妻が比較的若いうちから夫の健康問題や介護の問題に直面する可能性があります。例えば、40代の妻が60代後半の夫の介護を担うようになったり、自分のキャリアや人生計画が思うように進められなくなったりすることへの不満が蓄積するケースも珍しくありません。
特に結婚前に具体的な将来設計や健康問題について話し合っていなかった場合、この負担は想像以上に大きく感じられる場合があります。
女性が年上の場合
妊娠・出産の価値観が異なる
女性が年上の場合、特に10歳以上の年齢差があると、妊娠・出産に関する生物学的な制約に直面することがあります。女性の妊娠適齢期を考えると、結婚後すぐに子どもを望む必要が出てくる場合もあり、夫婦関係を十分に育む時間が持てないことへの不満や後悔につながるケースも少なくありません。
また、高齢出産のリスクや不妊治療の可能性も視野に入れる必要があり、精神的・身体的・経済的な負担が予想以上に大きくなる場合があります。
キャリアと経済力に劣等感を抱きやすい

女性が年上でキャリアを積んでいる場合、年下の夫が「自分はまだ経済的に未熟だ」と劣等感を抱いたり、女性側が「もっと対等な関係を築きたかった」と感じたりなど、経済的な優位性から生じる力関係のバランスが問題になる場合があります。
一方で、女性が年上で専業主婦の場合に「年下の夫の収入だけでは理想の生活水準を維持できない」とのギャップに苦しむ場合もあるようです。どちらのケースも、事前の話し合いや価値観の共有が不足していると後悔につながります。
老後の孤独への不安
女性の平均寿命は男性より長いことが統計的に示されていますが、それに加えて年齢差があると、女性が一人で過ごす老後の期間がさらに長くなる可能性があります。「年下の夫との幸せな日々を過ごした後、一人取り残されて不安や寂しさを感じる」との声もあるようです。
身体的な衰えの差による心理的負担

女性が年上の場合、身体的な衰えが先に訪れることで夫婦関係に影響が出る場合があります。「自分はもう若くないのに、夫はまだ若々しい」という比較から生じる劣等感や、夫の浮気への不安を抱えるケースも少なくありません。
また、若さを保とうと無理をすることでストレスが増大したり、自然な老いを受け入れられない心理的苦痛を経験するケースもあります。
年の差婚のメリットは?

年の差婚には課題がある一方で、年齢差だからこそ生まれる魅力や強みも多くあります。ここでは、年の差婚ならではのポジティブな側面に焦点を当てていきましょう。
異なる視点や経験から学び合える
異なる時代背景で育っていると、それぞれがさまざまな経験や知識を持っています。そのため、お互いの視野を広げ、新しい価値観や考え方に触れる機会が生まれやすいのが特徴です。
例えば、年上のパートナーからは人生経験に基づく知恵や落ち着いた判断力を学び、年下のパートナーからは柔軟な思考や新鮮な視点を得られます。お互いの成長を補って関係をより豊かにできるのは、年の差婚の大きなメリットです。
経済的に安定しやすい

年上のパートナーがある程度のキャリアを積んでいる場合、経済的な安定を得やすいという大きなメリットがあります。日本では、多くの会社で年齢が上がるごとに地位が確立されたり、給料が上がったりするためです。
また、年齢差があると二人のキャリアステージが異なるため、家計全体のリスクを分散できるとの利点もあります。さらに、年上のパートナーが培ってきた金銭管理のノウハウや投資の経験が、二人の資産形成に役立つケースも少なくありません。
不用意な衝突を避けやすい

年の差婚では、同年代のカップルに比べて喧嘩が少ない傾向があります。年上のパートナーが、人生経験から培った冷静さや忍耐力、問題を解決する力を関係に持ち込めるためです。
また、異なる世代で育ったことによる価値観の違いから、お互いを「当然」と思わず、理解しようと努力する姿勢が自然と身につきやすい側面もあります。「相手は自分とは違う背景を持っている」との認識が最初からあるため、違いを受け入れる寛容さが構築されやすいのです。
役割が明確でお互いを補い合える
それぞれの強みを活かした役割分担が自然と生まれやすくなるのも、年の差婚のメリットです。例えば、年上のパートナーが経験を活かして家計管理や将来の計画を担当し、年下のパートナーが体力を活かして家事や子育てを担当するなど、お互いの得意分野で補い合う関係が構築できます。
もちろん、固定観念にとらわれず、それぞれの特性や希望に合わせた役割分担が大切です。しかし、年齢差による役割のバランスがうまく取れると「自分にできないことを相手が補ってくれる」という安心感が生まれやすくなります。
世間体にとらわれない純粋な愛情を得られる
年の差婚を選ぶカップルは、社会的な基準や他人の目を気にせず、純粋に相手の人間性に惹かれて結婚を決めているケースが多いものです。「年齢」という表面的な条件ではなく、価値観や相性、人間性など本質的な部分でお互いを選び合っているため、関係の基盤がより強いのが大きな魅力といえます。
また、年齢差があることで最初から「違い」を認識しているため、相手の個性を尊重する姿勢が自然と身につき、お互いの違いを受け入れる許容性が高まります。「ありのままの自分を受け入れてもらえる」という安心感から、お互いに頼ったり甘えたりしやすいのもメリットです。
年の差婚で幸せになるためにできること
年の差婚で直面する可能性のある問題を理解したうえで、どのように幸せな結婚生活を築いていけばよいのでしょうか。ここでは、年齢差を乗り越えて豊かな関係を育むための具体的なアドバイスをご紹介します。
将来のライフプランを具体的に話し合う

年の差婚で幸せな関係を築くために、将来のライフプランについて具体的かつ素直に話し合いましょう。特に以下のテーマについては、結婚前から十分話し合っておくのがおすすめです。
例えば以下のようなことです。
- 健康問題
- 介護
- 子どもを持つかどうか
- 経済計画
- 老後の生活 など
また、単に話し合うだけではなく、健康管理や資産形成、保険加入など、計画に基づいての具体的な行動も重要です。将来の不安要素に先手を打つことで、後になって「あのときもっとちゃんと話し合っておけば」という後悔を防げます。
お互いの世代間ギャップを理解して尊重する

年の差婚では、家事や育児に対する考え方や金銭感覚、余暇の過ごし方など、世代によって異なる価値観で衝突してしまう可能性があります。そのため、育った背景の違いから生じる価値観やライフスタイルの違いを理解して尊重する姿勢を持つのも、年の差婚をするうえでとても重要です。
違いを「正しい・間違い」で判断するのではなく「自分とは違う新しい視点」として受け止め、お互いに学び合う機会と捉えましょう。年上のパートナーは年下の世代の考え方に柔軟に適応する努力を、年下のパートナーは年上の経験や知恵を尊重する姿勢を持つのが大切です。
健康管理と体力差への配慮を忘れない
年齢差があるカップルでは、どうしても体力や健康状態に差が出やすくなります。そのため、年上のパートナーは年下のパートナーとの生活を長く楽しむために、定期的な健康診断や適切な運動、バランスのよい食事など、健康維持へ積極的に取り組んでみるのはいかがでしょうか。
同時に年下のパートナーは、相手の体力や健康状態に配慮した生活リズムを心がけましょう。
例えば以下のようなことです。
- 旅行計画を立てる際には無理のないスケジュールを組む
- 家事や育児の分担を体力に応じて調整する
- 将来の健康リスクや介護の可能性についても現実的に話し合う など
必要に応じて外部サポートの活用も検討しておくと、一方に過度の負担がかかる状態を防げます。お互いの体力の差を認識しつつ一緒に歩める歩幅を見つけるのが、よい関係を長く続ける秘訣です。
コミュニケーションを大切にする

年の差婚に限らずですが、誰かと人生をともにするうえで重要なのは「コミュニケーションを取り続けること」です。夫婦間のさまざまな課題や誤解は、オープンな対話で解決できるケースも多く存在します。
日々の些細な出来事から深い悩みまで、お互いに心を開いて話し合える環境を意識的に作りましょう。特に「言わなくてもわかるだろう」という思い込みは避け、年代の異なる相手には自分の考えや感情を丁寧に説明する姿勢が大切です。
例えば以下のようなことです。
- 週に一度は二人だけの時間を設ける
- 感じたことや気になったことを話し合う「対話の時間」を習慣化する
- 単に話すだけでなく、相手の言葉に耳を傾けて理解しようとする
- 「あなたの考えをもっと知りたい」という好奇心を持ち続ける など
なお、二人で解決するのが難しい問題が生じた場合には、カウンセリングなどの専門的なサポートを利用するのもおすすめです。
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独自の夫婦文化を創り上げる
「周囲の目が気になる」「年の差があるから、一般的な夫婦像とは違う」との気持ちでこの記事を読まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、年齢差があるからこそ、従来の「夫婦らしさ」や「男女の役割」といった固定観念から自由になり、二人の個性や強みを活かした独自の夫婦文化を育めます。
例えば以下のようなことです。
- 家事の分担は年齢や性別ではなく得意不得意で決める
- それぞれの世代で流行した映画や音楽、ファッション、食べ物などを交互に体験して楽しむ
- 年齢差を活かした旅行計画を立てる
- それぞれの友人と交流して人間関係の世代を広げる など
二人で新しい経験を重ねることで、年齢差よりも共有する思い出や価値観が関係の中心になっていきます。
年の差を超えて二人だけの幸せを見つけるために

年の差婚には、メリットとデメリットが存在します。しかし「年の差婚だから」と自分たちで制限を設けるのは、非常にもったいないことです。「自分たちの関係は自分たちが決める」という周囲に左右されない気持ちが、強い関係を築く基盤になります。
将来のライフプランを具体的に話し合ったり、世代間のギャップを理解して尊重し合ったりなど、誠実なコミュニケーションを続けることで、多くの年の差カップルが幸せな結婚生活を実現しています。まずは「普通の夫婦」という固定概念にとらわれず、二人だけの独自の関係性を創り上げるイメージを持ったうえで「いまだけではなく老後も一緒に過ごせる相手か」を考えてみてくださいね。