周りの人からどう思われているのか、どういう目で見られているのか、そういうことが気になってしまうことがありませんか?人の目が気になることで、萎縮してしまったり、気持ちが落ち込んでしまうこともあるでしょう。それが強いストレスになってしまう人もいます。
そこで今回は、「人の目を気にしてしまうのは、どうしてなのか」「どうすれば人の目が気にならずにいられるようになるのか」ということを知り、少しでも楽に過ごせるようになるための考え方や方法について解説します。
臨床心理士・公認心理師
aiirococcoさん
公認心理師、臨床心理士として総合病院に勤めています。小児科外来をはじめ、緩和ケアチームやリエゾンなど幅広い年齢層の方の心理支援を行っています。また、webライターとして主に心理系の記事を執筆中。誰かに相談するほどではないけど困ったな、というときに役立つ情報を発信できるよう頑張ります。
人の目が気になる人の特徴
おそらく、周りの人を見ていると、人の目が気になってしまう人とあまり気にならない人がいることに気づくと思います。人の目が気になると感じる人には共通する特徴があります。あなたもこういう特徴を兼ね備えているのではないでしょうか。
①空気を読みすぎる
人の目が気になる人は、空気を読みすぎる人でしょう。周りにとても気を遣い、嫌な気持ちにさせないよう、変な空気にならないよう、とても気をつけて行動しているはずです。空気を読むということは、必要以上に周りの表情や言動に敏感になっているのではないでしょうか。
②自分に自信がない
人の目が気になる人は、自分に自信がないかもしれません。自分に自信がないので、他人からの評価を気にしてしまうのです。周りにどう思われるのか、どういう目で見られるのかということが、直接あなたの価値につながります。そのため、人の目が必要以上に気になってしまうのです。
③ネガティブ思考
人の目が気になる人は、ネガティブ思考に陥りやすいところがあります。誰かと目があっただけで「何か変なところがあるのかもしれない」と自分の髪型や服装、行動などが気になってしまうのです。ニコニコと笑顔を向けられても「気を遣われている」とか「本当は迷惑なのかもしれない」など裏を勘繰ってしまうのではないでしょうか。
④プライドが高い
人の目が気になる人は、プライドの高さも持っている場合があります。それゆえ、失敗をしたくない、ダメな人だと思われたくないといった気持ちを持ちやすいのです。少しでも批判的な目線を感じてしまうと、途端に不安が募ってしまい、自分のプライドが傷ついたと感じてしまうのではないでしょうか。
人の目が気になる心理や原因とは?
人の目が気になるとき、人はどういう心理状態になってしまっているのでしょうか?どうして人の目が気になってしまうのか解説します。
①嫌われることが怖い
人の目が気になってしまうとき、おそらく嫌われてしまうことを恐れている人は多いでしょう。ひどい人だとか、マナーのなっていない人だとか、そういうことを思われて疎外されてしまうことを怖がっているかもしれません。
ひとりぼっちになってしまうことを恐れる気持ちが強いのではないでしょうか。過去にいじめられたり、仲間はずれにされた経験があり、それが刺激されているのかもしれません。過去の傷が癒えないことで、今も影響を受けているのでしょう。
②役立たずだと思われることが怖い
人の目が気になってしまうとき、役に立たないとか、必要がないなど存在意義を失うような評価を下されることも恐れています。あまりよくない視線を向けられると感じると、自分の価値がとても低くなってしまったと思い、深く傷ついてしまうのではないでしょうか。早く挽回しなければならないと焦る気持ちも感じていそうです。
献身的で他人の役に立ちたい気持ちが強いが故に、役に立てない自分ではいけないと思い込んでしまっているのかもしれません。そのせいで、人の目が気になり、必要ないと言われないかビクビクしているのです。
③傷つくことが怖い
人の目が気になってしまうとき、傷つくことを恐れて先回りしている可能性もあります。まるでシグナルのように、誰かの視線を感じると、萎縮してしまい、逃げ出したくなったりするのではないでしょうか。
はっきりと何か嫌なことをされたり、傷つくようなことを言われたりしてしまう事態を避けたい気持ちが強いため、人の目を気にして先回りしているのでしょう。元々の心の繊細さがありそうですし、過去に強く傷つけられた経験があるのかもしれません。
④間違いを指摘されたくない
人の目が気になってしまうとき、自分の言動に不安を感じつつも、間違いを指摘されたくないと感じているのではないでしょうか。何か意見を求められて、自分なりの考えを述べつつも、これで合っているのか「バカなことを言っている」と思われていないか、そういう不安が付き纏っていそうです。
失敗したくないとか、馬鹿にされたくないなどプライドの高さと傷つきやすさが原因となっているのでしょう。あなたの意見を聞いた上で反対意見を言われたり、否定されたりすると、さらに強いストレスを感じてしまいそうです。
人の目が気になることで起こりうる影響とは?
人の目が気になることで、通常とは違う言動をとってしまうことがあります。それが実際、どういう影響を及ぼすのでしょうか。
①言いたいことが言えない
人の目が気になることで、言いたいことが言えなくなることがあります。言ってしまったら、みんながどう思うか考えてしまい、言葉を飲み込んでしまいがちでしょう。また言ってしまったら言ってしまったで、今度はひとり反省会になりそうです。どうしてあんなことを言ったのか、もっといい言い方があったのではないかと悶々と考えてしまうでしょう。
②コミュニケーションを避けがちになる
人の目が気になることで、人とコミュニケーションを取ること自体へのストレスを感じるようになってしまいます、常に相手の視線や言動に目を向けて神経をすり減らし、あれこれ裏を考えながらのコミュニケーションは、確かに疲れるでしょう。それが複数人となると、余計にしんどさが増すはずです。それ故、コミュニケーションを取らずに済むように、人を避けることが増えてしまいます。
③いい人でいなければならなくなる
人の目が気になることで、常にいい人でいなければならないというふうに自分を縛ってしまうかもしれません。気持ちが疲れていても、常に笑顔で、相手の望むような受け答えをすることを自分に課してしまうのではないでしょうか。自分がどれだけ無理をしていても、それを表には出さず、人に優しくすることを頑張りすぎてしまいます。
④本当の自分を見せられない
人の目が気になることで、本当の自分を見せられず、隠さなければいけなくなってしまいます。好きな趣味を共有できなかったり、本当は好きなファッションに身を包めなかったりと不自由さが出てきてしまうでしょう。万人受けするもので自分の周りを固めても、心が浮き立つことはないはずです。ただ本当の自分を見せて、変な視線を受けたときに、耐えられないと感じてしまうのでしょう。
周りの目に大きな不安やストレスを感じる場合、注意すべき病気とは?
周りの目を気にすることは、それなりに誰もが経験したことがあることでしょう。ただ、中には周りの目が大きな不安やストレスを生じさせてしまう人もいます。もしかするとその場合、病気が関係しているのかもしれません。
病気のせいで周りの目が気になっているのであれば、治療することで今の苦しさから抜け出すことができるかもしれません。
①社交不安障害
人の目が気になるときに、まず考えられるのが社交不安障害です。対人恐怖症という診断になる場合もあります。人前で話すことが怖くて、会議などで前に出ることができない。人前で食べることが怖くて、接待や職場の飲み会などへの参加ができない。人目が気になることで、社会生活に支障が出る場合は、病気によるものかもしれません。
人目を過度に気にしやすく、自分の視線を向ける方向や表情ひとつまで、とても細かく気になってしまいます。社交不安障害は、薬物療法と認知行動療法などで改善することができます。自分が弱いから仕方がないと思うのではなく、早めの受診がおすすめです。
②統合失調症
人から見られると、見張られているとか狙われているなどの強い緊張感と恐怖を感じるのであれば、統合失調症の可能性もあります。周りの人は聞こえない悪口が耳元で聞こえてしまったり、常に誰かから見張られているような今までにない怖い感覚がある場合は、早めの受診が必要です。
統合失調症は、脳の発育不全によって起こると言われています。早期の治療がとても大切な病気ですので、もし何かいつもと違う違和感と強い恐怖を感じるのであれば、近くの専門家にすぐご相談ください。
③HSP
最近よく目にするようになったHSP。おそらく1度くらいは目にしたことがあるのではないでしょうか。病名ではなく、そういう気質であるということです。HSPは感受性が強すぎることで、周りの感情や環境の変化に影響を受けてしまいます。周りの人が気づかないような些細なことに気づき、傷ついてしまったりします。また周りで叱責を受けている人がいたりすると、その叱責の声でドキドキし気持ちが落ち込んだりもします。
HSPの人は、常に周りに対して、たくさんのアンテナを張っているような状態です。そのため、人の目が気になるのと同じような状態になってしまうのです。自分の気質を知ることで、自分を上手に守る術を身につけることができます。自分を客観的に捉えるためには、カウンセリングなどの利用もお勧めです。
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人の目を気にしないための方法や考え方
病気ではなかったとしても、やはり人の目を気にしてしまうのは心の負担になってしまうものです。日々を少しでも楽に過ごすために、どういう方法や考え方をするとよいか解説していきます。
①自分の気持ちに目を向ける
人の目を気にする人というのは、視線をそちらに向けることが癖になってしまっています。自分の気持ちよりも、人の気持ちに目を向けてばかりいることを、まず自覚できるといいかもしれません。自覚することで、意識的に自分を変えることができます。
人の目が気になったら、すぐ自分の気持ちに目を向けてみましょう。自分はどう感じているのか、何か心配なことがあるのか。そういう練習をすることで、少しずつ人の目が気にならなくなっていきます。すぐには変化しませんが、日々の練習は必ず結果につながるはずです。
②相手がどう思っているかは聞かないとわからない
人の目を気にする人は、自分の中であれこれ想像し、あたかもそれが本当かのように感じてしまうところがあります。ただ、意外と的を得た想像をしていることは少なく、結構実際に相手が考えていることとはズレていることが多いものです。
人の目が気になってしまい、苦しく感じるときは、自分の洞察に疑問を投げかけてみるとよいでしょう。本当はぼんやりしていて、たまたまあなたと視線が合っただけかもしれません。それなのに「ダメな人と思われている」と考えているとしたら、ひとり相撲もいいところです。「本心は聞かないとわからない」と自分に言い聞かせることは効果的でしょう。
③自己肯定感を上げる
人の目が気になるのは、あなた自身が自分の価値を理解できていないからです。自信家な人は、誰からどういう目で見られるかを気にしないものです。自信家になる必要はないですが、ある程度自己肯定感を上げることで、人の目が今ほど気にならなくなるでしょう。
自己肯定感を上げるためには、自分をよく知り、好きになることが大切です。また失敗したりダメだったりする自分を許すことも必要でしょう。奥ゆかしさは必要ですが、あまり自分を卑下した言葉を発するのも考えものです。たまには堂々と自分を褒めてあげてもいいかもしれません。
人の目が気になる人におすすめの書籍
本にはたくさんの有益な情報が書かれています。人の目が気になってしまって、心が疲れたときには、本を読むといいかもしれません。人の目を気にしないための方法や考え方が、スッと入るような本、そして心を癒してくれる本を紹介します。
①「他人の目が気になる・怖い」から抜け出す 松本一記・吉永尚紀 著
最近発売されたばかりの本です。他人の目が気になる人が、自分でできる対処方法(認知行動療法)について丁寧に書かれています。この本のよいところは、困りごと別に分けられて書かれているところです。とにかく現状をなんとかしたい人にお勧めです。
②最新研究でわかった “他人の目”を気にせず動ける人の考え方 堀田秀吾 著
これは主に、他人の目を気にせず動ける人が、どういう考え方を持っているのかを理論的に解説した本です。考え方を知ることで、そういう考え方を自分の中にも取り込んでいくことができます。思慮深く悩みやすいタイプの人にお勧めです。
③ききがたり ときをためる暮らし つばた英子・つばたしゅういち 著
人の目が気になってしまって心が疲れたときに、開いてみると、ふっと心が軽くなる本です。ふたり足して171歳の夫婦が、自分たちと周りの人たちを大切にしながら過ごす様子が語り口調で描かれます。ストレスに潰されそうな人に、お勧めの本です。
まとめ
人の目をまったく気にしないのは、それはそれできっと問題です。でもあまり気にしすぎてしまうと、人生が窮屈でつまらないものになってしまいます。もし人の目が気になってしまって、縮こまっているのであれば、少しずつ自分を、人の目から解放してあげましょう。時間はかかるかもしれませんが、きっと変わることができます。
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