相手の気持ちを考える7つの方法。うまくできない理由や心理とは?【心理士解説】

あなたは、何気なく発した言葉で相手が表情を曇らせたり、なぜか急に怒り出したりということがありませんか?そういう時、自分は人の気持ちがわからないのかもしれないと落ち込んだり、悲しい気持ちになってしまったりしますよね。

相手の気持ちを考えることができない時、おそらく何かしらの理由があるはずです。また、そういう時、心の中ではどういったことが起こっているのでしょうか?うまく相手の気持ちを考えられる人になるための方法を含めて解説していきます。

執筆者

臨床心理士・公認心理師

aiirococcoさん

公認心理師、臨床心理士として総合病院に勤めています。小児科外来をはじめ、緩和ケアチームやリエゾンなど幅広い年齢層の方の心理支援を行っています。また、webライターとして主に心理系の記事を執筆中。誰かに相談するほどではないけど困ったな、というときに役立つ情報を発信できるよう頑張ります。

目次

「相手の気持ちを考える」とはどういうことか

相手の気持ちは目には見えないものです。極論を言えば、相手の気持ちはきちんと相手が言葉にして伝えてくれないとわからないでしょう。では、相手の気持ちを考えるとは、どういうことなのでしょうか?

①相手の立場に立って想像する

もし自分が相手の立場に立っていたら、どんな気持ちになるだろうか、ということを考えることは、相手の気持ちを考えることにつながります。あなたと相手の人は性格も考え方も違う別人格です。けれども、相手の立場に立つことで、その人を取り巻く環境や、その時の心情を想像することはできるでしょう。

②相手が欲していることを考える

相手の立場に立って想像することより、さらに一歩進んで、相手が欲していることを考えることも相手の気持ちを考えることにつながります。どういうことを相手が自分に望んでいるのか、どんな言葉をかけてほしいと思っているのか。そういう一歩進んだ視点を持つことも、相手の気持ちを考えることにつながります。

③相手が欲していないことを考える

これは②の逆パターンです。良かれと思ってやったのに、相手があまり嬉しそうではない場合があります。それは、相手の気持ちではなく、自分の気持ちを優先してしまったからかもしれません。相手が欲していることがあるように、欲していないことがある場合もあります。

励まして欲しかったわけではないのに励まされたり、アドバイスは求めていなかったのにアドバイスされたり。そういうすれ違いが起こらないよう、してほしくないことは何なのかを考えることも、相手の気持ちを考えることです。

④よく話を聞く

相手の気持ちを考えるのであれば、よく話を聞くことが大前提です。相手の気持ちを一番よく理解しているのは、相手です。だからこそ、自分にもわかるように教えてもらうという作業が必要なのです。想像だけでは補えないものがあります。また、誠実な姿勢で聞くことで、相手も気持ちを考えようとしてくれていると実感することにつながります。

⑤表情や仕草、視線の動きなどを読み解く

相手の気持ちを考える時、必ずしも相手が気持ちを言葉にして伝えてくれるとは限りません。ただ、そういう時でも表情や仕草、視線の動きなどを見れば、相手の気持ちを考えることができる場合があります。よく観察すれば、なんとなく相手がイライラしているのかもしれないとか、疲れているのかもしれないなど心情が見えてくるはずです。そういうことも相手の気持ちを考えることにつながります。

相手の気持ちを考えられることで得られるメリット 

相手の気持ちを考えられるということは、相手にとっていいことだけではなく、あなた自身にとってもいいことがたくさんあります。相手の気持ちを考えられることで得られるメリットにはこういったものが挙げられます。

①対人関係が円滑になる

相手の気持ちが考えられると、対人関係が円滑になります。気持ちを察してくれる人のことを、邪険にする人はいないでしょう。人は、ポジティブな関わり方をしてくれる人には、ポジティブな関わりを返そうとするものです。だからこそ、あなた自身が相手の気持ちを考えられる人になることで、周りも変わってきます。

また、相手の気持ちを考えられることで、ギスギスした雰囲気にならずに済ませることができます。誰かが少しピリピリしていても、相手の気持ちを考えて動いたり声をかけたりすることで相手の気持ちを和ませることもできるでしょう。

②自己肯定感が上がる

相手の気持ちが考えられると、相手が喜んでくれることが増えます。そうなると、あなた自身の自己肯定感も上がるのではないでしょうか。目の前にいる人を笑顔にできると、気分がいいものです。

相手の気持ちが考えられないと、どうしても自己肯定感も下がってしまうでしょう。自分の言葉によって、相手が怒ってしまったり、周りからも冷ややかな目で見られたりし、あなた自身も傷ついてしまうでしょう。相手の気持ちが考えられることで、そういった状況に陥ることが減り、自然と自己肯定感も上がります。

③適切な声掛けができる

もし相手の気持ちを考えることができなかったら、きっと相手がどういう言葉を求めているのかを理解できず、的外れなことを言ってしまうでしょう。疲れて癒しを求めている人に「頑張れ!」と叱咤激励をしてしまい、余計に相手を追い詰めるなどということになりがちです。

相手の気持ちを考えることができれば、相手がどういう言葉を欲しているのか、必要な声掛けが何なのかがわかりやすくなります。せっかく相談してくれた時に、相手の気持ちを軽くするような、いい声掛けをすることができるでしょう。

④信頼感を得やすい

相手の気持ちが考えられる人は、やはり周りからも信頼されやすいでしょう。相手の気持ちを考えようとする人は、人が嫌がるようなことはしませんし、人に対して真摯です。そういう姿勢の人は、やはり信頼に足ると思われやすいのではないでしょうか。

 困った時や悩んだ時に相談されやすかったり、言葉を聞いてもらいやすかったりするでしょう。信頼感を得やすいということは、あなた自身が困ったときに助けようとしてくれる人がたくさんいるということです。

相手の気持ちを考えられない理由や心理 

では、相手の気持ちが考えられないのはどうしてなのでしょうか?心の中でどういう動きがあるから、相手の気持ちが考えられなくなってしまうのかを知ることは、相手の気持ちを考えることへの第一歩です。

①心に余裕がない

相手の気持ちが考えられないのは、あなた自身の心に余裕がないせいかもしれません。自分のことで手一杯になっている人は、相手の気持ちを考える余裕を持つことができないでしょう。

言葉通りに受け取って、裏に隠れた相手の心情を見ないようにしていたりするかもしれません。また、何か相手があなたに伝えようとしていても、聞ける雰囲気を作っていない場合もあるでしょう。心に余裕がない時には、誰だって相手の気持ちを考えることはできないはずです。

②自分に置き換えて考えている

相手の立場に立って想像することは大切なのですが、その時に「自分なら」という考えにより過ぎている場合があります。あなたと相手は別人格ですので、あなたの気持ちが相手の気持ちを同じとは限りません。相手ならどう感じるのか、どういう気持ちになるのか、そういう視点が抜けてしまっているのではないでしょうか。

これは結構ストイックでタフな性格を持った人に多い傾向があります。すぐ弱音を吐いてしまう人を見ると、イライラしてきてしまい「自分ならこうする!頑張れ!」と叱咤激励してしまうのです。それで相手を泣かせたり、距離を置かれたりする場合があるでしょう。

③想像ができない

相手の立場に立って相手の気持ちを考えるということ自体が、いまいち感覚としてよくわからない人もいるかもしれません。想像しようとしても、自分に経験がないと想像が膨らまず、途方に暮れてしまうのではないでしょうか。

 確かに想像力には個人差がありますし、想像するということ自体苦手な人もいるでしょう。経験があれば、なんとなく「こういう状況で、こういう気持ちなのかな」と考えることはできますが、そうでないことに関しては何も浮かんでこず、あなた自身も苦しくなってしまうでしょう。

④相手の話を聞いていない

相手の気持ちが考えられないとき、もしかすると相手の話を聞いていない可能性があります。あなた自身が喋ることに夢中になってしまっていて、相手の話に耳を傾けていないということがあるのではないでしょうか。

もしくは、忙しくて相手の話を聞き流してしまっており、空返事だけしていることがあるのかもしれません。相手の話を聞いていない以上、相手の気持ちを考えるという方向には向かいづらくて当然ではないでしょうか。

⑤言いたいことを我慢できない

相手の気持ちを考えるより先に、自分が言いたいことが口から出てしまうという人もいるかもしれません。相手の話を聞きながら、パッと頭の中に思いついたことを、とにかく相手に伝えたくてうずうずしてしまうのでしょう。

そのため、相手の気持ちを考える間もなく、考えなしに発した言葉で、相手を不快な気分にさせてしまったということになりかねないのです。衝動性が高く、せっかちな人ほど、こういう状況に陥りがちかもしれません。

⑥面倒くさい

実は面倒くさいという気持ちが先立ってしまい、相手の気持ちが考えられなくなることがあります。この場合、おそらく相手の気持ちは、なんとなくうっすらとは考えられているのではないでしょうか。ただ、その通りに動くことが面倒くさく感じてしまい、それ以上は考えないようにしているのかもしれません。

それによって相手が怒ったりすると、余計に面倒くさくなってしまい、意固地になって喧嘩になる場合もあるでしょう。相手からすれば、気持ちを考えられない人と同じなのですが、実際は考えているけれども自分を優先している状態なのかもしれません。

⑦自分の考えが正しいと過信している

相手の気持ちが考えられない場合、自分の考えが正しいと過信してしまっている場合があります。そうなると、相手の気持ちや感じていることが、あたかも間違いのように思えてしまい、自分の正当性ばかりを強調してしまうことになるのです。

正論だけど、それだけでは救われないという場面は意外とあるのではないでしょうか。正しいからと思って、相手に伝えても、それでは相手の気持ちを考えることはできないでしょう。

⑧相手の状況を知らない

相手の気持ちを考える場合、その人の背景にあることや、その前後の出来事などを知っている必要がある場合があります。そういった情報がないままに相手の気持ちを考えることは、限界があるのではないでしょうか。

相手の気持ちを考えるためには、やはりそれなりにその人に関しての情報が必要です。情報が多ければ多いほど、相手の気持ちを的確に考えることはできるのではないでしょうか。その人の人となりや、状況などあまり知らないままに考えることは、やはり難しいです。

相手の気持ちを考えられるようになるための方法

では、どうすれば相手の気持ちを考えられるようになるのでしょうか。すぐに変わることはできないかもしれませんが、変わろうとした日から少しずつ変わることは可能です。今日からでも自分でできる方法を紹介します。

①聞き上手になる

相手の気持ちを考えられる人というのは、聞き上手な人が多いです。相手の話をしっかりと聞き取ることができることで、相手の気持ちを考えるための情報をたくさん手にしているのではないでしょうか。

自分の意見を挟むことなく、とにかくしっかりと相手の話に耳を傾けてみましょう。また話をしている時の、相手の表情や声の様子などにも目を向けてみると、もっと多くの情報を得ることができます。

②相手の立場で考える癖をつける

もし自分が相手と同じような状況になったらというのを、想像してみることは大切です。そこに、さらに相手の性格や考え方を加味することで、より相手の気持ちに近づくことができるのではないでしょうか。

「自分ならこうだ」というのは、相手の立場には立っているものの、まだ自分の気持ちしか見えていない状況です。もう少し深く相手になった状態で気持ちを想像することで、今よりも相手の気持ちが考えられるようになるかもしれません。

③言う前にその言葉を反芻してみる

言いたいことが我慢できず言ってしまい、結果的に相手を傷つけてしまう人は、言う前にその言葉を反芻してみるといいかもしれません。心の中でその言葉を投げかけてみることで、少し逡巡できます。

あまりいい印象はないと感じるのであれば、言葉にして出すことはやめておいた方がいいでしょう。相手の気持ちが考えられる人というのは、言葉を選びながらゆっくり話す傾向があります。慌てて言葉を口から出してしまうと、どうしても相手の気持ちを考えない言葉になってしまう場合があるからです。

④自分と相手は違うと理解する

そんなことはわかっていると思っているかもしれません。ただ、自分の物差しで相手のことを測ろうとする人は多いものです。自分ならそれくらいやれるのに、自分ならこういう時励まして欲しいのにという考えは、自分と相手を同じだと思っているからこそ、出てくる考えです。

人はそれぞれ性格が違いますし、どういうところで頑張れるのか、どういうところをつらいと感じるのか、みんな違っていて当然です。自分ならそれほどつらいとは感じないかもしれないけど、この人にとってはとてもつらいことなんだろうと考えることで、より相手の気持ちに近づけるかもしれません。

⑤心に余裕を持つ

人の気持ちを考えることができる人は、心に余裕があります。仕事が忙しすぎて毎日疲弊していたり、大きな心配事を抱えていていっぱいいっぱいな時は、なかなか人のことまで気持ちが回らなくて当然でしょう。

心に余裕を持つためには、自分に優しくできないといけません。無理をして仕事を背負いすぎていたり、やるべきことをたくさん詰め込んで頑張りすぎているのであれば、もう少し自分に余裕を持たせてあげるといいでしょう。

⑥正論通りにいかないことを理解する

人はなかなか正論がわかっていても、その通りに動くことができない生き物です。ただ、中には常に正しさを求め、真っ直ぐ生きている人もいます。自分がそういう生き方をしていると、どうしても相手に正論を突きつけたくなってしまうものです。

ただ、正論を突きつけることが必要な場面もあれば、そうとも言えない場面もあるでしょう。正論は分かっていても、そうできなくてつらいという気持ちがある場合もあります。「正論」に目を向けるのではなく、「そうできなくてつらい」という気持ちに寄り添うことで、相手の気持ちが少し考えられるかもしれません。

⑦視野を広く持つ

相手の気持ちを考えるためには、視野を広く持つことも大切です。視野を広く持つことで、相手を取り巻く状況が見えたり、欲していることが理解しやすくなったりするものです。共感的に相手の立場に立って話を聞くことも大切ですが、同時にもっと客観的に状況を見る力があると、言葉になっていない気持ちに気づくことができるかもしれません。

人の気持ちをあれこれ考えすぎてしまうことで、頭の中が混乱して考えられなくなる場合があります。そういう人は、もう少し肩の力を抜いて、視野を広げ俯瞰して見る練習をするとよいでしょう。人の気持ちをあれこれ考えすぎてしまうことで、頭の中が混乱して考えられなくなる場合があります。そういう人は、もう少し肩の力を抜き、視野を広げて俯瞰して見る練習をするとよいでしょう。

「相手の気持ちを考えられない」と悩む方へのメッセージ

「相手の気持ちを考えられない」と悩む人は、とても優しい人です。相手の気持ちを考えよう、相手の気持ちを大切にしたいという想いがあるからこそ、それがうまくいかないことを悩んでいるのでしょう。本当に相手の気持ちが考えられない人は、そもそもそういう悩みを持つこと自体ありません。

あなたは自分が言った言葉で相手が不快な気持ちになってしまったり、怒りや悲しみなどネガティブな感情にさせてしまったことを後悔しているのでしょう。また同じようなことをしてしまったらどうしようと不安になり、自然な会話ができなくなっているかもしれません。相手の顔色が気になったり、ひとり反省会ばかりしてしまっていたりするのではないでしょうか。

相手の気持ちを本当にきちんと正確に汲むことは難しいものです。けれども、大切なのは、相手の気持ちを考えようとする姿勢なのではないでしょうか。うまく気持ちを汲むことができなかったとしても、考えようとしていることは、相手にきちんと伝わるはずです。

まとめ

相手の気持ちを考えることができない時は、それなりに理由があったりするものです。相手の気持ちを考えることも大切ですが、まずは自分の心の状態に目を向けて見ることで、やるべきことが見えるかもしれません。

少し意識を変えることで、相手の感じ方も変わってきます。どうせ頑張っても変わらないし、考えることはできないと諦めるのではなく、わからないかもしれないけど考えてみようという姿勢が大切ではないでしょうか。

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