「頭がぼーっとする」「やる気が出ない」原因と対処法は?病気のサインの可能性についても解説

「毎日なんとなく頭がぼんやりしてやる気が起きない…」「仕事や家事に集中できずこのままでは困るけれど、どうしたらいいのかわからない」そんな不安や焦りを感じていませんか?

仕事や日常生活に支障をきたす状態が続くと「もしかして病気…?」と不安を感じる方も多いでしょう。実はこれらの症状には、さまざまな原因が隠れている可能性があります。

本記事では、頭がぼーっとしてやる気が出ない状態の原因から対処法、受診の目安まで、あなたの悩みに寄り添いながら詳しく解説していきます。一人で抱え込まずに、まずはご自身の状態を理解することから始めてみましょう。

執筆者

梅田ミズキさん

認定心理士、サービス介助士。大学で臨床心理学・産業組織心理学・発達心理学などを学び、卒業後は公的施設にて精神疾患の方のケアや介助業務、ご家族の相談対応などに従事しながら、ホームページ掲載用のコラムやミニ新聞を執筆。現在はフリーライターとして独立し、くらしにまつわるエッセイの執筆、臨床心理・発達支援・療育関連のコンテンツ制作および書籍編集に携わりながら、心理カウンセラーも務めている。趣味は読書、映画鑑賞、気まぐれで向かうプチ旅行。

目次

頭がぼーっとする原因は?

頭がぼーっとする原因は、主に生活習慣や環境、メンタルヘルスの側面が考えられます。

生活習慣に関連する原因

睡眠の質と量の問題

夜更かしや不規則な就寝時間、睡眠時間の不足は、脳の血流が低下して自律神経を乱す可能性があります。その結果、質の良い睡眠が取れず、脳の疲労を引き起こしかねません。また、睡眠中の無呼吸症候群などでも睡眠の質は低下するため、頭がぼーっとする要因となり得ます。

食生活の乱れ

「食事時間がつい不規則になったり栄養バランスの偏りが出てしまったりする」「時間がないと朝食を抜いてしまう」。忙しい毎日のなかで、そんなこともありますよね。しかし食生活が乱れると、血糖値の変動を引き起こし、頭のぼんやり感やだるさの原因になりがちです。また、水分摂取の不足も、脳の機能に影響を与える可能性があります。

運動不足による影響

「睡眠や食生活には気を付けているけれど、そういえば運動をあまりしていない…」そのような方もいらっしゃるのではないでしょうか。

運動不足は血行不良を引き起こし、脳への酸素や栄養の供給が不足する原因になります。デスクワークやリモートワークが多くなってきている現代人にとって、特に注意が必要です。

環境要因による影響

室内環境の問題

オフィスや自宅の室内環境は、私たちの体調に大きく影響します。例えば、温度や湿度が不適切な環境、換気不足による酸素不足は、頭がぼーっとする原因となるためです。特に、冷暖房の効いた密閉空間での長時間の作業は要注意といえます。

季節や気候の変化

季節の変わり目に、頭がぼーっとするなどの体調不良を感じる方も多いはず。これは、気圧の変動が自律神経系に影響を与えるためです。特に気圧の低下時には、頭痛やだるさを感じやすくなる方が多くなります。

電磁波や光の影響

スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器から発せられるブルーライトは、目の疲れだけでなく、脳の活動にも影響を与えかねません。また、蛍光灯などの人工照明による光環境も、体調に影響を与える場合があります。

メンタルヘルスの影響

過度なストレス

過度なストレスも、さまざまな身体症状を引き起こす大きな要因です。仕事や人間関係のストレス、将来への不安などの心理的なプレッシャーは、自律神経系のバランスが崩れて、頭のぼんやり感など大きな原因となることがあります。

不安や緊張の慢性化による心身の消耗

不安や緊張が持続的に続くと、自律神経のバランスが崩れ、心身に大きな負担がかかります。常に先のことを心配したり周囲の評価を気にしすぎたりすることで、神経が過敏になり、脳が疲弊する状態です。このようなことが続くと注意力や集中力が低下し、頭がぼーっとする状態が慢性化しやすくなります。

燃え尽き症候群(バーンアウト)の影響

仕事や家事、育児などを完璧にこなしたいという方は、心身のエネルギーを極端に消耗しがちです。このような状態が続くと、やがて燃え尽き症候群に陥り、それまでできていた簡単な判断や作業にも困難を感じるようになります。特に真面目で責任感の強い方ほど陥りやすく、自分でも気づかないうちに心身の疲弊が進行し、頭がぼーっとする感覚や意欲の低下が現れるケースも少なくありません。

ブレインフォグとはどういう状態?

最近の出来事を思い出せない、物事を表現する際に適切な言葉が出てこない、集中力が途切れたり意欲の低下がみられたりするなどの認知機能の低下を、“脳の霧(ブレインフォグ)“と呼ぶ場合があります。

ブレインフォグは、正式な医学用語ではありません。明確な定義はなく、思考力の低下や抑うつ症状、記憶障害などのさまざまな要素を合わせた状態と考えられています。

まだ明確な治療法は確立されておらず、症状が現れたとしてもはっきりと対処できないのが現状です。しかし、青年および成人の知能を測定する「WAIS-Ⅳ検査」、早期の脳血流障害や脳の機能評価、認知症の診断などにも使われる「脳血流SPECT検査」など、認知機能をより詳しく調べるためのさまざまな検査が用いられる場合もあります。

※参照:COVID-19治癒後の認知後遺症;“脳の霧”|東京都医学総合研究所

ブレインフォグの主な症状

思考力の低下

通常なら簡単にできる思考や判断が難しく感じられ、考えをまとめることに時間がかかるようになる状態です。普段の業務でも、いつも以上に確認作業が必要になったり、思考の切り替えがスムーズにできなくなったりする場合があります。

集中力の持続困難

一つの作業に集中し続けるのが難しくなり、ちょっとした環境音や動きに気が散りやすくなる状態です。特に、長時間の会議や作業で集中力が途切れやすく、内容を十分に理解できない場合があります。

記憶力の低下

新しい情報を覚えるのが困難になったり、比較的短い時間の記憶を保持できなかったりする状態です。日常的な約束や予定を忘れやすくなるほか、メモを取る機会が増えても、それを適切に管理できないケースもあります。

ブレインフォグの原因

感染症後の影響

新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症の後遺症として、ブレインフォグが報告されています。感染後、数週間から数ヶ月にわたって症状が持続するケースがあり、日常生活や仕事に大きな影響を与えやすいのが特徴です。

免疫反応からくる全身の炎症と考えられており、脳の情報を記憶・処理するワーキングメモリーに影響が及んでブレインフォグを引き起こすとされています。

参照:COVID-19の後遺症「ブレインフォグ」が生じるメカニズム|国立情報学研究所(NII)

コロナウイルスの脳後遺症 ブレインフォグの診断と治療|女子栄養大学

身体的な疲労

前述したように、慢性的な疲労状態は、脳の機能低下を引き起こします。特に睡眠負債が蓄積している場合、ブレインフォグの症状が顕著に現れやすくなるのです。また、長時間のデスクワークや運動不足も、身体的疲労を通じてブレインフォグを悪化させる要因となります。

ホルモンバランスの乱れ

ホルモンの異常や変動は、脳の機能にも大きな影響を与えかねません。例えば、月経周期や更年期におけるホルモンバランスの変化により、ブレインフォグの症状が現れやすくなる場合があります。

「頭がぼーっとする」「やる気が出ない」のは病気の前兆!? 考えられる病気とは?

頭がぼーっとする症状が継続したり日常生活に支障が出たりする場合、背景にさまざまな病気が隠れている可能性も否定できません。早期発見・早期治療が重要なケースもあるため、主な病気について理解を深めましょう。

身体的な病気の可能性

貧血の影響

貧血は、体内の赤血球や血中のヘモグロビン濃度の減少で起こります。その結果、脳への酸素供給が不足し、頭のぼんやり感やだるさ、めまいなどの症状が現れる仕組みです。特に、月経中や偏食がある方は注意が必要といえます。

参照:貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう|厚生労働省 e-ヘルスネット

低血圧の影響

日本高血圧学会によると、正常血圧は診察室血圧では収縮期血圧/拡張期血圧がいずれも120/80mmHg未満、家庭血圧では115/75mmHg未満です。低血圧は、一般的に収縮期血圧が100mmHg未満を指します。

脳への血流が不足する低血圧症は、頭がぼーっとしたり、疲労感やめまいなどを引き起こしたりしやすい状態です。特に、起床時や立ち上がった際に症状が強く現れる起立性低血圧は、日常生活に支障をきたす可能性があります。

参照:高血圧治療ガイドライン2019|日本高血圧学会

見逃されやすい低血圧|日本医師会

精神・神経系の病気

うつ病の初期症状

頭がぼーっとするのに加え、意欲の低下や集中力の減退がみられる場合は「うつ病の初期症状」かもしれません。脳内の神経伝達物質「セロトニン」「ノルアドレナリン」の減少で引き起こされると考えられており、何をするにも面倒に感じたり、これまで楽しめていたことにも興味が持てなくなったりします。

参照:うつ病|厚生労働省 こころもメンテしよう

自律神経失調症

ストレスなどで自律神経のバランスが崩れる「自律神経失調症」でも、脳の血流の低下によって頭がぼーっとする場合があります。吐き気や頭痛、めまい、耳詰まりなどがみられるのも少なくありませんが、さまざまな要因が複雑に関わっているケースがあり、明確な原因の特定が難しい病気です。

参照:自律神経失調症|日本臨床内科医会

無気力症候群

「無気力症候群」は強いストレスから心を守るために発現するといわれており、頭がぼーっとする、やる気が起きない、感情の起伏が小さくなるなどの症状がみられます。かつては、大学生が発症しやすい「五月病」の症状として知られていました。しかし近年では、学生だけではなく社会人でも多くみられる傾向にあります。

参照:無気力症候群|厚生労働省 e-ヘルスネット

その他の要因

服薬の影響

抗アレルギー薬や睡眠導入剤、抗不安薬などの副作用として、眠気やぼんやり感が現れる場合があります。特に、新しく服薬を始めたり用量を変更したりする際は注意が必要です。

栄養状態の問題

ビタミンやミネラルの不足も、さまざまな体調不良を引き起こす要因です。特にビタミンB群やビタミンD、鉄分、亜鉛などの不足は、疲労感や集中力低下に影響を与える可能性があります。

頭がぼーっとしてやる気が出ない…そんな人が生活の中でできる対処法

「頭がぼーっとする要因に思い当たる節がある...!とはいえ、どんなことに気を付けたらいいの?」そんな方のために、日常生活ですぐに実践できる対処法を解説します。

睡眠の質の向上を目指す

良質な睡眠の確保は、頭のぼんやり感を改善するための基本です。寝室の温度や湿度を適切に保ち、快適な睡眠環境を整えましょう。

就寝前のスマートフォン使用は控え、一定の時間の就寝を心がけます。また、寝具の選択も重要です。体に合った寝具を使用すれば、睡眠の質の向上につながります。

適度な運動を習慣化する

適度な運動習慣は、脳の血流を改善し、メンタルヘルスにもよい影響を与えます。無理のない範囲で、散歩やストレッチから始めてみましょう。徐々に運動量を増やして有酸素運動を習慣化すれば、心身ともにリフレッシュできます。

規則正しい食生活を実践する

「腹八分目を心がけながら、栄養素のバランスが取れた食事を1日3食」。頭ではわかっていても、忙しい日々のなかで実践するのはなかなか難しいものです。

「毎日欠かさず完璧に」と思いすぎると、かえってストレスになってしまう可能性があります。できる範囲で少しずつ、規則正しい食生活を取り入れてみましょう。

自分なりのリラックス方法を見つける

頭がぼーっとする状態は、身体からの「休息を取って!」というSOSです。ゆったりとできる時間を確保し、ヨガやストレッチなど、外出、趣味への没頭など、自分に合ったリラックス方法を取り入れましょう。また、仕事や生活でのタスク管理を工夫し、過度な負担を避ける心がけも大切です。

病院を受診した方がいいケースとは?

生活習慣や食生活を見直しても頭がぼーっとする状態が改善されない場合は、専門機関への受診を検討しましょう。ここでは、受診の目安と適切な診療科の選び方などについて説明します。

症状が2週間続いたら受診のサイン

症状が2週間以上続いたり日常生活に支障が出ていたりする場合は、我慢せずに受診をしましょう。特に以下の場合は、早めの受診が望ましいといえます。

  • めまいや頭痛を伴う
  • 急激な体重変化がある
  • 不眠が続く
  • 仕事や学業に支障をきたしている

症状に合わせて適切な診療科を選ぶ

呂律が回らない、またはめまいやしびれがある場合は、命の危険をともなう重篤な病気の可能性があります。そのため、すみやかに脳神経内科を受診してください。

全身の症状がある場合は内科、意欲の低下や不安感が強い場合は心療内科や精神科が適しています。ホルモンバランスが気になる場合は内分泌内科や産婦人科への受診がおすすめです。

自分で判断するのが不安だったり難しかったりする際は、まずかかりつけ医に相談するとよいでしょう。

受診の際に伝えるべき情報は整理する

受診の際は、以下の具体的な情報を整理して伝えましょう。

  • いつから症状が始まったのか
  • どのような状況で症状が悪化するのか
  • 日常生活で支障が出ているか 
  • 生活習慣の記録 など

また、服用中の薬の種類がある場合も忘れずに医師や専門家へ伝えてください。

病院を受診する以外の選択肢はある?

通院が難しい場合でも、オンラインで専門家に相談できる選択肢があります。

オンライン診療の魅力

近年では、スマートフォンやパソコンを通じて医師に相談できる「オンライン診療」が普及しています。予約から診察、処方箋の発行までをオンラインで完結できるため、通院の時間が取れない方や医療機関が遠い方にとって、便利なツールの一つです。

また「オンラインカウンセリングサービス」では、ビデオ通話や音声などを利用しながら、心身の悩みを相談できます。 対面式のカウンセリングと異なり、時間や場所を問わず相談できるのが大きな魅力です。

仕事や生活の悩み、ストレスについて相談して専門家のアドバイスを得ることで、頭がぼーっとしたりやる気が出なかったりする状態の改善につながる可能性があります。

オンライン診療を探す方法

オンライン診療を受診するには、かかりつけの医師や近くの医療機関に問い合わせましょう。医師の判断によっては、すみやかに医療機関を受診する必要があるため、できるだけお住まいの近くの医療機関を選ぶのがおすすめです。

かかりつけの医療機関がない、またはかかりつけの医療機関がオンライン診療に対応していない場合は、お近くの医療機関をお探しください。

また、オンラインカウンセリングサービスの場合は、相談内容や相談方法からカウンセラーを探せます。精神科医や臨床心理士、公認心理士など、メンタルヘルスの専門家へ気軽に症状を相談できます。

当サイト「悩ミカタ」でも、ミドル世代(40代50代)の悩みや不安・ストレスについて各分野の専門家/カウンセラーに相談できるオンラインカウンセリングサービス「悩ミカタ相談室」を展開しています。つらくて不安な気持ち、1人で抱え込まずにまずはお気軽に相談してみませんか?

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頭がぼーっとしたら一人で抱え込まず専門家にご相談を

頭がぼーっとしたりやる気が出なかったりする症状の改善には、まず生活習慣の見直しが重要です。十分な睡眠、適度な運動、バランスの取れた食事など、基本的な生活習慣を整えることから始めましょう。

しかし、生活習慣の改善だけでは解決できない場合もあります。症状が続いたり日常生活に支障が出たりする際は、ためらわずに専門家に相談しましょう。医療機関への通院が難しい場合は、オンライン診療やオンラインカウンセリングサービスの利用もご検討ください。

一人で頑張る必要はありません。自分の心身の状態に丁寧に向き合い、専門家と協力しながら、無理のない形で症状の改善に取り組んでいきましょう。

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