気づくとため息が出てしまい、気分が晴れないと感じることがありませんか?原因がわかることもあれば、なぜなのかよくわからないけれども気分が晴れない、やる気も出ないということもあるでしょう。
なんとか気分を晴らそうとしても、なかなかうまくいかず、憂鬱な気持ちを引きずってしまうのは、しんどいものですよね。このままではいけない、でももしかしたら何か病気にかかっているのかもしれない、そう思うと余計に気分が沈んでしまいます。
そこでこちらの記事では、気分が晴れない時の心理や病気との関係、対処法などを解説します。
臨床心理士・公認心理師
aiirococcoさん
公認心理師、臨床心理士として総合病院に勤めています。小児科外来をはじめ、緩和ケアチームやリエゾンなど幅広い年齢層の方の心理支援を行っています。また、webライターとして主に心理系の記事を執筆中。誰かに相談するほどではないけど困ったな、というときに役立つ情報を発信できるよう頑張ります。
「気分が晴れない」とはどんな心理状態か
お天気と同じで、パッと明るくお日様の光が差し込むような気分の日もあれば、どんよりとした雲が覆っているような気分の日もあります。気分が晴れない日というのは、雨が降り出しそうな黒く重い雲が、空を覆っているような気分の日でしょう。
そんな気分が晴れない日、どんな心理状態になってしまっているのでしょうか。
①やる気が出ない
気分が晴れないとき、おそらくやる気が出ることは、ほぼないでしょう。もし好きなことをやるのであれば、やる気になれるというのであれば、それほど深刻ではないはずです。好きなことをやろうとしても、腰が上がらず、ため息ばかり出てしまうのが気分が晴れないときの心理状態です。
それでも真面目な人は、やるべきことだけは淡々とやりこなそうとするでしょう。ただ意欲的に動けるということはなく、目の前のことを粛々とこなすのみとなりそうです。また、家に帰るとぼんやりとしているだけの時間が増えたりし、何かを楽しむということがなくなります。
②ネガティブ思考になる
気分が晴れないとき、何を考えてもネガティブ思考になってしまいます。いつもならもう少し前向きに考えることができるようなことでも、後ろ向きになってしまい、余計に鬱々とした気分になっていってしまうのではないでしょうか。
自分の過去の失敗を思い出したり、周りの人の言葉の裏にある気持ちなどを勝手に想像して傷ついたりと、あまりいい方向に考えを巡らせることができなくなります。気分が晴れない日は、考えることで余計に憂鬱な気持ちになってしまうのです。
③モヤモヤする
気分が晴れないとき、おそらくとてもモヤモヤしたものを感じると思います。頭の中も心の中も、目に見えない重石が載っているような、そんな気分になるのではないでしょうか。モヤモヤの正体は、いまいちわからないと感じる人は多いかもしれません。
原因となるのではないかと思うようなことが解消されても、いまいち気分が晴れず、モヤモヤ感が残る人もいるでしょう。そのモヤモヤしたものは、言葉にしようとしても、いまいちうまくいかないかもしれません。
言葉にしようとすればするほど、気持ちが焦りますし、よくわからないということに不安を感じてしまうでしょう。またモヤモヤ感が不快で、不機嫌になってしまい、周りとの関係もうまくいかなくなることがあります。
気分が晴れない状態が続く要因やケースとして多いものとは?
気分が晴れないと感じていても、気づいたらスッキリした気持ちになっていたということはあるでしょう。ただ、気分が晴れない状態が何日も何週間も続いてしまう場合もあります。気分が晴れない状態が長引いてしまうのは、それだけでしんどいですよね。
では、気分が晴れない状態が続く要因として、考えられることは何でしょうか?
①仕事量が多すぎる
気分が晴れない状態が続く要因として考えられることとして、仕事量の問題があります。局所的に忙しく、きちんとゴールが見えているのであれば、おそらく気分が晴れないということはないでしょう。
しかし慢性的に仕事量が多く、どこまでやっても終わりが見えない場合、気分が晴れない状態が続くことがあります。休みもきちんと確保することができず、疲れを残したまま一週間が始まることが続くことで、体だけではなく心も疲労してしまいます。
ずっと気分が晴れない、体もだるいし、何をやっていても楽しくないと感じる場合は、仕事量の多さが影響している可能性もあるでしょう。
②人間関係がうまくいっていない
気分が晴れない状態が続く要因として考えられることとして、人間関係の問題があります。家族や職場の同僚、パートナーなどごく身近な人との関係がうまくいっていないと、気分が晴れない状態が続きがちです。
時々しか会わないような人、特に会わなくてもいい人など少し離れた関係の人であれば、それほど気分が晴れない状態を引きずってしまうことはないでしょう。常に顔を合わせたり、関わりを持たざるを得ないような関係の人だからこそ、気分が晴れない状態を引きずるのではないでしょうか。
おそらく、その場合気分が晴れない理由は自分で痛いくらいわかっているはずです。けれども、関係を改善することがうまくできないことで、気分が晴れなくなっているのではないでしょうか。
③なんとなく嫌だと感じることが続いている
気分が晴れない状態が続く要因として考えられることとして、なんとなく嫌だと感じることが続いている場合があります。この場合、あまり自分の中で気分が晴れない理由が、明確ではないのではないでしょうか。
あまり得意ではない仕事を任されている、周りから嫌味を言われた、金銭的に余裕がない、行きたかったイベントに忙しくて行けなかったなど、小さなストレスがじわじわと蓄積されてしまっているときに、気分が晴れなくなることがあります。
ほんの少し気分が晴れたように感じても、すぐ嫌なことが起こってしまい気分が沈むということを繰り返すうちに、だんだん気分が晴れなくなっていってしまいます。自分ではそれほどつらいことがあったわけでもないのに、気分が晴れず、不安になってしまうかもしれません。
気分が晴れない原因や関連する病気
気分が晴れないことが続いてしまうと、心の病気なのではないかと心配になってきてしまう人もいるでしょう。気分が晴れない状態で考えると、どうしてもネガティブ思考になりますので、ますます気分が落ち込みます。
では、気分が晴れない原因になりそうな病気には、どんなものがあるのでしょうか。
①うつ病
気分が晴れない状態が続いてしまっているときに、おそらく一番に考えてしまう病気は、うつ病でしょう。うつ病は、特別な人がかかる病気ではなく、誰でもかかる可能性のある病気です。特に真面目で頑張り屋な人ほどかかりやすくなります。
うつ病の場合、気分が晴れないだけではなく、睡眠障害も起こします。寝付けない、何度も目が覚める、明け方まだくらい時間に目が覚めるなど、眠ることがうまくできなくなってしまうのです。
また腹痛や吐き気が続いたりと腹部に症状が出る場合もあります。体もだるくなり、やる気が起こらず、ひどい場合には希死念慮も出てきてしまうこともあるので注意が必要です。もし思い当たることがあるのであれば、すぐ専門家に相談してください。
②更年期障害
気分が晴れない状態がつづいてしまっているときに、更年期障害を疑う人も多いかもしれません。最近は、女性だけではなく男性の更年期障害に関しても大きく取り上げられるようになりました。
更年期障害の場合、症状的にはうつ病と似たところが多いです。体がだるくなったり、やる気が出なくなったりします。また、考えがまとまらず、よくわからないと感じることが増えたりもするでしょう。
意味もなく急に悲しくなってしまったり、無性にイライラしてしまったりするなど気分の変調もあります。年齢的に更年期障害も当てはまると思う場合は、女性であれば婦人科、男性であれば泌尿器科を受診するとよいでしょう。もしくは心療内科などでも専門にしているところもあります。
③自律神経の乱れ
気分が晴れない状態がつづいて続いてしまっているときに、自律神経の乱れが原因となっている場合もあるかもしれません。ストレスがかかるようなことが続いてしまうことで、常に緊張状態になってしまう場合があります。
それによって、睡眠がうまく取れなくなったり、だるさを感じるようになります。また、ネガティブ思考に囚われてしまい、前向きに考えられなくなる場合もあるでしょう。肩こりや関節の痛み、腹部症状が出る人もいます。
また自律神経の乱れは不摂生や、ストレスの解消がうまくいっていないことで起こります。忙しいからと、睡眠時間を削り、食事も抜いたり栄養バランスを無視して適当に済ませてしまうなど不摂生をしていることで、次第に気分が晴れなくなってしまいます。なんとなく心身の調子が悪いと感じるのは、自分の生活を見直すためのシグナルをキャッチしているのかもしれません。
気分が晴れないときの対処法
気分が晴れないとき、まずは自分でなんとかできれば、なんとかしたいですよね。気分を晴らす方法をいろいろ知っていると、少し憂鬱な気持ちになった時点で、解消することができるようになります。
いくつか対処法を挙げますが、人それぞれ合う方法と合わない方法があります。ものは試しでやってみて、気分が晴れなければ別の方法を試してみるといいのではないでしょうか。
①朝日を浴びる
気分が晴れないとき、どうしても起きることが億劫で、なかなか朝日を浴びる気にはなれないかもしれません。ただ、だからといってズルズルと眠り続けてしまうことは逆効果になります。少し無理をしてでも、体を起こしてカーテンを開けましょう。
朝日を浴びることで、体内時計がリセットされます。夜寝つきが悪いという人には特に効果的かもしれません。朝日を浴びながら、温かい飲み物を飲むことで、だんだんと体が目覚めてくれるのではないでしょうか。
②休息をしっかりととる
気分が晴れないときでも、やるべきことに追われてしまっている人も多いでしょう。ただ、だからといって寝る時間を削って、休みも仕事で潰してしまっている状態は、長く保たないはずです。少しずつでも休息を取ることは必要でしょう。
もしろくな休息が取れないまま動き続けているという自覚があるのであれば、しっかりと休息が取れるような工夫をする必要があります。仕事量を減らしたり、家事で手抜きできるところを探ったりすることで、時間を作ることはできるかもしれません。
③適度な運動をする
気分が晴れないときは、どうしてもあれこれ考え事ばかりしてしまうのではないでしょうか。それも、ネガティブな方向にばかり考えてしまい、余計に気分が沈んでしまうでしょう。そうならないためには、体を動かすことが大切です。
手軽なウォーキングやヨガなどもおすすめですし、自分が好きなスポーツがあれば、もちろんそれをやってもいいでしょう。あまり激しくやりすぎると、疲労が溜まってしまうかもしれませんので、自分にとって適度だと感じられる程度の運動量がいいかもしれません。
④誰かと話す
気分が晴れないとき、どうしても塞ぎ込みがちになる人も多いでしょう。誰かを誘って出かけることが億劫に感じられたり、誘われても行くことが面倒に感じられたりするかもしれません。でもそんなときこそ、思い切って誰かに会うとよいかもしれません。
ストレスとなっていることを話してもいいですし、まったく関係ないくだらない話に花を咲かせるのもいいでしょう。誰かと話すことが、ストレス解消になる人は多いです。モヤモヤする、気分が晴れずやる気も出ない、そんなときこそ友人や家族と美味しいものを食べながらお喋りしてみましょう。
⑤生活リズムを整える
気分が晴れないからといって、自堕落な生活になってしまっている人もいるかもしれません。夜更かししてしまったり、食事もテキトーに済ませてしまっていたりするのであれば、改善の余地があります。
仕事などで、どうしても不規則になりがちな人は、できるだけ食事の時間と睡眠時間だけは確保するようにするとよいでしょう。最近は、コンビニでも栄養バランスを考えた食事を購入することもできます。自分で考えて作る時間が取れないときでも、そういうものを利用して、バランスよい食事と規則正しい生活を心がけるようにしましょう。
⑥好きなことをする
気分が晴れないときは、好きなことに対してもやる気が起きづらいかもしれません。ただ、人は行動によって気分が引きずられる生き物です。気分が変わるのを待っているよりは、気分が乗らなくても行動を起こしてしまった方がいい場合もあります。
好きなことをしていても、最初のうちは気が散って集中できないかもしれません。ただ、少しずつ気分が乗ってきて、没頭できるようになる場合があります。とりあえず気乗りしなくても、好きなことと向き合ってみることはおすすめです。
⑦日記を書く
もし文章を書くことが嫌いではないなら、日記を書くこともおすすめです。気分が晴れないときというのは、心の中で毛糸がこんがらがったような状態になっていることが多いです。その糸を解くように、思っていることを書き上げていくといいでしょう。
そうすることで、自分の考えていることがだんだんクリアになり、自分が何をすればいいかが見えてくるかもしれません。またネガティブになりすぎている自分の考えに気づくことで視野が広がる場合もあります。そういう意味で日記はおすすめです。
⑧専門家に相談する
いろいろな方法を試しても、やる気が出ず、身体にも不調をきたしている状態が続いているのであれば、専門家に相談しましょう。たいしたことではない、心が弱いからだと自分を責めるのは逆効果です。
風邪と同じで、早めに対処することで、拗らせることを防げるかもしれません。気分が晴れず、ひとりで不安を抱えているのはよくないでしょう。職場にも相談できる窓口があるかもしれませんし、最近は気軽にできるオンライン相談サービスもありますので、利用してみてはいかがでしょうか。
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まとめ
人の心は天気と同じで、気分が晴れる日もあれば、曇る日もあります。そしてどうしようもないくらい雨模様の日もあるでしょう。いつも気分が晴れていればいいかもしれませんが、人生を生きていれば、そうはいかないものです。
気分が晴れないという自分の状態に気が付けたことは、第一歩です。気づくことができれば、対処することもできます。しっかりと自分に目を向けて、自分を労ってあげることが大切ではないでしょうか。
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