夫婦間でセックスレスになる原因、気になりますよね。でも、夫婦関係の話題は親しい間柄でもなかなか話しづらいものです。実は、日本では約6割の夫婦がセックスレスだと言われています。そして、その理由は男女で異なることも分かっています。
例えば、女性の主な理由は「面倒くさい」「仕事で疲れている」が上位に。一方、男性では「相手が応じてくれない」が最も多いという結果が出ています。この違い、皆さんはどう感じますか?
この記事では、セックスレスの根本的な原因と、それを解決するためのポイントについて、調査データをもとに詳しく解説していきます。

佐々木ゆりさん
公認心理師、臨床発達心理士。保育士歴は20年。現在は療育スタッフとして発達障害を持つお子さんやその家族と関わっています。発達と保育を軸に、直接支援はもちろん、webライター、保育士になりたい人の支援、保育士さん支援など幅広いキャリアを展開中です。
男女でセックスレスの原因は異なる?

セックスレスを解決するには、まずその原因を知ることが大切です。そこで今回は、一般社団法人 日本家族計画協会 「第9回 男女の生活と意識に関する調査」の結果をもとに、セックスレスの主な原因を分かりやすくまとめました。
男女共に「仕事で疲れているから」が上位にランクイン

夫婦生活に積極的になれない理由として、男女ともに「仕事で疲れている」が上位に挙げられています。(男性3位9.3%・女性2位20.8%) さらに、「夫婦どちらにも原因がある」と考えている人が多いことも、別の調査で明らかになっています。共働きが一般的になった現代では、夫婦それぞれが日々の疲労を抱え、性生活について考える余裕がなくなっているのかもしれません。
女性側の原因には「面倒くさい」

女性がセックスレスになる理由の第1位は「面倒くさい」(22.2%)、続いて「仕事で疲れている」(20.8%)、「セックスより趣味など楽しいことがある」(7.5%)という結果でした。上位の理由を見ると、女性は「自分に原因がある」と感じる傾向があることがわかります。これは、仕事や家事、育児、介護など、多くの役割を担う現代の女性の忙しさが影響しているのかもしれません。
男性側の原因には「相手が応じてくれない」

男性がセックスレスになる理由の第1位は「相手が応じてくれない」(24.3%)でした。続いて「出産後なんとなく」「面倒くさい」といった理由が挙げられ、男性は「相手に原因がある」と考える傾向が強いことがわかります。さらに、企業が行った調査※でも「相手(妻)に原因がある」と答える男性の割合が、女性よりも多いことが明らかになっています。このことから、セックスレスの原因に対する男女の認識には違いがあると考えられます。
セックスレスとは? 定義や背景について

「世の中の人の原因はわかったけれど、回数やレスの期間は?」「そもそもどれくらい触れ合わなかったらセックスレスなの?」といった疑問が浮かんでくる人もいるかもしれませんね。ここではセックスレスの定義や気になる原因の背景について集めてみました。
セックスレスの定義
日本性科学学会では、「特別な事情がないにもかかわらず、カップルの合意のもとでの性交やスキンシップが1ヶ月以上なく、その後も長期にわたると予想される場合」をセックスレスと定義しています。ここでいうスキンシップには、セックスだけでなく、キスや裸での触れ合いなども含まれます。
この定義を見て、「1ヶ月は短すぎるのでは?」と感じる人もいるかもしれません。実際、調査ごとに設定される期間には多少の違いがありますが、多くはこの基準をもとに考えられています。
海外に比べて日本人のセックス回数は?

「世界のセックス頻度と性生活の満足度」調査(2005年)によると、日本人の年間セックス回数は45回で、調査対象国の中で最も少ない結果となりました。(ちなみに1位はギリシャの139回)。
さらに別の調査では、日本人の年間平均回数が22回というデータもあります。
また、日本に限らずアジア圏全体が、東欧や南欧に比べてセックスの頻度や満足度が低い傾向にあることも指摘されています。これは、親子で同じ部屋で寝る文化や、家族の生活を重視する価値観など、文化的な背景が影響している可能性がありそうですね。
出産後のセックスレスはよくあること?

女性のセックスレスの原因として「面倒くさい」が挙げられることがあります。
特に出産後は、赤ちゃんの世話や家事が増え、慢性的な疲労を感じやすくなります。そのため、夫婦生活を負担に感じるのも無理のないことかもしれません。
また、出産後の女性の体内ではホルモンバランスが大きく変化します。エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌が減ることで、性欲自体が低下するのです。さらに、授乳期間中は女性ホルモンの分泌が抑えられるため、性欲が湧きにくい状態が長く続くこともあります。
このようなホルモンの変化は、男性には起こらないもの。男女でセックスレスの原因に違いがあるのは、当然といえるかもしれませんね。
セックスレスにつながる日常的な原因4選

日本人の約6割がセックスレスであること、また男女間でセックスレスの原因が異なるのには、どんな理由があるのでしょうか。ここではセックスレスにつながりやすい日常的な原因を事例ごとに4つとりあげてみました。
家事や育児の分担量が多いため、疲労がたまりやすい

Aさん(男性・夫)は朝早く出勤し、帰宅も遅いといった長時間労働をしています。そのため、Aさんの家では家事育児のほとんどをBさん(女性・妻)がしています。Bさんは正社員ですが、子どもが小さいため短時間勤務をしており、子どもの急な発熱にも一人で対応しています。Aさんが休日、Bさんに夫婦生活を求めたところ「めんどくさい」と言われてしまいました。
このケースの場合は、Bさんに夫婦生活をする余裕がないことが考えられますね。子どもが小さいうちは、保育園などに預けていても急に呼び出されることも多く、また子どももBさんにかまってほしいため、一定のペースで仕事や家事をすることが難しいのが現状です。こういった生活が続いた結果、Bさんに心身の疲労がたまって「夫婦生活がめんどくさい」のではなく「寝る時間なので寝ること以外めんどくさい」となってしまう、ということが考えられます。
生活習慣の変化からストレスが増えた

Cさん(夫)とDさん(妻)は共に仕事を大切にする二人暮らしの夫婦です。最近、Cさんは昇進し管理職になりました。その結果、残業や休日出勤が増え、Dさんとの生活リズムが合わなくなってしまいました。
一緒に過ごす時間が減る中で、Cさんは「以前より性欲がなくなった」と感じるようになり、夫婦生活の頻度も大幅に減ってしまっています。
このケースでは、生活習慣の変化が性欲や夫婦関係に影響を与えたと考えられます。生活リズムがバラバラになると、夫婦の時間を確保するのが難しくなり、自然と夫婦生活のタイミングも取りにくくなります。
また、昇進による環境の変化は大きなストレスにつながることがあります。ストレスは性ホルモンの分泌にも影響を与えるため、Cさんの性欲が減少したのも、その影響があるのかもしれません。
コミュニケーション不足によるすれ違いで機会がない

Eさん(夫)とFさん(妻)は結婚17年目の夫婦です。子どもが成長し家にいる時間が短くなったことで、夫婦だけの時間は増えています。しかし、二人の会話は「買い物に行くけど必要なものは?」「週末は遅くなるよ」といった連絡事項がほとんどで、日常的な会話やスキンシップは減ってしまいました。
お互いに「夫婦生活を再開したい」という気持ちはなんとなくあるものの、SNSやインターネットでは「セックスレスは当たり前」「相手への思いやりが大切」といった話題が多く、踏み込んだ話ができずにいます。そんな中、ある日FさんがEさんのカード明細を見たところ、アダルトサイトへの課金履歴を発見。「もう自分には興味を持ってもらえないのでは」とショックを受けてしまいました。
このケースは夫婦間のコミュニケーション不足が原因となっています。特に男性は「セックスレスの原因は相手にある」と考える傾向があり、また女性に比べて性欲の変化が緩やかであるため、「自分で解決しよう」とする人も少なくありません。
日本はもともと夫婦生活やスキンシップについてオープンに話す文化が薄いため、普段から深い会話をしない夫婦にとって、夫婦生活を話題にするのは勇気がいること。その結果、話し合いを避けるようになり、さらに距離ができてしまうことも少なくないのです。
セックスレスを乗り越えるために大切なこと

セックスレスの原因は日常的にあることがわかりました。ではセックスレスから抜け出したい人はどうしたらよいのでしょうか? ここではセックスレスを乗り越えるために大切なポイントを3つご紹介します。
夫婦でコミュニケーションの機会をつくる

突然セックスについて話題を持ち出したり求めたりすると、相手が戸惑うのは想像に難くありません。まずは、減ってしまったコミュニケーションの機会を少しずつ増やすことから始めてみませんか?
コミュニケーションの基本は「相手に興味を持つこと」です。その際におすすめなのが、「I(アイ)メッセージ」を使うこと。
例えば、
✅「ずっと忙しそうだなと僕は思っている。手伝えることがあれば教えてくれないかな?」
✅「仕事が大変みたいだなとわたしは感じているんだけど、大丈夫?」
このように、主語を「わたし」にして気持ちを伝えるのがI(アイ)メッセージのポイントです。相手を責めるのではなく、自分の気持ちを伝えることで、柔らかく、相手を尊重したコミュニケーションになります。
もし、相手が驚いたり「何を今さら!」という反応をしたとしても、焦らずに、
✅「わたしが話したいと思っただけなんだ」
✅「最近、前みたいに会話したいなと僕は思ってるんだ」
といったように、引き続きI(アイ)メッセージで伝えると良いでしょう。
言葉にするのが苦手な人は、まずは相手と会話する時間を意識的につくることから始めてみるのも良いかもしれませんね。
お互いのストレスを知る・減らす

セックスレスの原因のひとつに「疲れている」ことが挙げられます。お互いに日々のストレスを抱えていることが背景にあるのかもしれません。
相手のストレスを減らそうと頑張るあまり、自分の負担が増えてしまっては本末転倒です。まずは、自分自身のストレス要因と向き合うことも大切です。そのため、
✅ 仕事や家事が忙しすぎる
✅ 体調が優れない
✅ 経済的な不安がある
こうした要因を見つめ直し、自分のストレスを少しでも解消することが、結果的に相手への不満を減らし、夫婦関係の改善につながるかもしれません。無理をせず、まずは自分自身の心と体を整えていきましょう。
夫婦のペースで乗り越える

セックスレスの原因は夫婦によってさまざまです。そのため、解決策も一つではありません。
「家事や育児を頑張れば、元に戻るはず」
「お互い夫婦生活を望んでいると分かったから、すぐに解決する」
こうした単純な考えでは、思うように改善しないこともあります。大切なのは、焦らずお互いのペースを尊重しながら、問題を整理し、一歩ずつ進んでいくことです。
もし誰かに相談したいと思ったら、オンラインカウンセリングを利用してみるのも選択肢のひとつです。専門家やカウンセラーに匿名で相談でき、従来のカウンセリングよりもリーズナブルに、自分のスケジュールに合わせて利用できます。どんな専門家がいるのか、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
▼ 当サイト「悩ミカタ」ではミドル世代(40代50代)の悩みや不安・ストレスについて各分野の専門家/カウンセラーに相談できるオンラインカウンセリングサービス「悩ミカタ相談室」を展開しています。不安な気持ち、1人で抱え込まずにまずはお気軽に相談してみませんか?
40代50代のお悩み” は専門家に相談しよう「悩ミカタ相談室」
まとめ

セックスレスの原因について、女性側は「面倒くさい」「疲労」が主な理由である一方、男性側は「相手が応じてくれない」といった相手起因の理由である、という違いがあることがわかりました。
セックスレスの背景には、仕事などによる疲労や、出産後の女性ホルモンの変化、コミュニケーション不足などが影響している可能性がおおいにあるのです。セックスレスを改善するためには、コミュニケーションの機会を作り、お互いのストレス要因を理解し合うことが大切です。焦らず自分たちのペースで取り組むことで、より良い夫婦関係を築いていくことができるでしょう。