夫源病とは?なりやすい人の特徴や症状チェックリストも紹介

夫源病とは?なりやすい人の特徴や症状チェックリストも紹介

「なぜかわからないけど、夫がいると動悸や頭痛がするし、息苦しい…」

「夫と過ごしていると過度にイライラしたり落ち込んだりしてしまう…」

このような症状に悩んでいる場合、もしかしたら、それは「夫源病」かもしれません。

この記事では、心理カウンセラーの筆者が、自分が夫源病かをチェックする方法や今日からできる対処法を紹介します。原因不明の体調不良と夫との関連性にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

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執筆者

梅田ミズキさん

認定心理士、サービス介助士。大学で臨床心理学・産業組織心理学・発達心理学などを学び、卒業後は公的施設にて精神疾患の方のケアや介助業務、ご家族の相談対応などに従事しながら、ホームページ掲載用のコラムやミニ新聞を執筆。現在はフリーライターとして独立し、くらしにまつわるエッセイの執筆、臨床心理・発達支援・療育関連のコンテンツ制作および書籍編集に携わりながら、心理カウンセラーも務めている。趣味は読書、映画鑑賞、気まぐれで向かうプチ旅行。

目次

夫源病とは?

「夫源病」とは、夫の言動や態度によるストレスで、妻に心身の不調が現れる状態を指す言葉です。正式な病名ではありませんが、多くの女性が経験する現実的な健康問題として社会的に認知されています。

更年期障害と症状が似ていますが、夫源病の特徴は「夫がいないときには症状が軽くなる」という点です。夫の帰宅時間が近づくと憂鬱になり、出かけると元気になる傾向があれば、夫源病の可能性があります。

また、夫源病と類似する言葉として「主人在宅ストレス症候群」が挙げられます。

関連記事:主人在宅ストレス症候群とは?主な原因や改善するための対処法、経験談も紹介

夫源病を引き起こす夫の特徴

夫源病を引き起こす夫の特徴

夫源病を引き起こしやすい夫には、以下のような共通した特徴があります。

亭主関白

夫源病を引き起こす夫の特徴としてまず挙げられるのが、「俺が稼いでいるんだから」「男は仕事、女は家事」と、家庭内で上下関係を作ろうとするタイプです。妻の意見を聞かず、自分の考えを一方的に押し付ける傾向があります。

このタイプは、妻を対等なパートナーではなく従属する存在と捉えがちです。感謝の言葉がなく、家事や育児を「やってもらって当然」と考えているため、妻は「尊重されていない」と感じ、自己肯定感が低下します。

無関心

家庭や妻に興味を示さず、会話が成り立たないタイプの夫も、夫源病を引き起こす可能性が高いです。話しかけても「ふーん」「そう」といった素っ気ない返事しかせず、スマホやテレビばかり見ている傾向があります。

このタイプは、家庭を安らぎの場としてのみ捉え、家族とのコミュニケーションを重視しません。妻が相談事を持ちかけても真剣に聞いてもらえず、感情を共有できないため、妻は孤独感を抱えます。

外面がいい

職場や友人の前では優しく社交的な一方、家では冷たく無愛想になるタイプも、夫源病を引き起こす夫の特徴です。外では「いい夫」「いい人」を演じるため、妻が周囲に相談しても「そんな人には見えない」と信じてもらえず、孤立感を深めます。

妻は「外での姿が本当の夫なら、なぜ私には優しくしてくれないのか」と混乱し、自分が悪いのではないかと自責の念に駆られます。

家事・育児に非協力的

家事や育児に対して「妻の仕事」「言われれば手伝う」という感覚が強く、自分の責任とは考えていないタイプの夫も、夫源病の原因になりがちです。

このタイプは、家庭運営の主体は妻であるという固定観念を持っています。「手伝ってあげた」という態度や、やり方に文句や意見は言うものの実際には動かない姿勢が、妻の負担を増大させるのです。共働きの場合でも家事育児の分担意識が低く、妻は身体的にも精神的にも疲弊します。

夫源病になりやすい妻の特徴

夫源病になりやすい妻の特徴

妻自身の性格や価値観が影響し、夫源病になってしまうることもあります。以下は、夫源病になりやすい傾向がある女性の主な特徴です。

真面目

責任感が強く、何事もきちんとこなそうとする真面目な性格の女性は、夫源病になりやすい傾向があります。「妻はこうあるべき」「母親はこうでなければ」という理想を追求しすぎてしまうためです。

真面目な性格ゆえに、夫の理不尽な要求にも応えようと努力し、自分の限界を超えても頑張り続けてしまいます。ルールや規範を重視するため「結婚したら我慢するもの」という社会通念に縛られ、自分の感情を抑圧しがちです。

我慢強い

不満があっても表に出さない我慢強い性格の女性も、夫源病になりやすいといえます。「波風を立てたくない」「家庭を守るため」と自分に言い聞かせ、ストレスを内に溜め込むためです。

我慢強い女性は、夫に対して意見を言うことを避け、問題を先送りにする傾向があります。小さな不満が積み重なって限界まで我慢した結果、突然体調を崩したり感情が爆発したりするのです。

完璧主義

家事も育児も仕事も完璧にこなそうとする完璧主義の女性は、自分にも他人にも厳しく、常に緊張状態にあります。その結果、理想と現実のギャップに苦しみ、自分を責めてしまいがちです。

完璧主義の女性は、夫が家事を手伝っても、結局自分でやり直してしまいます。他人に頼ることが苦手で一人で抱え込んでしまうため、休息する時間がなく、慢性的な疲労状態に陥るケースも珍しくありません。

自己犠牲的な性格

「自分さえ我慢すれば丸く収まる」と考え、自分の幸せよりも家族の平和を優先する自己犠牲的な性格も、夫源病になりやすい特徴です。

自己犠牲的な女性は、「夫のため」「子どものため」と自分の人生を捧げ、自分らしさを失っていきます。趣味や友人関係を犠牲にし、家族に尽くすことが自分の役割だと考えてしまうのです。

当てはまる?夫源病セルフチェックリスト

「自分が夫源病か気になる...」

そう考えてこの記事を読んでいる方も多いのではないでしょうか。

以下は、夫源病かどうかを確認できるセルフチェックリストです。それぞれの項目で当てはまるものが多いほど、夫源病の可能性が高いと考えられます。チェック項目を確認し、自分の状態を把握してみてください。

体に現れる症状チェック

症状があるものの、医療機関で検査を受けても具体的な疾患が見つからず「異常なし」と診断された場合、夫源病の可能性が考えられます。もともとの持病などとは関係なく、以下のような症状が体に現れるのが特徴です。

体に現れる症状チェック
  • 動悸や息切れがする
  • 頭痛やめまいが頻繁にある
  • 不眠または過眠の状態が続く
  • 胃痛や吐き気、食欲不振がある
  • 肩こりや腰痛がひどい
  • 耳鳴りや突発性難聴がある
  • 血圧が不安定になった
  • 生理不順やホルモンバランスの乱れがある

心に現れる症状チェック

心の症状は目に見えにくいものの、日常生活に支障をきたすサインです。以下の項目が複数当てはまったり、つらいと感じたりする場合は、専門家への相談を検討しましょう。

心に現れる症状チェック
  • イライラしやすく、些細なことで怒りを感じる
  • 無気力でやる気が起きない
  • 突然泣きたくなる
  • 夫への嫌悪感や憎しみを感じる
  • 将来への不安や絶望感がある
  • 自分を責めたり、自己肯定感が低い
  • 楽しいと感じることが少ない

夫の言動チェック

夫から以下のような言動が日常的にある場合、あなたはストレスを溜め込みやすい環境にいると考えられます。

夫の言動チェック
  • 「俺が稼いでいるんだから」と経済面での上下をつける
  • 家事や育児を「手伝う」という感覚でいる
  • 妻の意見を聞かず自分の考えを押し付ける
  • 感謝の言葉がなく「やってもらって当然」と思っている
  • 外では優しいのに家では冷たい
  • 妻の話を聞かずスマホやテレビばかり見ている
  • 妻の行動を監視したり束縛したりする
  • 文句や批判ばかりで褒めることがない

関連記事:夫源病の「10の禁句」とは?妻を苦しめる言葉と対処法を徹底解説

夫婦関係チェック

夫婦関係が冷え切っている、またはコミュニケーションが取れていない状態は、夫源病の土壌を作ります。以下のようなケースに当てはまる場合、関係性の改善が必要です。

夫婦関係チェック
  • 夫婦の会話は1日10分以下
  • お互いに感謝を伝え合うことがほとんどない
  • 家事や育児の分担が不公平だと感じる
  • 夫に自分の気持ちを素直に話せない
  • 夫との時間を楽しいと感じられない
  • 夫婦としてのスキンシップがほとんどない
  • 夫との将来を考えると憂鬱になる

生活パターンチェック

以下のパターンが当てはまる場合、あなたの体は「夫がストレス源かもしれない」というサインを出している可能性があります。

生活パターンチェック
  • 夫の帰宅時間が近づくと憂鬱になる
  • 夫の出張時や実家帰省時などに体調がよくなる
  • 夫と一緒にいると息苦しさや圧迫感を感じる
  • 夫の足音や声を聞くだけで緊張する
  • 休日に夫が家にいると疲れる
  • 「夫と過ごす時間を避けたい」と思う
  • 「一人になりたい」と頻繁に感じる
  • 夫と話すとき、常に気を遣っている

特に「夫といると上記の症状が悪化し、夫と離れているときには症状が軽くなる傾向がある」という場合は、夫源病のサインといえます。
ただし、症状があるからといって自己判断せず、まずは必ず医療機関を受診してほかの病気の可能性を除外するのが大切です。

夫源病で「もう限界…」と感じたときの対処法4つ

もしも夫源病の症状を感じたら、我慢を続けるのではなく、具体的な対処を始めるのが大切です。以下の方法を参考に、自分に合った対処法を試してみましょう。

  • 物理的・精神的な距離を取る
  • 夫とのコミュニケーションを見直す
  • 専門家に相談する
  • 別居・離婚を検討する

物理的・精神的な距離を取る

まず即効性があるのは、夫と物理的・精神的な距離を取ることです。以下の方法で一人の時間を意識的に確保し、気分転換をしましょう。

  • 別の部屋で過ごす時間を増やす
  • 一人で外出する
  • 実家や友人宅に泊まる
  • 趣味の時間を持つ
  • 習い事を始める など

夫から離れた際に体調がよくなる場合、それは心身が休息を求めているサインです。罪悪感を持たず、自分を優先する時間を作りましょう。

夫とのコミュニケーションを見直す

夫とのコミュニケーション方法を見直すのも、夫源病を改善するための方法です。我慢して何も言わないのではなく、自分の気持ちを適切に伝えていきましょう。

効果的なのは「Iメッセージ」です。「あなたは〇〇してくれない」ではなく「私は〇〇と感じている」と、自分の感情を主語にして伝えます。

また「言い返さない」「我慢する」という習慣をやめるのも重要です。夫の理不尽な発言に「それは違うと思う」と意見を述べる勇気を持ちましょう。自分の境界線を明確にして「これ以上は受け入れられない」というラインを夫に示すと、関係性が変わる場合があります。

専門家に相談する

心身の不調が続く場合は、一人で抱え込まずに心療内科や精神科を受診しましょう。カウンセリングでは、自分の感情を整理し、具体的な対処法を一緒に考えてもらえます。

更年期症状との区別が難しい場合は、婦人科を受診するのもよいでしょう。また、女性相談支援センター配偶者暴力相談支援センターでは、夫婦関係の悩みについて無料で相談できます。

当サイト「悩ミカタ」では、夫婦関係や家族の悩みに特化したカウンセラーがオンラインで相談に応じています。自宅から気軽に相談でき、誰にも知られずに専門的なサポートを受けられます。一人で悩まず、まずは心の内を話してみませんか?

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別居・離婚を検討する

自分の健康が損なわれるほどの状況では、別居や離婚も選択肢の一つです。「子どものため」「世間体のため」と我慢を続けた結果、心身を壊してしまっては元も子もありません。

別居は、一時的に距離を置いて冷静に関係を見つめ直せる機会です。夫も、妻の不在で初めて問題の深刻さに気づく場合もあります。離婚を考える場合は、経済的な準備や法的な手続きについて弁護士に相談しましょう。

夫源病に関するよくある質問

ここでは、夫源病について、多くの人が抱く疑問に答えます。ご自身の状況と照らし合わせながら参考にしてみてください。

夫源病の治し方はありますか?

夫源病は、夫との関係や環境の改善で症状を軽減できます。具体的には、夫との距離を取る、コミュニケーション方法を変える、自分の時間を確保するなどの対処法が有効です。

また、心療内科での治療やカウンセリングも効果的でしょう。大切なのは、我慢を続けずに早めに対処することです。

夫源病の反対で「妻源病」はありますか?

妻の言動や態度が原因で、夫が心身の不調をきたす状態を「妻源病」と呼ぶ場合もあります。夫源病ほど社会的に認知されていないのは、家事育児の負担や経済的依存の問題が女性に偏りがちな背景からでしょう。

しかし実際は性別に関わらず、パートナーの言動によるストレスが原因で心身の不調に悩む人はいます。お互いを尊重し、対等な関係を築く姿勢が大切です。

関連記事:妻源病

夫源病に関するおすすめの本はありますか?

夫源病について理解を深めたい方には、以下の書籍がおすすめです。

妻の病気の9割は夫がつくる』(石蔵文信著、医学通信社)

夫源病の提唱者、石蔵医師の著書です。夫源病のメカニズムや具体的な対処法が詳しく解説されています。医学的な視点から解説されており、夫婦関係を見直すきっかけになります。

夫のトリセツ』(黒川伊保子著、講談社)

男性脳と女性脳の違いから、夫婦のコミュニケーションのすれ違いを解説した本です。夫の言動の背景を理解することで、ストレスを軽減するヒントが得られます。

夫源病の症状を感じたら一人で抱え込まず早めの対処を

近年、共働き世帯の増加や家事育児の負担の偏りが社会問題化するなかで、夫源病に悩む女性は増加傾向にあります。我慢を美徳とする価値観が根強い日本社会では、妻が心身の不調を抱えていても「夫婦なんてこんなもの」と見過ごされがちです。

しかし、慢性的なストレスは深刻な健康被害をもたらすため、早期の対処が重要といえます。

あなたの人生は、誰かのものではありません。夫との関係にお悩みの方は、一人で抱え込まず、専門家や信頼できる人を頼ってみませんか。この記事が、自分を大切にするための一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

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