「夫婦喧嘩が絶えなくて、辛いからなんとかしたい」
「離婚すべきか悩んでいるけれど、子どもや生活のことを考えると決断できない」
このようなことでお悩みではないですか?
結婚するときには、お互いに相手のことを理想の相手だと思い結婚した夫婦は多いでしょう。しかし、実際に結婚生活を続けるなかで多くの夫婦が喧嘩を経験するものです。
この記事では、夫婦喧嘩が絶えない夫婦が直面する問題や、別れるべきかどうかの見極め方や、パートナーとの関係を修復する具体的な方法について紹介します。
今の夫婦関係を客観的にみつめ直し、関係を継続するか別れるかを決めるヒントにしてみてください。また、具体的な関係改善の方法も紹介します。
認定心理士
白髪利恵さん
認定心理士、プロフェッショナル心理カウンセラー、SNSカウンセラー。心療内科・精神科での勤務を経て、これまでに相談を受けてきた件数は3000件以上。現在はSNSカウンセリングや電話相談も含め、幅広い年齢層を対象にカウンセリングに携わる。
夫婦喧嘩が絶えない代表的な理由とは?
夫婦喧嘩は多くの夫婦が経験するものですが、喧嘩を何度もくり返したり、口論が絶えなかったりといった状態が続くと夫婦関係に亀裂が入るなど、深刻な問題に発展しかねません。
夫婦喧嘩が絶えない場合には、いくつかの共通した理由やパターンが隠れていることが多いものです。これらの理由やパターンを知ることで、お互いの自分たちの状況やパートナーとの関係性を一度客観的に見つめ直せるでしょう。現状を知ることが夫婦関係について、改善への糸口を見出すことにつながります。
ここでは、夫婦喧嘩が絶えない代表的な理由について、詳しく見ていきましょう。
- コミュニケーション不足
- 価値観や考え方の違い
- ストレスや仕事などの外的要因
上記の3つを具体的に解説します。
1.コミュニケーション不足
夫婦喧嘩の原因として代表的なものに、コミュニケーション不足があげられます。夫婦間で、お互いの正直な思いや考えを伝えないままの状態が続くいたままの生活だと、一緒に住んでいても徐々にすれ違ってしまいます。
例えば、妻が「今夜はゆっくりしたいのに、家事をまた一人で片付けなければ」と思いながら、何も言わないままずっと家事をしている状態が続くと、ある日「どうして手伝ってくれないの」と、不満や怒りの感情が爆発することもあるでしょう。
自分の気持ちを表現する方法がわからなかったり、パートナーの反応を恐れて本音を言わずにいたりすると、心の中にモヤモヤした感情が溜まります。抑えていた感情が、忙しさや疲れをきっかけに噴き出し、夫婦喧嘩に発展してしまいます。
2.価値観や考え方の違い
夫婦間で価値観や考え方が違うのは自然なことですが、お互いに理解し尊重し合えないと喧嘩の原因になります。育った環境や経験が違えば、価値観や考え方の違いはあって当たり前です。しかし、価値観を押し付けることや相手を否定することは、夫婦喧嘩に繋がります。
例えば、お金の使い方について夫婦で意見がわかれることがあります。将来の生活設計の考え方が異なっているのに、目の前の出費といった日々の出来事だけを取り上げて言い合うような場合には、問題の本質的な解決に至らず、さらに問題の深刻化をまねく事もあります。
3.ストレスや仕事などの外的要因
夫婦喧嘩の原因には、ストレスや仕事などの外的要因も関わっています。長時間労働によって家族とのコミュニケーションが減るケースのほか、近年ではテレワークの増加により仕事と家庭の境界が曖昧になり、家族としての時間を確保しにくくなっている家庭もあります。
また、経済的な不安や仕事のプレッシャーなどの外的要因は心理的ストレスとなり、些細なことで夫婦喧嘩が起こりやすい状況を作り出します。
夫婦喧嘩が絶えないことによる悪影響とは?
夫婦喧嘩が絶えないと、家庭全体に深刻な影響を与えます。喧嘩が続くことでパートナーとの信頼関係がしだいに崩れ、相手への愛情や尊重の気持ちが薄れていくこともあるでしょう。
夫婦喧嘩が絶えないことによる悪影響を以下に4つ挙げます。
- ストレスと不安が増加する
- 健康への影響がある
- 社会生活や仕事への支障がでる
- 子どもへの影響がある
上記4つについて詳しく見ていきましょう。
1. ストレスと不安が増加する
夫婦喧嘩が繰り返されると、本来リラックスできるはずの家庭が緊張した雰囲気の場所に変わってしまいます。夫婦喧嘩がいつ起きるかわからない家庭では、家族全員が常に緊張状態に置かれます。緊張状態が続くと、家族みんなが知らず知らずのうちに神経を張り詰めてしまい、結果として心身の疲労やストレスが増大していくのです。
継続したストレスは、お互いを信じる気持ちを薄れさせたり、イライラを大きくしたりして、さらに喧嘩が起こりやすくなる悪循環を生みます。家族で楽しく過ごせるはずの大切な時間が、きつい言葉のやり取りに使われてしまい、心や身体の調子を崩すきっかけにもなりかねません。
2. 健康への影響がある
頻繫な夫婦喧嘩は、心や身体にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。
- 不眠や浅い眠り
- 食欲不振や過食
- 胃腸の痛みや頭痛
- 高血圧の症状
- 免疫力の低下
- 気分の落ち込みや情緒不安定
心の面では不安やストレスが増大し、身体の面では疲労が蓄積し、さまざまな不調があらわれることがあります。睡眠や食事など生活リズムが乱れてしまうケースもあるでしょう。
3. 社会生活や仕事に支障がでる
夫婦喧嘩は、キャリアや仕事にも大きな影響を及ぼす可能性があります。夫婦の不和が続き、心にストレスや負担がかかると、仕事に注ぐ時間や労力が制限されてしまいます。例えば、職場での重要なプロジェクトに十分な気力を注げない、資格試験の勉強に集中できないなど、仕事や社会生活に支障がでかねません。
心理面での影響も見逃せません。夫婦間の緊張は、知らず知らずのうちに仕事へのモチベーションを低下させ、集中力を奪います。夫婦喧嘩のストレスで、通常ならしないようなミスを引き起こしたり、本来の能力を十分に発揮できなくなってしまうこともあります。
職場の人間関係にも悪い影響が出やすく、同僚や顧客とのコミュニケーションがスムーズにいかなくなるケースもあります。パフォーマンスが低下し仕事の質や成果に影響が出ることで、結果として個人のキャリアや職場での評価に悪影響を及ぼしてしまいます。
4. 子どもに影響がある
喧嘩が絶えない家庭環境は、子どもの情緒や発達に深刻な影響を及ぼす可能性があります。産後から育児期は、親自身の役割の変化が特に大きい時期です。子どもの世話やしつけへの考え方の違いなど、夫婦間での葛藤や不仲が起こりやすい時期でもあります。
子どもがある程度成長すると、夫婦喧嘩で交わされる会話の内容が理解できてしまいます。両親の怒鳴り声や言い争いを目にすると、子どもは強い不安や恐怖を感じます。最近ではその状況を面前DVといい、子ども供への精神的虐待要因の1つとして、扱われるようになっています。
また、子どもは「自分が原因で両親が喧嘩している」と考えてしまう傾向があります。子どもが抱く自責の念は自己肯定感を下げ、情緒の発達を妨げる可能性もあります。頻繫な喧嘩を繰り返しを見ることで、子どもは健全な人間関係のモデルを学ぶ機会も失ってしまうのです。
不安定な家庭環境が続くと、子どもの感情表現が乏しくなったり、逆に攻撃的な行動が増加したりすることがあります。子どもにとって将来の対人関係や社会性の発達にも影響を与えかねません。
喧嘩が絶えない夫婦は別れるべきか、判断のポイント3つ
仮に「パートナーともう離婚してしまいたい」と思ったとしても、すぐさま別れるべきか結論を出すのは早計です。
夫婦関係の改善の余地はあるのか、それとも別れることが最善の選択なのかを見極める為には、いくつかのポイントについて、考慮する必要があります。
まずは、見極めるための重要な3つのポイントをあげます。
- 関係回復の可能性を確認する
- 虐待の有無を確認する
- 子どもへの影響を確認する
上記の3つについて解説します。
1. 虐待(DV)の有無を確認する
虐待(ドメスティックバイオレンス=DV)には、主に次のような種類があります。パートナーとの関係が虐待に該当する状況になっていないかを確認してみましょう。
- 身体的虐待 殴る、蹴る、物を投げつけるなどの暴力行為
- 精神的虐待 脅す、侮辱する、無視するなどの行為
- 経済的虐待 生活費を渡さない、働くことを制限するなど、経済的な自由を奪う行為
- 社会的虐待 外出の制限、友人や知人等外部の人間関係を断つ様にするなど、社会的関わりを阻む行為
- 性的虐待:同意がない強要的な性行為、中絶の強要や避妊に協力をしない等の性行為
夫婦間の問題や家庭の中は、外からの目が届きにくい場所です。時には虐待を受けている人自身が、虐待されていることに気づきにくいこともあります。
また虐待は特定の性別に限らず起こり得ます。男性も女性も、加害者にも被害者にもなる可能性があるという点を忘れてはいけません。
2. 子どもへの影響を確認する
夫婦喧嘩が絶えない家庭環境は、子どもに深刻な影響を与えることがあります。
- 情緒面:不安、抑うつ状態、自己肯定感の低下、自分への罪悪感
- 行動面:攻撃性の増加、引きこもり、過度の従順さ、学業の低下
長期的には、将来の対人関係にも影響を及ぼすことがあります。代表的なものを示しましたが、他にもストレス耐性の低下や、感情表現の困難さがあらわれることなども懸念されます。
親からの暴力や暴言により子どもが委縮し、身体的・心理的に明らかな症状が出ている場合は、子供の心理的安全性や精神的な成長を考えて、別れを選ぶ判断も必要といえます。
また、子どもが成人し自立している場合、両親の離婚の影響は比較的小さくなります。子どもが両親の事情を理解できる年齢であれば、より離婚しやすい環境であるといえるでしょう。
3. 関係回復の可能性を確認する
夫婦関係の回復への可能性を見極めるには、以下の要素に注目しましょう。
- パートナーシップとしての関係を改善したいという強い意思の有無
- 喧嘩中でも、お互いの意見を聞く姿勢
- 家族の将来や子育てについての共通の価値観
- 夫婦で問題を解決できた経験
- お互いの愛情や信頼の基盤の存在
- 専門家に相談する柔軟性
- 個々の人間として、お互いの価値観や尊厳を認められるかどうかの有無
関係回復にはそれぞれの意思と努力が必要です。価値観の違いや問題にむきあう姿勢、現状を変えていきたいという気持ちをお互いに持てそうかどうかも、判断材料のひとつになります。
夫婦関係を修復するにはどんな方法がある?
夫婦関係の修復は、多くの夫婦が直面する課題ですが、適切な方法で関係を改善することができます。夫婦関係を持ち直す効果的な修復方法として以下の5つが挙げられます。
- コミュニケーションの改善
- 自分の感情の整理
- 話し合いのルールの設定
- 夫婦二人の時間の確保
- 専門家への相談リスト
上記5つについて解説します。
1. コミュニケーションを改善する
効果的なコミュニケーションは夫婦関係修復のカギとなります。
- 相手の話を遮らず、最後まで聞く
- 否定的な言葉を控え、共感を示す
- 自分の意見を押し付けず、妥協点を探る
- 会話の9割は相手の話を聞き、自分の意見は1割程度と心がける
相手の話をしっかり聞いて毎日の会話を大切にし続けることは、夫婦の関係回復につながります。また、何か夫婦間で問題が起きた場合にはきちんと話し合いを行うことで、相手への理解が深まり修復に向かうことができます。喧嘩になった場合、どちらか一方が悪いという場合ばかりではなく、お互いに歩み寄る姿勢が大切です。
2. 自分の感情を整理する
相手に不満を感じたり怒りたくなったりしたとき、自分の感情に向き合い整理することは重要です。
- 自分の感情を冷静に観察する
- 感情の根源にある原因を掘り下げる
- リラックス方法を見つける(瞑想、ヨガ、散歩など)
以上の方法を通じて、感情を落ち着かせ、より客観的に状況を見つめることができるようになります。
3.話し合いのルールを決める
夫婦喧嘩が頻繁に起こる場合には、建設的な対話を行うための「話し合いのルール」を設定することが効果的です。
- 相手を傷つける言葉や暴力は使わない
- 子どもの前で喧嘩をしない
- 現在の問題に焦点をあて、別の話は持ち出さない
- 話が堂々巡りになったら、一旦終了し、クールダウンの時間を持つようにする
- 翌日は通常通り挨拶する
話し合いのルールを決めることで、お互いを認め合いながら建設的な対話をするための指針となります。
4. 夫婦二人の時間を作る
夫婦二人だけの時間を作ることはパートナーシップの関係修復に有効な方法のひとつです。
- 定期的なデートを計画する
- 思い出の場所やレストランに行く
- 子どもが寝た後にゆっくり会話する時間を作る
- 趣味を共有したり、旅行の計画を立てる
二人の時間を大切にすることで、お互いへの理解が深まり、夫婦生活をよりよいものへと改善する大きな一歩になります。
5. 専門家に相談する
状況によっては、夫婦二人だけでは関係を修復することが難しい場合もあります。そんな時は、一度専門家に相談することも検討してみてください。専門家に相談することで、今まで認識していなかった意外な解決方法がわかるかもしれません。
夫婦喧嘩の原因は、それぞれ自覚できていない問題が潜んでいる可能性もあります。原因を探ることで対処しやすくなる上に、悩んでいる時間が短縮できることもあります。夫婦だけで抱え込まず、専門家にアドバイスを求めましょう。
▼当サイト「悩ミカタ」では、夫婦関係の悩みや不安・ストレスについて各分野の専門家/カウンセラーに相談できるオンラインカウンセリングサービス「悩ミカタ相談室」を展開しています。つらくて不安な気持ち、抱え込まずにまずはお気軽に相談してみませんか?
専門家に夫婦関係の相談をするメリット
夫婦関係に悩みが生じたとき、専門家への相談は有効な選択肢となります。
専門家へ相談を受けることで得られる3つの主なメリットを挙げます。
- 第三者の客観的アドバイスを得られる
- 効果的なコミュニケーションを学べる
- 根本的な原因を探ること出来る
夫婦関係を改善してより幸せな人生を目指すためにも、家庭での解決が難しいと感じたら専門家の助けを借りましょう。以下にメリットを解説します。
1. 第三者の客観的アドバイスを得られる
専門家に夫婦関係の相談をすることで、客観的な視点と効果的な問題解決方法を得られます。
- 専門家が持つ夫婦関係に関する豊富な知識と経験を活かせる
- 中立的な立場から状況を分析できる
- お互いに気づきにくい問題を見出せる
- 問題の本質を捉えやすい
- 効果的な解決方法を提案してもらえる
バランスの取れたアドバイスにより、夫婦共に納得できる解決策を見出しやすくなります。
2. 効果的なコミュニケーションを学べる
- 自分を主体とした表現の使い方(アイメッセージ:私は○○だと思うなど)
- 相手の話の聞き方のポイント
- 建設的な意見の伝え方
- 感情的にならない議論方法
専門家から学んだスキルを身につけることで、日常生活でのコミュニケーションが円滑になり、お互いの理解が深まります。結果として、夫婦関係の不和を乗り越えてより健全で満足度の高いパートナーシップを築く事につながります。
3. 根本的な原因を探ることができる
専門家は、表面的な喧嘩や不満の奥に潜む本質的な問題を見抜く経験を積んでいます。
- 価値観の相違
- 信頼関係の欠如
- 過去の未解決の問題(夫・妻それぞれの個々の問題も含む)
- お互いの期待のずれ
カウンセリングのプロセスを通じて、それぞれが気づいていなかった潜在的な問題点が明らかになることも少なくありません。
根本的な原因を特定できれば、より効果的で長期的な解決策を見出すことが可能です。問題の本質に取り組むことで、夫婦関係の真の改善につながる可能性が高まるでしょう。
自分ひとりでの相談のほか、夫婦二人で相談する夫婦カウンセリングという方法もあります。二人だけで話すと、感情的になり、大喧嘩になってしまう夫婦でも、専門家を含めた三者になることで冷静に建設的な話し合いができるかもしれません。
喧嘩が絶えない夫婦について悩んだら専門家に相談しよう
本記事では、喧嘩が絶えない夫婦について解説してきました。夫婦喧嘩は多かれ少なかれ、どこの家庭にも起こりやすいものです。
険悪になってしまう喧嘩もあれば、話し合うことによって、関係が深まる喧嘩もあります。それでも夫婦だけでは解決できないこともあります。その際は、専門家に相談することをおすすめします。
▼「悩ミカタ」には相談実績が豊富な各分野の専門家が在籍しており、さまざまな悩みに適切に解決策を提案してくれます。専門家の助けを借りて、より良いパートナーシップづくりを目指しましょう。
<参考資料>
・子育てと出会うとき(第一章 今どきの母親症候群及び第二章 互いに孤独な夫と母親たち) 大日向雅美
・マイクロカウンセリング技法 福原真知子
・まんがでわかるアサーショントレーニング 平木典子
・文部科学「虐待と子どもの心理」
・厚生労働省「業務以外の心理的負荷評価表別表2 P17 夫婦の不和のストレス強度参考」
<関連記事>夫婦関係については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
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