「食欲が止まらない」という悩みは決して珍しくなく、時にその悩みが深刻な場合もあります。特に40~50代の方から「食欲のコントロールが難しい」「どうしたらいいのか分からない」という声をよく耳にします。
そこでこの記事では、食欲が止まらない原因とその対処法を探り、健康と美容への悪影響を防ぐためのアプローチについて詳しく解説します。ぜひ最後まで読んでいただき、日常生活に役立ててください。
婦人科・心療内科・内科
横倉恒雄先生
・医療法人社団健人会横倉クリニック婦人科・心療内科、健幸外来サロン 院長
・脳下垂体ホルモン研究で博士論文提出、学位取得
・日本最初の「健康外来」を東京都済生会中央病院に開設
・ソニー健康組合にて健康指導
・日本産婦人科学会論文「新しい肥満治療」発表
・星野リゾート星のや竹富島「島時間」プログラムプロデュース
・雑誌「ハルメク」、著書「病気が治る”脳”の健康法」ほか多数の出版、記事監修
食欲が止まらない原因とは?
1. ストレスと食欲の関係
現代社会において、ストレスは避けて通れません。仕事のプレッシャーや家庭での責任、人間関係のトラブルなど、日常のあらゆる場面にストレスを引き起こす要因があります。
そして人はストレスを感じると、コルチゾールというストレスホルモンを分泌します。このコルチゾールは食欲を増進させる作用があり、特に甘いものや高脂肪の食品への欲求を強めることが知られています。
「ストレス食い」とは?
ストレスが溜まると、脳内で快感をもたらすドーパミンの分泌が減少し、それを補うために「食べること」で一時的に脳に快楽を与えます。これが「ストレス食い」と呼ばれる現象で、短期的には安心感や満足感を得られますが、長期的には過食や体重増加につながり、さらなるストレスを生む悪循環に陥ることが多いです。
特に注意すべきは、慢性的なストレスが長期間続く場合、肥満や生活習慣病のリスクが高まるだけでなく、メンタルヘルスにも悪影響を及ぼす可能性があることです。ストレスによる過食を防ぐためには、ストレスをコントロールすることが欠かせません。
2. 生理周期とホルモンバランス(女性の場合)
生理周期とホルモンバランスの変化が食欲に大きな影響を与えることがあります。実際、生理前に食欲が増したことがある女性は少なくないのではないでしょうか。この食欲増加の原因は、プロゲステロンというホルモンの分泌が増加するためです。
ホルモンバランスの乱れがもたらす影響
生理前に食欲が爆発するのは、身体が生理に備えてエネルギーを蓄えようとする自然な反応です。また、生理中や生理後にもエネルギー不足を補おうとするため、食欲が増進することがあります。
なおホルモンバランスの乱れが激しい場合や、PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)などの症状を持つ女性にとっては、食欲のコントロールがより難しくなることがあります。
3. 睡眠不足と食欲の関係
睡眠不足が続くと、食欲を抑制するホルモンであるレプチンの分泌が減少し、逆に食欲を増進させるホルモンであるグレリンの分泌が増加することがわかっています。その結果、過食に陥りやすくなり、特に高カロリーの食品に対する欲求が強まることが知られています。
4. 食生活の乱れ
不規則な食事や栄養バランスの偏りも、食欲が止まらない原因となることがあります。例えば朝食を抜いてしまうと、昼食や夕食で過食してしまう傾向があります。また栄養が不足していると、身体がエネルギーを補おうと過剰な食欲を引き起こすことがあるのです。
食生活の乱れが引き起こす負の連鎖
栄養価の低い食品ばかりを摂取していると必要な栄養素が不足し、身体が「栄養飢餓状態」に陥ります。そして空腹感が強くなり、無意識のうちに高カロリーの食品に手を伸ばしてしまうことが増えてしまいがちです。
食欲が止まらないのは病気が原因の可能性も
食欲が止まらない原因が、特定の病気に関係している場合もあります。ここでは、食欲増進が症状の一つである可能性のある病気について説明します。
1. 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)は、甲状腺が過剰にホルモンを分泌する状態のことをさします。甲状腺機能亢進症になると、新陳代謝が異常に活発になりエネルギー消費が増加するため、食欲が止まらないと感じることがあるのです。ただし食べても体重が増えない、むしろ減少するという特徴があります。
甲状腺機能亢進症の典型的な症状には食欲増進や体重減少以外にも動悸、発汗過多、疲労感などがありますが、これらの症状が見られる場合は早めに医療機関を受診し、適切な検査と診断を受けることが重要です。
2. 糖尿病
糖尿病もまた、食欲が止まらない状態を引き起こすことがあります。特に血糖値が急激に低下する低血糖状態では身体はエネルギー不足を感じ、強い食欲を生じさせます。
糖尿病患者が食欲のコントロールに苦労する理由の一つに、インスリンの働きが関係しています。インスリンは血糖値を下げるホルモンですが、その分泌が不十分であったり、インスリン抵抗性が高まっていると血糖値が不安定になり、食欲が増進することがあるためです。
3. うつ病などの精神疾患
うつ病などの精神疾患も、過食が症状として現れることがあります。うつ病になるとセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質のバランスが崩れることが多く、これが食欲や満腹感の調節に影響を及ぼすのです。
食欲が止まらないことで生じるリスクとは?
食欲が止まらない状態を放置すると、さまざまなリスクが生じます。ここでは、そのリスクについて説明します。
1. 肥満により、健康面にダメージを与える
過食によって最も影響を受けるのが体重です。体重が増えて肥満になると、生活習慣病などさまざまな健康リスクを引き起こす可能性が生じます。また関節への負担も増加し、慢性的な痛みや不快感を伴うこともあります。
高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、肥満と密接に関連していますし、肥満が進行すると心血管系疾患のリスクが高まってしまいます。
2. 美容への悪影響
過食によって肌荒れやニキビなど、外見に影響が出ることもあります。
糖分や脂肪の過剰摂取は、皮脂の分泌を促し、毛穴を詰まらせる原因となります。これがニキビや吹き出物の発生に繋がるのです。また栄養バランスの崩れは、肌のターンオーバーを乱れさせて、肌の老化を早めることがあります。
3. 精神的な負担が生じる
食欲が止まらない状態が続くと、自身への嫌悪感や罪悪感が強まってしまい、精神的な負担が増します。こうしたネガティブな感情によって、さらに過食になる悪循環に陥ることがあるため、早めに対処する必要があります。
食欲が止まらないときの対処法とは?
ここでは、食欲を抑えるための効果的な方法をいくつか紹介します。
1. ストレス管理
ストレスが原因で食欲が増している場合、ストレスを適切に管理することが重要です。ヨガや瞑想などのリラクゼーション法、適度な運動、趣味の時間を持つなど、ストレスを軽減する方法を見つけることで、食欲をコントロールできることがあります。
2. 規則正しい食生活を心がける
食事の時間を規則的にし、バランスの取れた食事を心がけることで、食欲を安定させることができます。
毎日の食事には、たんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルなどの基本的な栄養素がバランスよく含まれていることが理想的です。特に、食物繊維を豊富に含む食べ物(例えば野菜、果物、全粒穀物など)や、低GI食品(例えばオートミール、玄米など)は、満腹感を持続させ、過食を防ぐ効果があります。
朝食を抜くと次の食事で過食しやすくなるため、朝食は欠かさず摂るようにしましょう。さらに通常の食事に加えて軽めの間食を取り入れることで、血糖値を安定させ、過度な空腹感を防ぐことができます。
また食事前にコップ一杯の水を飲むだけでも満腹感を得やすくなり、食べる量を自然に減らすことができます。
3. 睡眠の質を向上させる
十分な睡眠を取ることも、食欲のコントロールの助けになります。睡眠不足が食欲を増進させることがわかっているため、睡眠時間を確保し、質の高い睡眠を心がけましょう。
また寝室の環境を整える(適度な温度、暗さ、静かな環境を保つなど)、寝る前に電子機器の使用を控える、一定の時間に寝起きするなど、睡眠の質を向上させるために工夫することもおすすめです。質の高い睡眠は食欲を安定させるだけではなく、心身ともに健康でいるために欠かせません。
4.専門家に相談する
食欲が止まらない背景には、精神的な要因が関係していることが多いものです。そのため強いストレスを感じたら一人で抱え込まずに、カウンセリングなどで専門家のサポートを受けることをおすすめします。
また食欲が止まらない状態が長期間続く場合は、何らかの病気が原因の可能性もあり、注意が必要です。甲状腺機能亢進症や糖尿病など、体の内側に問題がある場合もあるため、気になる場合は早めに医療機関でみてもらってください。
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まとめ
食欲が止まらない悩みは、さまざまな要因が絡み合って生じるもの。その原因を理解して適切な対処をし、健康的な食生活を取り戻しましょう。まずは自身のライフスタイルを見直し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
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