休日ずっと寝てしまう経験は、忙しい40代50代のみなさんには当たり前の経験かもしれませんね。しかし、人生の時間は有限です。休日もあなたらしく過ごしたいと思っていませんか? この記事では毎日の生活を有意義に過ごしたいのに休日寝て終わる人に向けて、ずっと寝てしまう原因や病気との関係性、そして休日ずっと寝てしまうことへの対策を取り上げました。あなたの時間をより大切にするために、この記事を執筆しました。ぜひあなたの休日ライフにお役立てください。
佐々木ゆりさん
公認心理師、臨床発達心理士。保育士歴は20年。現在は療育スタッフとして発達障害を持つお子さんやその家族と関わっています。発達と保育を軸に、直接支援はもちろん、webライター、保育士になりたい人の支援、保育士さん支援など幅広いキャリアを展開中です。
休日にずっと寝てしまう原因とは?病気との関係性はある?
休日にずっと寝てしまう原因は睡眠不足やストレス、病気といった原因が考えられます。40代50代は心身共に忙しい時期ですので、原因には心当たりがあるかもしれません。1つずつ解説していきます。
平日の睡眠不足と生活リズムの乱れ
平日の睡眠不足がたまってしまうことが休日ずっとねてしまう原因の1つと考えられています。平日あまり寝られなかったため、休日にその足りない睡眠をなんとか取り戻そうとする行動になってしまうのです。
また睡眠不足とはICSD-3(睡眠障害国際分類第3版)によると
「医学的に推奨される睡眠時間未満の睡眠で日中に眠気を認め、休日等に長く寝てしまう(平日よりも2時間以上)」とされています。推奨される睡眠時間については「健康的な睡眠時間の目安」の項目でで後述していますので、ぜひこのままお読みください。
ストレスや疲労がたまっている
ストレスや疲労があるとうまく寝付けなかったり、中途覚醒といって途中で目が冷めてしまうことがあります。平日にうまく眠れていなくても、忙しい40代50代のみなさんはいつもと同じルーティンをこなそうとしますよね? そういった頑張りが疲れにつながって、休日なんとか回復しようとする行動が休日寝て終わるという結果につながっていると考えられます。また、休日をうまく過ごせないことを「休日無気力症候群」といい、正式な病名ではありませんが、「燃え尽き症候群」と関係があるとされています。この場合は、早めに自分の抱えている仕事量を調節し、たまっている疲労を回復することが大切です。
自律神経の乱れが起こっている
正常な自律神経バランスであれば、日中は元気に活動するための交換神経が働き、夜は眠くなって副交換神経が働くようになっています。ところが自律神経のバランスが崩れていると、本来活動すべき時間にずっと寝てしまうことが起こり、夜に眠れなくなる生活リズムになりやすいとされています。1度生活リズムが崩れてしまうと、忙しい平日で元に戻すのが難しいため、自律神経が乱れないよう注意する必要があります。
うつ病や過眠症である
うつ病と診断されるためには「抑うつエピソード」があることが基準になっています。その「抑うつエピソード」の1つが「不眠、または過眠」です。つまり、睡眠に悩みがある人はうつ病の可能性があると言えるのではないでしょうか。また、休日ずっと寝てしまうことや、平日の睡眠についても気になっている人は過眠症の可能性があります。過眠症については、この記事の「過眠症の診断基準」で詳しく説明していますので、ぜひ確認してみてください。
寝過ぎ(過眠)の判断基準とは?
そもそも医学的に寝過ぎとはどのような状態なのでしょうか。また、どれくらいの時間寝てしまった時に寝過ぎ(過眠)というのでしょうか。ここでは寝過ぎの判断基準について説明していきます。
健康的な睡眠時間の目安
推奨される睡眠時間は厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023によると
・成人:6時間以上
・高齢者:8時間以上にならないこと
・子ども:小学生は9〜12時間・中・高校生は8〜10時間
となっています。ただし、成人の場合、個人差があるとしており、6時間で睡眠が十分な人もいれば、8時間以上必要な人もいるとしています。自分にあった睡眠が大切なのですね。
過眠症の診察基準
過眠症と聞くと「ただ寝過ぎてしまう病気」というイメージを持つかもしれません。実は過眠症(中枢性過眠症)にはいくつか種類があります。
ナルコプレシー | 日中、普通なら居眠りするとは考えられない状況でも我慢できない睡魔に襲われて眠りに落ちてしまう病気。 |
特発性過眠症 | いったん眠り込むと、目覚めるのに1時間以上かかることが多いのが特徴。夜中の睡眠も11時間以上と長い人が多いといわれています。 |
クライネーレビン症候群 (反復性過眠症・周期性傾眠症) | 数日から数週間の強い眠気がある時期とそうでない時期が繰り返しおとずれるのが特徴です。 |
どれも脳の中の睡眠を調節する機能がうまく働かず、日中強い眠気が出現する病気です。気になった方は脳神経外科や睡眠外来などを受診するとよいでしょう。
睡眠が正常かどうかのチェックポイント
厚生労働省から過去1ヶ月の睡眠について振り返るチェックシートが公開されています。休日ずっと寝てしまう原因がわかるかもしれません。ぜひ一度チェックしてみましょう。
睡眠によって十分に休養できていないと感じますか? | はい | いいえ |
日中に倦怠感や眠気を感じることはありますか? | はい | いいえ |
眠気で日中の生活に支障が出ることがありますか? | はい | いいえ |
起床時間・就寝時間は平均して何時ごろですか? | 起床 ( )時 | 就寝 ( )時 |
実際に眠っている時間以外に寝床で長時間過ごすことはありますか? | はい | いいえ |
ひとつでも「はい」と答えた方、睡眠時間が6時間未満の方は適切な睡眠がとれておらず、体や心の健康を損なっているかもしれません。
なかなか寝付けない、もしくは寝ついても途中で目が覚めてしまうことがありますか? | はい | いいえ |
「はい」と答えた方はストレスなどが原因で不眠の症状が隠れているかもしれません。
睡眠中に窒息感やあえぐような呼吸を自覚することはありますか? | はい | いいえ |
最近体重が増えたことで激しいいびきをするようになりましたか? | はい | いいえ |
肥満、高血圧、糖尿病の治療を受けている、または指摘されたことはありますか? | はい | いいえ |
ひとつでも「はい」と答えた方は睡眠時無呼吸症候群などの睡眠中の呼吸にかかわる病気の可能性があります。適切な治療をすることで他の病気の危険性を減らすことができるため、医療機関への相談をおすすめします。
引用元:厚生労働省 良い目覚めは良い眠りから しっているようで知らない睡眠のこと
休日を寝て過ごす生活を続けるリスクや問題点
平日、仕事やプライベートで頑張った分、休日は自分らしく過ごしたいと思っているのに、休日を寝て過ごしてしまう。そんな生活が続いてしまったとしたら、自分はどうなってしまうのか、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは休日ずっと寝てしまうことへのリスクなどをピックアップしてみました。
体重が増えてしまう
休日にずっと寝てしまうことや、平日の睡眠不足が引き起こす問題に体重管理があるのをご存知ですか? 実は平日にまとまった睡眠時間がとれないと、食欲に関係するホルモン分泌がうまく働かないとされています。その結果、日中の食欲が増加し、高血圧や糖尿病などの生活習慣病につながる可能性がでてきてしまうというわけです。ただ、休日寝て過ごしてしまうだけなのに、体重に影響があるなんて驚きです。
記憶力と集中力が落ちてしまう
イギリスの大学の研究によると、50代から80代の人で睡眠時間8時間以上の人は、7時間睡眠の人と比べて記憶力と意思決定能力が低下しているそうです。また休日にずっと寝てしまうと体内時計が狂ってしまい、それによって平日のパフォーマンスや認知機能が悪化してしまうことは、いくつかの研究結果でわかっています。「週末の寝だめ」はわたしたちにとってあまりよくない行動のようです。
ストレスがたまりやすい
休日ずっと寝てしまうため時間が取れず、好きな趣味に時間を使えなかった、もしくはやりたいことができなかった。それゆえ、モヤモヤとした気持ちが生まれ、平日に対して前向きに取り組めない姿はみなさんもイメージできるのではないでしょうか? 特に平日の40代50代は責任やタスクに追われている分、休日を有意義に過ごしたい気持ちが増加しており、その結果、休日寝て過ごしてしまったことへの罪悪感は大きいことでしょう。このストレスを消化できないループから抜け出す方法は次にご紹介していきます。
休日にずっと寝てしまうことへの対策
平日の睡眠不足や病気といった、休日ずっと寝てしまう原因がわかりました。では、休日にずっと寝てしまう場合、どういった改善方法があるのでしょうか。具体的で、今日から取り組める方法をご紹介していきます。
平日の睡眠時間を改善する
休日にずっと寝てしまうのは平日の睡眠不足からきていることが多いです。よって、日頃から睡眠がしっかりとれている状態が望ましいでしょう。そのためには日中時間の使い方を整理する必要があるかもしれません。毎日の生活でできる改善方法としては
- 寝る前など、長時間でのスマートフォン使用を控える
- 残業をなるべくしないようにする
があります。
もう少しまとまった時間を作るためには
- 自分にとって苦手なことは、誰かに頼ったりサービスを利用することで時短を目指す
- 部屋の断捨離をして、生活しやすい空間を作る
といった生活全体を改善する方法もあります。どちらも、まずは自分が何にどれくらいの時間を使っているか調べてみることから始めてみるとよいでしょう。
休日の過ごし方を工夫する
休日に目的があると、普段通りに起きられる人は多いのではないでしょうか。休日の過ごし方は、休日の朝に決めるのでは段取りがむずかしくなります。ぜひ平日のうちにやりたいことをリストアップしたり、人と約束をしておくとよいかもしれません。やりたいことが具体的であればあるほど、休日の過ごし方がはっきり見えてくることでしょう。日頃から自分のしたいことについてメモしておく習慣があるといいですね。
生活リズムを整える方法を試してみる
長時間労働や不規則勤務である場合には、休日だけではうまく生活リズムを整えられない可能性があります。
- 遮光カーテンを寝室に取り付けて、スムーズに入眠できるようにする
- カフェインを寝る6時間前から控える
- 寝る前の飲食・飲酒はなるべく避ける
- 湯船につかるなど、体の温度を調節する
上記の方法を取り入れることは、生活リズムを整えるのに役立ちます。自分にあった方法は1つとは限らないので、ぜひ少しずつ取り入れてみましょう。
運動を生活に取り入れる
適度な運動は体に心地よい疲労感があることで、寝つきがよくなりまた目覚めもよくなるとされています。普段運動をしない人が運動をはじめることはハードルが高く感じるかもしれません。まずは1駅分歩いてみる、会社の階段を1回使ってみるといった、毎日の生活に取り入れやすい活動からはじめてみませんか? 家の中でできるヨガやストレッチも血行がよくなり、心地よい睡眠に繋がります。睡眠の質があがると、休日寝てばかり過ごさずともよくなることでしょう。
ストレスとうまく付き合う
ストレスとうまく付き合うためには、いろいろな要素が必要です。あなたは今、どんなことが気になっているのか、気づいているでしょうか? 本当にストレスフルな場合、自分が何にストレスを感じているのかわからないときもあります。まずは自分のストレスに気づくことから始めてみませんか?
具体的なストレスを見つける方法としては
- 誰かに相談したり、自分のことを話す機会をつくる
- ノートやAIなどに自分の思いなどを書き出して、客観的にみてみる
- 音声アプリなどを使って声でアウトプットする
といったことなどがあります。自分のストレスに気づいたら、ストレスとうまく付き合う方法も見つかりやすいかもしれませんね。
休日が寝て終わってしまう、休日に何もしたくない…そんな人のための相談先とは?
休日ずっと寝てしまう人は日頃から睡眠時間を確保したり、自分のストレスと向き合うことが大切なことがわかりました。ですが、具体的な解決方法を試してみてもうまくいかない場合はどこに相談したらよいのでしょうか。休日に何もしたくないといった悩みを相談できる場所をご紹介します。
かかりつけ医への相談
普段受診しているかかりつけ医に相談してみましょう。受診の際には「休日が寝て終わってしまうのだが、何か病気が隠れているのではないかと思っている」「平日にうまく睡眠がとれていないため。休日に何もしたくない状態になっている」と具体的に自分の状況を伝えられるとよいですね。
睡眠専門医や精神科などをたずねてみる
「かかりつけ先には聞きづらい」「もっと専門的な意見が欲しい」と思っている人は、睡眠専門医のいる病院や精神科がおすすめです。その際には睡眠日記とよばれる睡眠時間などを記録したメモを持参すると医師との話がスムーズになることでしょう。自分が気になっている病名を伝えるのもよいかもしれません。
オンライン相談
「休日ずっと寝てしまうことは気になっているが、忙しくて病院はちょっと…」「病院に相談するほどではないが、誰かに話を聞いてほしい」と思った人はオンライン相談がおすすめです。「悩ミカタ」は自分のスケジュールに合わせて予約できますし、もちろん相談する専門家も選ぶことができます。対面だけでなくメッセージでやりとりできるのも魅力ですね。どんな専門家がいるかまずは調べるところから始めてみましょう。
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まとめ
この記事では、主に以下のようなことを紹介しました。
・休日ずっと寝てしまうことは平日の睡眠不足やストレスが原因である。
・健康的な生活リズムを取り戻すために必要な対策は睡眠時間の確保や休日の過ごし方など様々な対策がある。
・休日寝て過ごす人は病気の可能性もあるため、専門家へ相談する。
休日ずっと寝てしまう人は日頃の生活を精一杯頑張っている人とも言えますね。ぜひこの記事に書かれた解決法を試しながら、そして時には誰かに相談することで、日々をあなたらしく過ごせることを願っています。