生理前に眠れないという悩みを抱えていませんか? 生理前、睡眠に変化がある人は珍しくなく、また40代、50代の女性にとっては、ライフスタイルの変化や女性ホルモンの影響が関係していることもあって不眠はメジャーな悩みです。この記事では、生理前や生理中に眠れなくなる原因についてわかりやすく解説、またすぐにできる対処法もご紹介しています。今まさに眠れなくて困っている人も、前から気になっている人も、この記事を読めば、生理と睡眠について上手な付き合い方がわかるのではないでしょうか。ぜひ気になるタイトルからクリックしてみてくださいね。
佐々木ゆりさん
公認心理師、臨床発達心理士。保育士歴は20年。現在は療育スタッフとして発達障害を持つお子さんやその家族と関わっています。発達と保育を軸に、直接支援はもちろん、webライター、保育士になりたい人の支援、保育士さん支援など幅広いキャリアを展開中です。
生理前や生理中に眠れなくなる理由とは?女性ホルモンはもちろん、日中のストレスや他の病気が影響していることも
生理前や生理中に眠れなくなるのはエストロゲンやプロゲストロンといった女性ホルモンが影響していることをご存知ですか。また毎日がストレスフルで、自立神経の乱れといった不眠の原因を持っていると、生理前や生理中により眠れなくなる人もいます。それぞれ解説していきます。
女性ホルモンが増減するため、生理前や生理中はうまく眠れない体になっている
生理前や生理中はいくつかの女性ホルモンが普段とは異なる働きをしています。いつもはバランスがとれている体でも、ホルモンの働きが変わることで睡眠ホルモンの減少や体温が上昇。その結果、うまく眠れない体に変化してしまうのです。
眠れない病気が隠れているため。もしくは、ストレスで自律神経が乱れているから、眠れない
寝ようとすると日中の出来事が浮かんできてなかなか眠れない、途中で目覚めてしまって結局寝不足といった睡眠に関する悩みを持っていませんか?そういった、もともと眠りにくい人には病気やストレスが隠れているかもしれません。生理前の体はうまく眠れないようになっているため、病気やストレスによってますます眠れない、というわけです。
睡眠と女性ホルモンの関係とは?2つの女性ホルモンについて解説
生理前や生理中に眠れないのは女性ホルモンが関係しています。ではどのような女性ホルモンが眠れない状態を作っているのでしょうか。代表的な2つの女性ホルモン「エストロゲン」「プロゲストロン」について解説していきますね。
エストロゲンは女性らしさをつくるホルモン。生理前に低下することで、睡眠ホルモンも減少、眠れない悩みを引き起こす
エストロゲンは乳房を大きくする・肌のツヤをよくする・脳の血流を増やすといった働きが特徴です。生理前になるとエストロゲンは減少していきます。エストロゲンは睡眠ホルモンであるメラトニンの生成にも関与しているため、エストロゲンの減少はメラトニンの分泌不足を引き起こし、睡眠の質が低下する原因となります。また、エストロゲンは20代でピークを迎え、その後大きく変動していきます。エストロゲンが急激に減少ことによって引き起こる病気が更年期障害です。生理前や生理中に眠れない人はもしかすると更年期障害が隠れているかもしれません。
プロゲステロンは体温上げる働きが。体内温度のメリハリがつきにくく、夜眠れない原因に。
プロゲステロンには、体温を上げる働きがあります。生理前に基礎体温が高くなるのはプロゲステロンの影響です。体温が高くなると、日中は眠気が強くなり※1、夜は浅い眠りになってしまいます。また、プロゲステロンは呼吸にも影響があり、生理前、急激にプロゲストロンが低下することで、いびきなどを引き起こしていると言われているのです。
生理前・生理中に眠れないときの対処法とは?今すぐできる方法はストレッチ、ツボ押し、アイマスクなど様々
生理前や生理中に眠れないのは女性ホルモンやストレスなどに原因があることがわかりました。原因がわかったことで、さらに悩んではいませんか。ここでは今すぐ簡単にできる対処法をご紹介していきますので安心してくださいね。
ストレッチをする。布団の中でもできる簡単ストレッチ
生理前や生理中は血流のバランスが悪くなっている可能性があります。ほどよい筋肉の動きは体をリラックス、副交感神経を優位にさせることでしょう。ストレッチをする際は呼吸をゆっくり丁寧に行います。呼吸を意識することはマインドフルネスを意識することになりますので、生理前や生理中の眠れない状態に悩む人におすすめです。
寝ながらできるストレッチ前の準備
①仰向けで寝て、かるく目を閉じます。薄目でも大丈夫です
②両手をやさしくお腹に当てます。両脇においてもいいです
③大きく息を吸って、ながく息を吐きましょう
④思いや考えが浮かんできても、呼吸をすることに意識を向けてみます
⑤大きく息を吸って、長く息を吐くことを繰り返します
はじめての人は無理ない範囲でやってみてください。5分くらいできるといいですね。
寝ながらできる 体側(体の横)のストレッチ
①仰向けで寝て、両手を上に上げます
②足をくっつけたままを横にずらします。イメージは少しまがったバナナです
③少し物足りない人は上半身を足と同じ方向に少しまげてみましょう
体側のストレッチには、自律神経を整える効果がありますよ。またヨガで呼吸を整えるのもおすすめです。
ツボ押しもおすすめ。いますぐできる「合谷」のツボで不眠解消へ
簡単に効果がある方法としてツボもおすすめです。ツボは骨に沿ってありますので、自分にとって気持ちのいい場所をまず探してみましょう。
合谷(ごうこく)
手の親指と人差し指の骨が交わるあたりにあります。万能ツボの1つで、不眠や頭痛にも効果があるとされています。
タオルでアイマスクをしてみる
眠れない時はどうしても気持ちがイライラしたり不安になったりしませんか。こんな時はタオルでアイマスクをしてみましょう。目の周りにはたくさんの血管と筋肉があり、目元を温めたり冷やしたりすることで心地よさが感じられ、良い睡眠※2につながります。
- ホットアイマスク:濡れたタオルを絞って電子レンジで20秒加熱してください
- クールアイマスク:氷水で濡らしたタオルを絞りましょう
寝る6~8時間前にはカフェインとアルコールの摂取を控える
お茶やコーヒーなどに含まれるカフェインやアルコールは、睡眠の質に悪影響を与える可能性があります。特に生理前は、ホルモンバランスの影響でこれらの刺激物に対する感受性が高くなることがあります。カフェインの半減期(血中濃度が半分になる時間)は個人差があり2~8時間と言われていますが、だいたい寝る6~8時間前にはカフェインを摂るのをやめるように意識するといいでしょう。カフェインのかわりに、カフェインフリーのハーブティーやホットミルクなどを飲むとリラックス効果が得られます。
生理前・生理中に眠れないことに関連する病気はある? 考えられる主な病気は更年期障害や睡眠障害など
生理前や生理中に眠れないのは女性ホルモンが大きな原因ですが、眠れない症状を持つ病気が隠れている可能性もあります。以下の病気が気になる人は一度、かかりつけ医に相談してみましょう。
睡眠障害(不眠症)
もともと寝つきが悪い、寝ても起きてしまうことが多い人は睡眠障害の可能性があります。睡眠の悩みが続くと、なおさら寝られないという悪循環になりやすいです。生理が終わっても不眠が続く人は、一度内科や精神科に相談してみましょう。
更年期障害
閉経前5年と閉経後5年の合わせた10年が「更年期」です。その間に起こる、ほてりや発汗、めまいや不眠、疲労感やイライラといった症状は更年期障害かもしれません。更年期障害の治療はホルモン充填療法や漢方薬、向精神薬と治療法はいくかあります。婦人科への受診がおすすめですが、心療内科などでも対応してもらえますよ。
PMS(月経前症候群)
月経前になるとイライラする、頭痛やめまい、感情コントロールがうまくいかないのがPMS(月経前症候群)ですが、睡眠に症状が現れる人もいます。PMSの治療は低用量ピルや子宮内避妊システム(商品名:ミレーナ)など保険で対応できます。受診時の問診では、月経サイクルを聞かれることが多いので、一度手帳などに月経開始日とPMSと思われる症状があった日をメモしておくといいでしょう。
その他(不安障害・自律神経失調症・うつ病など)
ストレスが多い人ほど睡眠について悩んでいると言われています。睡眠の問題は、もしかするとストレスからくる不安障害や自律神経失調症、うつ病かもしれません。これらが気になる人は、受診する病院を決めるためにも、一度「悩ミカタ」で自分のことを話す機会をつくりませんか。ホームページから匿名で相談できる「悩ミカタ」は、忙しい40代50代の賢い選択肢といえるでしょう。
生理の悩みは生理が終わったタイミングで受診を。不眠は週3日、3ヶ月以上続くと治療が必要※3
生理と睡眠について悩みがあるときには、婦人科や精神科で受診、医師にみてもらうことをおすすめします。婦人科系の受診は生理が終わり次第受診すると、次のサイクルがくる前に対策を打つことができます。不眠については、週3日、3ヶ月以上続くと病気の可能性があります。自分の気になる症状に合わせて受診してくださいね。
生理前に眠れないことでお悩みの方へのメッセージ
生理前に眠れないことに関する情報をまとめてみました。
- 生理前や生理中、女性ホルモンの影響で眠りにくくなる人がいる
- もともと眠れない人は、生理によるストレスでより眠れなくなっている可能性がある
- 生理前や生理中眠れない時はストレッチやアイマスクなどといった自律神経をリラックスさせる方法がおすすめ
- 気になる症状の悩みに合わせて、婦人科や精神科を受診する
40、50代になると体に関する悩みは誰しも抱えています。一人で抱え込まず、自分が相談しやすい方法で、一度自分のことを整理する機会があるといいですね。この記事が生理前に眠れないといった悩みや不調と上手に付き合いながら、自分らしく過ごすきっかけになれば嬉しいです。
▼当サイト「悩ミカタ」でも、ミドル世代(40代50代)の悩みや不安・ストレスについて各分野の専門家/カウンセラーに相談できるオンラインカウンセリングサービス「悩ミカタ相談室」を展開しています。つらくて不安な気持ち、1人で抱え込まずにまずはお気軽に相談してみませんか?
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【参照元】
※1: https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf