女性の50歳からの生き方とは?人生をもっと楽しむための考え方やコツ

「50歳」という節目を迎えると、「これまでの人生、これでよかったのかな?」「これからはもっと自分らしく生きたい」そんな思いを抱く人が増えてくるように思います。

40代まではがむしゃらに働いたり、子育てに追われたりと、毎日を走り続けてきた方も多いのではないでしょうか。しかし、50歳を目前にして子どもの独立や親の介護といったライフステージの変化が訪れ、これまでとは違う生活リズムに戸惑いを感じることもあります。

そこで今回は、50歳前後の女性が直面しやすい「変化」や「不安」について掘り下げながら、これからの人生を前向きに楽しむための具体的な考え方や行動をご紹介します。

50歳という人生の節目を、新たなスタート地点として、これからの「私らしい人生」を、一緒に描いていきましょう。

執筆者

藤原美保さん

公認心理師、介護福祉士、保育士、健康運動指導士の資格保有、療育支援に携わること20年以上。

放課後等デイサービスを運営する中で発達障害児童、そのご家族の悩みも含め相談やカウンセリング対応を10年以上行う。自己肯定感が低い、親から虐待を受けた過去に悩む方からの相談なども多数対応。

これまでに、『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』(エッセンシャル出版社)、『発達障害の女の子の「自立」のために親としてできること 』(PHP研究所)と2冊の本を執筆。現在も出版に向け本の執筆をつづけている中、子育てのポータルサイトにて発達障害の子の子育てコラムを連載中。

目次

50代の女性が感じやすい、40代までとの変化

子どもの独立やライフステージの変化

子どもを持つ40代後半から50代の女性にとって、人生の大きな転機のひとつが「子どもの独立」です。

子育て中は、常に子どものスケジュールや気持ちを最優先し、自分のことは後回しにしていたという方も多いでしょう。しかし、子どもが成人し、就職や進学などで親元を離れると、自分のために使える時間が少しずつ増えてきます。

その一方で、「自分が何をしたいのか分からない」と感じたり、空虚感や寂しさ(いわゆる“空の巣症候群”)に悩む人も少なくありません。

これまで「家庭や子どもが中心だった人生」から、「自分自身を中心に据えた人生」へとシフトしていくタイミングがちょうど50歳前後に訪れる方が多いのです。

親の介護や自身の健康リスクへの意識の変化

もうひとつ、50代で多くの人が直面する大きなライフイベントが、親の介護や見送りです。

この時期になると、両親が70代後半〜80代というケースも多く、認知症や介護の問題が急に現実味を帯びてくることも珍しくありません。「うちはまだ大丈夫」と思っていても、ある日突然、介護が必要になることもあります。

また、自分自身の“心身の健康”に時間とお金がかかりはじめるのも、50代ならではの変化です。体力や見た目の衰えを感じ始めると、自然と気力も低下しやすくなります。40代までは「多少無理をしてもなんとかなる」感覚があった方でも、50代になると、見た目や体調の変化から“老い”をはっきりと意識するようになるでしょう。

多くの人にとって、40代は「若さを保つための努力」をする時期ですが、50代は「今の自分を維持するだけでも生活習慣を見直す必要がある」年代です。これまで後回しにしてきた“自分自身のケア”に、しっかりと時間とお金をかける必要があるのです。

仕事への考え方やキャリア観の変化

女性の活躍の場が広がってきたとはいえ、40代後半〜50代というのは、キャリアの岐路に立ちやすい年代でもあります。これまで会社や組織で経験を積んできた方は、役職に就いたり、後進の育成を任されたりと、これまでの働き方を見直す機会が増えてきます。

一方で、家庭の事情や子育てが一段落したことで、再就職や転職、あるいは起業を考える女性が増えるのもこの年代の特徴です。

若い頃には想像もしなかった新しい働き方に挑戦したり、これからの人生をより豊かにするために、「学び直し(リスキリング)」に取り組むケースも珍しくありません。

50歳を前にした女性が抱えやすい不安

将来の経済面や老後の不安

「老後をどう過ごすか」――そんな具体的な資金計画が気になり始めるのも、50歳前後の大きな変化のひとつです。

老後資金や定年後の働き方、年金・退職金に関する疑問など、将来への不安が少しずつ現実味を帯びてきます。先の見通しが立たないままだと、不安ばかりが募ってしまうという人も少なくありません。

だからこそ、今のうちから、収入と支出のシミュレーションを行い、老後に向けた備えを始めておくことが大切です。
安心して新たな人生のステージに進むためにも、「お金の見える化」をしておきましょう。

健康と更年期症状への不安

女性にとって50歳前後は、閉経を迎える人が増える時期であり、同時に更年期の症状に悩まされる人も多いタイミングです。

急なほてり(ホットフラッシュ)やのぼせ、大量の汗、イライラや不安感など、身体的・精神的にさまざまな不調が現れやすくなります。しかし、こうした症状は周囲に理解されにくく、ひとりでストレスを抱えてしまうケースも少なくありません。

この年代は、女性ホルモンの大きな変化が起こる時期でもあり、その影響で 高血圧・動脈硬化・骨粗しょう症などの生活習慣病のリスクも高まっていきます。

また見た目にも変化が現れやすくなり、髪が細くなったり、肌のハリやツヤの低下、姿勢の崩れなど、体の変化を実感することが増えてくるのもこの時期の特徴です。

キャリアや自己実現への焦り

これまで何となく仕事を続けてきた方や、子育てや家庭の事情で正社員としてのキャリアを諦めてきた方の中には、
ふとしたときに「自分は社会的に価値がないのでは」と感じてしまうことがあります。

そして、50歳前後という節目を迎えると、「これが最後のチャンスかもしれない」「もう次はないかもしれない」という思いから、これまでのキャリアを見直したり、かつてやりたかったことに挑戦する人も増えてきます。

その一方で、「今さら何も成し遂げられないのでは」と、焦りや不安に飲み込まれやすい時期でもあるのです。

50代からの生き方を前向きにする考え方

50歳からが「再スタート」

「人生100年時代」と言われる今、50代は“第二の人生”の始まりとも言える時期です。

かつては「50歳を過ぎたら余生をどう過ごすか」と考えられていた時代もありましたが、現代の50代は、まだまだ元気で、新しいチャレンジに挑むだけの体力も経験も十分に備えています。

だからこそ、これからの自分に問いかけてみましょう。「もう終わり」ではなく、「これから何ができるか?」と。

そんなふうに意識をシフトすることで、シニア期に入っていくことも、きっとポジティブなものとして受け入れられるはずです。

「これまでの経験」を活かす

50歳にもなると、人生経験は確実に豊かになっています。失敗や挫折も少なくはなかったかもしれませんが、それらを乗り越えてきたからこそ培われたスキルや実績が、必ずあるはずです。

たとえ若い頃と比べて体力が落ちたと感じることがあっても、判断力・決断力・リーダーシップといった「経験から生まれる強み」は、むしろ今のほうが成熟しています。

そこで「自分には何もない」と思ってしまう前に、以下について振り返ってみてください。

・職歴や子育てを通して身につけたスキル

・人脈や友人・知人とのネットワーク

・トラブルや困難を乗り越えてきた実行力・継続力

これらはすべて、人に伝えられる・教えられる“あなた自身の財産”です。

「若くない」からこそ踏み出せる、新しい一歩もある

何かを始めたいと思ったときに、「若い人と比べてITスキルが足りないかも…」「こんなこと聞いたら笑われそう…」
と、年齢をハンデのように感じてしまうかもしれません。

でも、分からないことは、若い世代に素直に教えてもらうという柔軟さがあれば大丈夫。若さでカバーできない部分は、あなたの“経験と知恵”で十分に補えるのです。

無理に急がず、ゆっくり習得していけばいい。新しい世界に一歩踏み出すことが、心も体も若さを保つ秘訣になります。

小さな楽しみを大切にする

「大きな目標を掲げてチャレンジする」のも素晴らしいことですが、50代は、激しい刺激を求める年代ではないかもしれません。

「大きな賭けに出るつもりはないけれど、穏やかに心豊かに過ごしたい」そんな思いを持つ方にとっては、日常の中に小さな楽しみを見つけることが、前向きな心を育むカギになります。

たとえば以下のようなことです。

・軽い運動をして、健康や体力を維持する

・自分のために丁寧に料理をしてみる

・ファッションやメイクをゆっくり楽しむ

若い頃には忙しさに追われてできなかったこと。つい手を抜いていた「自分の身体を大切にする時間」を、毎日の暮らしに少しずつ取り入れてみましょう。

心と身体が穏やかに満たされていくことこそが、50代からの人生を楽しむ一歩になります。無理をせず、心地よく過ごす“自分時間”を大切にする生き方も、十分に素敵です。

50代を楽しむためにできる具体的な行動

自分らしく豊かな日々を送るための具体策をいくつか挙げてみます。

新しい趣味や学びを始める

若い頃に興味はあったけれど、時間やお金の都合で諦めていたこと。そんな“やりたかったこと”を、今から始めてみるのも素敵な選択です。

英会話やパソコン、ヨガやダンス、料理教室に楽器の練習など、挑戦できることはたくさんあります。最近では、オンラインで学べる講座も充実していて、自宅にいながら新しい知識や技術を身につけることも可能です。

時代は、若い頃とは大きく変わりました。気づけば、知らないことやわからないことが増えていると感じる方も多いのではないでしょうか。

でも、だからこそ「時代に取り残されないために、もう一度“学び”の扉を開いてみる」ことが、今の自分をもっと楽しむきっかけになります。

AIやWebデザイン、プログラミング、カウンセリング資格など、パソコンやスマートフォンを活用して、気軽にスキルアップできる時代になりました。

私の知り合いの女性は、お孫さんにゲームを教えてもらって一緒に始めたそうです。「孫に負けたくない!」と、楽しみながら練習している様子に、とても元気をもらいました。

“今さら”ではなく、“今から”。そんな気持ちで、新しい世界に一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

心身の健康を維持する為の習慣づくり

健康への不安を減らし、元気に長く活動していくためには、定期的な運動習慣と栄養バランスのとれた食事が欠かせません。ウォーキングやスロージョギング、ヨガ、ストレッチなど、自分が無理なく続けられる運動を、日常生活に取り入れてみましょう。

例えば以下のようなことが挙げられます。

・スポーツクラブやジムに入会して定期的に体を動かす

・オンラインのヨガやフィットネスのサブスクに参加する

・インスタント食品やレトルトを控え、自分のために丁寧に食事を作る

こうしたちょっとした生活の見直し」が、筋力や代謝の維持につながり、体型の崩れを防ぐだけでなく、生活習慣病や骨粗しょう症の予防にも効果的です。

何よりも、体の調子が整えば、自然と気力も湧いてくるもの。これから先の人生を軽やかに楽しむためにも、
“自分の健康を守る時間”を、日々の暮らしの中に大切に持ちましょう。

新しい人とのつながりを作る

特に50代の女性は、子育て世代とは違い、自分で事業をしている人でない限り、新しい人間関係を築く機会が少なくなる傾向があります。そのため子どもや職場の仲間以外にも、新たなコミュニティに目を向けてみるのは、とてもおすすめです。

例えば以下のようなことです。

・地域のボランティア活動に参加してみる

・興味のある分野の勉強会やサークルに顔を出してみる

・公民館やカルチャーセンターで開催される講座を覗いてみる

こうした地域のつながりは、日々の暮らしに新しい刺激をもたらしてくれるだけでなく、災害など“もしも”のときに助け合える安心のネットワークづくりにもつながります。

50代は、人生経験が豊富で、まだまだ体も動かせる貴重な年代。地域で活動することで、社会とのつながりを実感しやすくなり、新しい仲間との出会いが、不安や孤独感を和らげ、前向きな気持ちや自信へとつながるはずです。

相談するスキルを身につける

50代は、身体的にも精神的にも大きな変化が起こりやすい時期。特に更年期の影響で、心のバランスを崩しやすく、うつ状態に近い症状が出ることもあります。そこに、仕事や家庭の悩みが重なると、「もうどうしたらいいのか分からない…」と感じてしまうこともあるでしょう。

そんなときに大切なのが、「相談する力」を身につけておくことです。不安や悩みをひとりで抱え込まず、早めに声に出してみるだけで、気持ちがグッと軽くなることもあります。

気軽に話せる友人や家族がいれば心強いですが、カウンセラーやメンタルヘルスの専門家に相談することも、有効な選択肢のひとつです。

最近ではオンラインカウンセリングサービスも増えており、自宅にいながら、対面が苦手な人でもプロのアドバイスを気軽に受けることができます。

例えば…

・更年期の症状がつらくて、気持ちが落ち込みがちなとき

・小さな悩みが積み重なって、気づけば心が疲れているとき

・何となく毎日がしんどく、ストレスをうまく発散できていないとき

このようなタイミングで、“誰かに相談できる体制”をあらかじめ整えておくことは、あなた自身を守る大切な備えになります。

当サイト「悩ミカタ」ではミドル世代(40代50代)の悩みや不安・ストレスについて各分野の専門家/カウンセラーに相談できるオンラインカウンセリングサービス「悩ミカタ相談室」を展開しています。不安な気持ち、1人で抱え込まずにまずはお気軽に相談してみませんか?

40代50代のお悩み” は専門家に相談しよう「悩ミカタ相談室」

時間やお金の整理術を身につける

50代は、「これからの人生設計」を見直す大切なタイミングでもあります。「あと10〜15年で定年を迎えるかもしれない」「老後のために今から備えておきたい」――そんな思いをきっかけに、具体的な目標を立てて、まずは日々の収入と支出をきちんと把握することから始めましょう。

お金の管理を「新しく学ぶ」のも、50代からの楽しい挑戦

家計簿アプリやスマートフォンの家計管理ツールを使って、今の時代に合ったお金の見える化を試してみるのもおすすめです。また、不用品をフリマアプリに出品するなど、ちょっとした実践を通じて「お金の流れ」や「人とのやりとり」にアンテナが立ち、世の中への関心も自然と広がっていきます。

「貯める」だけでなく「学んで守る」時代へ

もちろん貯蓄は大切ですが、最近は“投資”を学び始める50代女性も増えています。「投資」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、自分のお金を守ること=社会や経済への理解を深めることにもつながります。

世界経済の動きや地政学リスクに目を向けることで、単なる「お金儲け」ではなく、リスクから自分を守る知識としての投資リテラシーが身についていきます。

「楽して儲ける」はありえません。だからこそ、自ら学び、考えて行動することが、投資詐欺などから自分を守る最良の手段でもあるのです。

50代から備えておきたいライフプランのポイント

ライフスタイルや家庭の状況によっては、パートナーの定年や、子どもの就職・結婚といった家族の転機も大きく関わってきます。自分ひとりで将来を考えるのではなく、家族全体の健康やライフプランについて、みんなで話し合いながら方向性を共有することが大切です。

将来どう暮らしたいか、どこに住みたいか、誰とどのように時間を過ごしたいか――
そうしたビジョンを家族とすり合わせておくことで、より現実的で安心感のある“これから”を描くことができます。

60代以降の働き方を考える

定年後の働き方をどうするか――。それは、50代のうちに考えておきたい大切なテーマのひとつです。

再雇用制度を利用して同じ会社で働き続けるのか、あるいは、定年前に転職や起業を目指すのか。また、趣味やボランティアを軸にセカンドキャリアを築くという選択肢もあります。

いずれにしても、急に決断するのではなく、早めにいくつかの選択肢を持ち、情報を集めながら考えておくことが安心につながります。

老後資金と収支のバランス

50歳前後は、お金との向き合い方を見直すタイミング。この時期に一度、「これまでの収支」「今後の収入と支出」「年金や退職金の見込み額」などを、ざっくりでも把握しておくことが大切です。

老後に必要な生活費は人それぞれですが、家計のシミュレーションをしてみることで、自分にとって必要なお金の目安が見えてきます。

「お金の不安」は誰にでもあるものですが、それにしっかり向き合うことで、老後の生き方をより前向きに描けるようになります。そのためにもまずは、現状を知ることが大事です。未来の自分のために、今できる準備を少しずつ始めてみましょう。

健康への意識を高め、病気に備える

健康への備えも、50代からしっかり考えておきたい大切なテーマです。体調を崩してしまうと、お金や時間がかかるだけでなく、仕事や趣味など「やりたいこと」さえ制限されてしまうことがあります。

運動やバランスの良い食事を心がけるのはもちろんのこと、定期的に健康診断や人間ドックを受けて、自分の体の状態を把握しておくことも大切です。

50代になると、代謝の低下や栄養の吸収力の変化も感じやすくなります。そんなときは、自分の身体に必要な栄養素をサプリメントで補うなど、無理のない範囲で工夫してみるのも一つの方法です。

健康を害すると、生活の質そのものに影響が出るだけでなく、多くの時間とお金を失うリスクにもつながります。 「何かあってから」ではなく、「何もない今こそ」が備えどき。

“未来の自分のために、今の自分を大切にする”――そんな意識を、日々の習慣の中に取り入れていきましょう。

まとめ

50歳という節目を迎える女性たちは、さまざまな変化や不安に直面しやすい時期です。子どもの独立、親の介護、仕事の転機、そして体調の変化――。ひとつひとつの出来事が重なり、「この先どうなるんだろう」と不安を感じることもあるでしょう。けれど同時に、これまでの人生経験を活かすチャンスでもあるのです。

「もっと自分らしく生きたい」「今こそ、ずっとやってみたかったことを始めたい」そんな前向きな気持ちが芽生える一方で、「体が思うように動かない」「新しいことを始めてもうまくいくかな…」と、戸惑いも生まれるかもしれません。

でも、どうか思い出してください。40代までに積み重ねてきた経験、人間関係、家庭での役割は、すべて“あなたのキャリア”です。若さだけでは得られない視野の広さや、数々のトラブルを乗り越えてきた力は、きっとこれからのあなたを後押ししてくれるはずです。

もし更年期による不調や心の悩みが重くのしかかるようなら、無理をせず、専門家の力を借りることも大切な選択肢です。カウンセリングやオンライン相談など、頼れる場所はたくさんあります。

50代は、まだまだ“これから”が長い世代。人に頼ることも、プロの手を借りることも、自分の人生をもっと楽しむために必要な手段です。「本当にやりたいこと」に少しずつチャレンジしながら、あなたらしい“50歳からの生き方”を、ゆっくり探してみませんか?

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