職場で苦手な人との付き合い方のコツは?人間関係がラクになる考え方や対処法

職場では、多くの人々と協力しながら業務を進めることが求められます。しかし、全員と良好な関係を築くのは簡単ではなく、特に苦手な人がいるとストレスが溜まりやすくなります。ただ1日の大半を費やす場所ですから、できるだけ快適に過ごしていきたいですよね。
そこで今回は、職場での人間関係をスムーズにし、苦手な人との付き合い方を改善するためのコツや対処法について詳しくポイントをお伝えします。

監修者

認定心理士

白髪利恵さん

認定心理士、プロフェッショナル心理カウンセラー、SNSカウンセラー。心療内科・精神科での勤務を経て、これまでに相談を受けてきた件数は3000件以上。現在はSNSカウンセリングや電話相談も含め、幅広い年齢層を対象にカウンセリングに携わる。

目次

職場などで相手のことを「苦手」「嫌い」と感じてしまう理由

まずは、「なぜその相手を苦手に感じてしまうのか?」という根本的な原因を知ることが大切です。自分が抱えている感情の正体をしっかり把握し、相手の背景を理解しようとすることで、のちほど紹介する対処法や考え方がより効果的になる可能性があります。

① 性格や価値観の違い

職場には幅広い年齢層や経歴を持つ人々が集まるため、価値観や物事の優先順位、仕事の進め方などに違いが生じやすいのは当然のことです。こうした違いが小さな誤解や摩擦を生み、それが「苦手意識」や「嫌悪感」につながることがあります。

具体例1

積極的で自己主張が強い人と、控えめで協調性を重んじる人の組み合わせでは、意見の衝突が起こりやすいものです。前者は「もっと自分の意見をはっきり言ってほしい」と思う一方で、後者は「押しが強すぎて合わせるのがしんどい」と感じるかもしれません。

具体例2

成果主義を重視する人と、プロセスを丁寧に踏むことを重んじる人では、取り組み方そのものにズレが生まれ、互いに「どうしてそこにこだわるんだろう?」と疑問や違和感を抱きやすくなります。

具体例3

文化的な背景や育ってきた環境、教育、年代などの違いからくる価値観の相違も大きな要素となり得ます。何気ない言動が「当たり前」だと思っていても、相手にとっては馴染みのない行動で誤解を生む場合もあるでしょう。

② 過去の経験やトラウマ

過去に似たような人物とトラブルを経験していると、その記憶が影響し、新しい人に対しても同じ感情を抱いてしまうことがあります。例えば、以前の職場で上司との関係がうまくいかなかった場合、現在の上司にも無意識に不安や嫌悪感を感じることがあります。また、過去に失敗した仕事と似たような状況に直面したとき、「また同じ失敗を繰り返すのではないか」と不安になり、取り組むことをためらうこともあります。これは、過去の経験が知らず知らずのうちに心に影を落としているためです。

特に深刻な過去のトラウマは、職場でのパフォーマンスやメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことがあります。そのため、過去の経験を適切に整理し、現在の状況を冷静に見つめ直すことが大切です。

③ コミュニケーションの不足

相手とのコミュニケーションが不足していると、誤解や偏見が生じやすくなりますし、これが原因で苦手意識が生まれることもあります。特に、職場での業務が忙しくコミュニケーションを取る時間が少ない場合、相手の意図や気持ちを理解する機会が減ったり、それぞれの独断で判断しがちな状況が生まれやすくなったりします。

コミュニケーションの不足は、チーム全体のパフォーマンスにも影響を及ぼすことがあるため、積極的にコミュニケーションを図ることが重要です。

苦手な人との付き合い方のポイントや対処法

ここからは、具体的に「苦手な人」とどう向き合っていけばいいのか、対処法やポイントを見ていきましょう。自分の感情を整理し、客観的な視点を持つことが第一歩になります。

①自分の感情を認識する

「なぜ自分は、これほどまでに相手を苦手だと感じるのか?」をはっきりと自覚できるようにしましょう。怒りや不満、あるいはモヤモヤした不安など、具体的にどんな感情があるのかを言語化すると対処しやすくなります。

・日記をつける…その日の出来事と自分の感情を記録しておくことで、パターンが見えてくることがあります。

・信頼できる友人やカウンセラーに相談する…第三者に話すと、自分では気づかなかった問題点や感情の根底にある考え方が浮き彫りになる場合があります。

こうした方法を活用して感情を整理していくと、苦手意識がどこからきているかを少しずつ把握できるようになるでしょう。

② 客観的に状況を判断する

次に大切なのは、感情に流されるのではなく、冷静に状況を俯瞰することです。「相手の言動にはどんな背景があるのだろうか」「何が目的でそう言っているのか」と、客観的に分析してみてください。具体的には、以下のようなことが挙げられます。

・感情的な反応を避ける…瞬発的に怒りや不満をぶつけると、事態が悪化する恐れがあります。

・一歩引いて考える➡まずは深呼吸する、あるいはその場で答えを出さず少し時間を置いてから返答するなど、ワンクッション挟むだけでも冷静さを取り戻す手助けになります。

・他の人の意見や視点を取り入れる➡信頼できる同僚や友人に「こういう状況なんだけど、どう思う?」と客観的な意見を求めると、自分だけでは気づけないヒントを得られることもあります。

③コミュニケーションを改善する

相手と積極的にコミュニケーションを取ることで、お互いの理解が深まり、苦手意識が和らぐことがあります。定期的にミーティングや情報共有の場を設けたり、ランチタイムや休憩時間に雑談をしたりするのも効果的です。

質問を積極的にする
相手の話をしっかり聞く
非言語コミュニケーション(表情や態度など)にも注意する

上記のような点を意識するだけでも、コミュニケーションがスムーズになりやすいでしょう。

苦手な人と接するのが楽になる考え方のポイント

「苦手な人がいる職場」で感じるストレスを少しでも減らすには、視点を変えて考えてみることが有効です。ここでは、苦手意識を和らげるための考え方を3つ紹介します。

① 相手の立場に立つ

「自分だけがしんどい思いをしている」と思い込まず、相手も同じように不安やストレスを抱えているかもしれないと考えてみましょう。

相手に共感したり、気遣いの言葉をかけたりすると、一方的に「苦手」と感じていた気持ちが少し和らぐことがあります。相手の立場を想像することで、心のバリアが低くなり、コミュニケーションの糸口が見つけやすくなるでしょう。

②自分の成長の機会と捉える

苦手な人との接触は、自分自身の成長の機会と捉えることができます。これを乗り越えることで、より広い視野や対人スキルが身に付くでしょう。例えば、相手とのコミュニケーションを工夫し、対話のスキルを向上させることで、急なアクシデントやトラブルに対処できたり、他場面でも役立つスキルが身についたりします。

また自己成長の機会と捉えることで、苦手な人との接触が前向きな経験となり、ストレスが軽減されることがあります。そして自己成長を意識することで、自己肯定感が高まり、自信を持って対人関係に取り組むことができるようになります。

③無理に仲良くなる必要はない

とはいえ苦手な人だからといって、無理に親しくなる必要はありません。業務上の必要最低限の連絡だけで済ませるなど、適切な距離感を保つことも一つの方法です。

・プライベートな話題には踏み込みすぎない
・必要なコミュニケーションだけ、しっかり取る

ということを意識し、距離感を意識することで、ストレスを最小限に抑えながら仕事を進めることができます。

苦手な人に対して気をつけておきたいこととは?

ここでは、苦手な人に対して気をつけておきたいこと、やりがちなNG行動を紹介します。

① 無視や冷たい態度を取らない

苦手だからといって無視や冷たい態度を取ると、かえってトラブルを生むリスクがあります。業務上必要な連絡を怠ると、相手の反感を買うだけでなく、仕事に支障をきたす可能性もあります。
また無視や冷たい態度は、職場の雰囲気の悪化にもつながるため、最低限の挨拶や礼儀は忘れないようにしましょう。

②感情的に反応しない

相手の言動に対してすぐに感情的になるのは、状況を悪化させる可能性があります。一度深呼吸をして冷静さを取り戻し、余裕がないと感じるときにはその場で決断をせず少し時間を置くなど、クールダウンを心掛けることが大切です
理性的に対応することで、対立を最小限に抑えられます。

③他の人に悪口を言わない

苦手な人の悪口を職場の他の人に言うのは避けましょう。職場全体の雰囲気が悪化するだけでなく、自分の評価にも悪影響を及ぼす恐れがあります。
悪口は時としてハラスメントとみなされる場合もあり、思わぬトラブルを引き起こすことになりかねません。

苦手な原因は自分にもあるかも?ふるまいなど確認しておきたいポイント

相手だけが原因だと思い込みがちですが、実は自分自身の言動や態度、コミュニケーションスタイルが問題を引き起こしていることもあります。客観的に自分を見つめ直すことは、時として難しいかもしれませんが、関係改善に大きく役立ちます。

① 自分のコミュニケーションスタイルを見直す

自分では「普通に話しているつもり」でも、相手から見ると「一方的」「配慮が足りない」「強引すぎる」と捉えられている場合があります。そのため一度、自分のふるまいを見直してみましょう。周囲からのフィードバックや客観的な視点を取り入れ、自分がどんな話し方や態度をしているかを振り返ってみるといいでしょう。

② 自己肯定感を高める

自己肯定感が低いと、他人の言動を過剰に気にしてしまうことがあります。しかし自己肯定感を高めることで、他人の批判や評価に対する耐性がつき、気持ちが揺さぶられにくくなります。自分の長所や成果に目を向け自信を持つことで、他人の意見に左右されず、本来やるべきことに集中しやすくなったりするものです。

自己肯定感を高めるためには、ポジティブな自己評価を行うことが大切です。自分の成功や成長をしっかり認識し、それを自分自身で称賛することで、自然と自己肯定感が向上していきます。

③ フィードバックを受け入れる

周囲の上司や同僚、友人からの率直な指摘には、どうしても抵抗や恥ずかしさを感じることがあるかもしれません。しかし、建設的なフィードバックは自分の苦手な部分や改善点に気づく大きなチャンスでもあります。

そのため、まずはフィードバックを否定せず「なるほど、そういう見え方をしているのか」と受け止めてみてはいかがでしょうか。また指摘された点に対して、自分がどのように変えていけばいいのか行動プランを立てると、実践しやすくなります。


まとめ

苦手な人との付き合い方を学ぶことは、職場でのストレスを軽減し、円滑な人間関係を築くうえで非常に重要です。

まずは自分の感情をしっかりと認識し、冷静に状況を判断することが大切です。そのうえで、適切なコミュニケーションを心がけることで、苦手意識を和らげることができます。

また、相手の立場や視点に立って考えることで、自分自身の成長にもつながります。無理に親しくなる必要はありませんが、適切な距離感を保ちながら関係を築くことが重要です。さらに、自分のふるまいやコミュニケーションのスタイルを見直し、必要に応じて改善することで、より良い職場環境を作り出すことができるでしょう。

ただし、苦手な人との関係を改善するのは一朝一夕でできることではありません。時間をかけて少しずつ自分を成長させながら、関係を改善していく必要があります。日々の小さな努力が積み重なり、やがて良好な人間関係を築けるようになるでしょう。

この記事で紹介したポイントや対処法を参考に、職場での人間関係をより良くするための第一歩を踏み出してみてください。

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