40代50代の「やる気が出ない」は更年期が原因?気力低下への対処法を解説

40代・50代の女性の中には「最近、どうもやる気が出ない」「何もしたくない日が続いている」という方が少なくありません。休養を取れば回復すると言うのであればそれほど心配することもありませんが、疲労感が続き気力低下や体が思うように動かないなどの症状が続くようであれば更年期が影響しているかもしれません。

特に40代後半から50代以上の女性は「女性ホルモン」のバランスが変化することで、心身にさまざまな影響が出やすい時期なのです。精神的な面では、「やる気が出ない」「何もしたくない」といった状態に陥ることがあります。そこで本記事では、更年期にやる気が出ない時の対処法を中心に、気力低下を感じる40代・50代の女性に向けて、更年期のメンタル面の影響やその背景、さらに日常で実践できるセルフケアやカウンセリングの利用について対処法を解説します。

執筆者

藤原美保さん

公認心理師、介護福祉士、保育士、健康運動指導士の資格保有、療育支援に携わること20年以上。

放課後等デイサービスを運営する中で発達障害児童、そのご家族の悩みも含め相談やカウンセリング対応を10年以上行う。自己肯定感が低い、親から虐待を受けた過去に悩む方からの相談なども多数対応。

これまでに、『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』(エッセンシャル出版社)、『発達障害の女の子の「自立」のために親としてできること 』(PHP研究所)と2冊の本を執筆。現在も出版に向け本の執筆をつづけている中、子育てのポータルサイトにて発達障害の子の子育てコラムを連載中。

目次

更年期がメンタルに及ぼす影響とは?

更年期の時期は、一般的に閉経を挟んだ前後10年ほどの時期(45~55歳頃)を指します。日本人女性の閉経年齢の平均は約50歳前後といわれており、体質や生活環境などによって個人差があります。この年齢の時期になると卵巣機能が低下し、エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンの分泌量が減少し体調に影響をあたえます。脳内の神経伝達物質や自律神経の乱れなどにも影響し、以下のようなメンタル面の症状が起こりやすくなります。

メンタル面の主な症状

気分の落ち込み・抑うつ感

理由もなく憂うつになったり、悲しくなったりすることが増えます。

イライラしやすくなる

ちょっとしたことで怒りやすくなったり、感情の起伏が激しくなることがあります。

不安感の増大

漠然とした不安に襲われたり、心配事が頭から離れなかったりすることが増えます。

やる気が出ない・何もしたくない

人と会うのが億劫になったり、家事や仕事が手につかなくなったりすることがあります。

なおこうしたメンタル面の症状は、更年期が落ち着くとともに改善していく場合もありますが、精神的に追い込まれたり状態が続いたり、周囲の理解を得られなかったりすると症状ひどくなり、抑うつ症状が悪化するなど、二次的にストレスを抱え込む場合があります。早めに対処することで、少しでも日常を楽にできる可能性があります。

更年期の気力低下の原因とは

早くから症状が出る場合だと、40代後半頃から「なんとなくやる気が出ない」「気力がわかない」といった状態になり、50代にさしかかると「体の不調」や「気力低下」がさらに深刻化することも多いといわれています。この背景には大きく分けて以下のような原因が考えられます。

ホルモンバランスにおける体調の変化

更年期における最大の変化は、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少です。エストロゲンは、自律神経や脳内ホルモン(セロトニン、ドーパミンなど)とも深く関係しています。エストロゲンが減少することで、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ、モチベーションや気分をコントロールしづらくなるのです。その結果、「やる気が出ない」「何もしたくない」という状態に陥りやすくなります。

ライフステージの変化によるストレス

40代・50代の女性は、子育てや家族の介護、職場の責任増加などライフステージの変化によって社会的役割が重くなることが多い時期でもあります。たとえば以下のようなことです。

子どもの独立や進学に伴う環境の変化
親の介護や看病への負担
仕事での昇進や役職の変化
パートナーとの関係性の変化 など

これらのストレスが重なることで、精神的な負荷が高まりやすくなります。加えて、更年期特有の身体的な不調(ホットフラッシュ、めまい、肩こり、頭痛など)も加わるため、心身ともに疲弊し、「気力低下」を感じる要因が増えてしまうのです。

睡眠不足や運動不足

更年期には、自律神経の乱れから睡眠トラブルに悩む女性も少なくありません。寝つきが悪くなったり、夜中に何度も目が覚めたりすることで寝不足が続くと、食欲不振や体調に影響します。また、ストレスなどが重なると運動習慣も失われがちです。

栄養バランスの乱れ

更年期の女性は、忙しさから自分の食事を簡単に済ませようとする傾向があり、栄養バランスが乱れがちになります。簡単に摂れる炭水化物や甘いものに偏った食生活は血糖値の急上昇・急降下することになり疲労感が増します。更には心のバランスも不安定に傾きやすくなります。たんぱく質やビタミン、ミネラルなどをバランスよく摂取し、脳機能をサポートする栄養素を安定させることは体調の安定に繋がります。

やる気が出ない・何もしたくない…そんなときに心がけたい生活習慣やセルフケア

更年期の「やる気が出ない」「何もしたくない」といった気力低下の症状は、日々のちょっとした工夫や生活習慣の見直しで少しずつ改善が見込めることがあります。以下は、自分でできるセルフケアの一例です。

睡眠の質を高めるための入眠儀式をとりいれる

①就寝前のスマホ・PC使用を控える

ブルーライトが睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を妨げ、寝つきを悪くします。少なくとも就寝30分前からはスマホを見ないように心がけましょう。

②お風呂にゆっくりつかる

副交感神経を優位にするためにお風呂にゆっくりとつかり身体を温め、ゆっくりとした呼吸で自律神経を落ち着かせます。

③寝具や寝室の環境を整える

年齢と共に筋肉や筋膜が硬くなるなどの身体的な老化に伴い、若い頃の枕やマットレスの硬さが合わなく感じるようになることもあります。快適に眠れる環境づくりをしましょう。

運動を取り入れる

①ウォーキングや軽いジョギング

新鮮な空気を吸いながらの散歩や軽いジョギングは、心肺機能を高め、ストレスを緩和する効果が期待できます。

②ヨガやストレッチ

深い呼吸とゆったりとした動きで、身体だけでなく心もほぐしてくれます。更年期世代の女性に適した運動として人気が高まっています。

③筋トレの導入

無理のない範囲で筋力を維持・向上させることで、身体の代謝が上がり、体温も上昇しやすくなります。体が温まると血行も良くなり、気分も上向きになることが多いです。

バランスの良い食事を心がける

特に50代になると筋力の低下が始まります。肉・魚・大豆製品・卵などをバランスよく取り入れ、筋肉やホルモン生成をサポートするタンパク質の摂取を考慮しましょう。

野菜や果物、海藻、きのこ類など、身体の調子を整える食材を日常的に食卓に取り入れ、鉄分不足による貧血は倦怠感を招きやすいので、レバーやほうれん草、貝類などもしっかりと摂ることがおすすめです。

またコーヒーや紅茶などのカフェインの過剰摂取、お菓子の食べ過ぎは一時的に気分を上げるかもしれませんが、その後の血糖値の乱高下や睡眠の質の低下を招きます。適度な量を守ることが大切です。

ストレス発散法を確立する

心から楽しめる趣味を持つと気分転換になり、やる気の低下を緩和する一助となります。気の合う友人とお茶をする、家族と会話をするといった気軽なコミュニケーションが気分転換になる場合があります。

セルフケア以外の対処法とは?

セルフケアを実践してもなかなか症状が改善しない場合や、日常生活に支障をきたすほどの無気力・不安感がある場合は、専門の医療機関を受診しましょう。ホルモン治療や薬物療法でかなり楽になるケースもあります。またカウンセラーへの相談などが役立つ場合があります。

婦人科やメンタルクリニックを受診する

更年期症状は、ホルモンバランスの変化が大きく関わっているため、まずは婦人科医に相談することで必要な検査やホルモン治療の適応を判断してもらえます。また、強い抑うつ状態や不安感があるときは、メンタルクリニックや心療内科を受診し、薬物療法や認知行動療法などの治療を受けることも検討しましょう。

カウンセリングやオンラインカウンセリングを活用する

対面カウンセリング

精神科医や臨床心理士、公認心理師のカウンセリングを受けることで、自分では気づかなかったストレスの要因や考え方の癖を客観的に見つめ直し、思考の整理ができます。自分の気持ちを言語化することで安心感が得られるのも大きなメリットです。

オンラインカウンセリング

通院や移動の負担がなく、自宅からカメラや音声でカウンセリングを受けることができるため、外出が難しい方や忙しい方にも利用しやすい方法です。最近では、メンタルケアに特化したオンラインプラットフォームも増えており、スマホやパソコンから気軽にカウンセラーとつながれます。

当サイト「悩ミカタ」では、ミドル世代(40代50代)の悩みや不安・ストレスについて各分野の専門家/カウンセラーに相談できるオンラインカウンセリングサービス「悩ミカタ相談室」を展開しています。つらくて不安な気持ち、1人で抱え込まずにまずはお気軽に相談してみませんか?

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市や自治体の相談窓口を利用する

自治体によっては、更年期障害や女性の健康に関する相談窓口を設置しているところがあります。無料または低料金で電話や対面相談を受けられる場合もあるので、「まずは話を聞いてみたい」という方は、一度お住まいの自治体の情報をチェックしてみると良いでしょう。

まとめ

更年期は、心身ともに大きな変化を経験する時期です。「やる気が出ない」「何もしたくない」という気力低下の症状は、実はホルモンバランスの乱れやライフステージのストレス、睡眠不足などが複雑に絡み合った結果であることが少なくありません。

セルフケアとしては、睡眠・運動・食事など基本的な生活習慣を整えたり、自分なりのストレス発散の方法を確立したりすることが有効ですが、薬物治療が必要な場合もあります。そのときは、婦人科や心療内科、カウンセリングなど専門家のサポートを活用しましょう。最近では、通院時間が取りにくい方向けにオンラインカウンセリングも普及しつつあり、自分のペースで相談できる環境が整いつつあります。

更年期の気力低下は放置せずに適切な対処をとることで、日常生活の質を少しでも早く取り戻せる可能性があります。この機会に今のつらさを軽視せず、まずは手軽にできるセルフケアから始め、辛さが継続する場合には専門家への相談をぜひ検討してみてください。

40代50代のお悩み” は専門家に相談しよう「悩ミカタ相談室」

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