40代の激しい物忘れの原因とは?更年期や認知症の特徴、対策方法を解説

40代なのに激しい物忘れ、それは原因が気になりますよね。 物忘れの原因は、加齢によるものなのか、それとも認知症などの病気のサインなのか、くわしい原因を考えるとより不安になるかもしれません。そこでこの記事では、気になる40代での激しい物忘れの原因をわかりやすく解説しています。

更年期、ストレス、睡眠不足といった様々な原因はもちろん、気になる認知症との違いや、物忘れを改善するための具体的な対策方法もご紹介します。この記事がきっかけとなって、物忘れの原因や、適切な対処法につながりますように。

執筆者

佐々木ゆりさん

公認心理師、臨床発達心理士。保育士歴は20年。現在は療育スタッフとして発達障害を持つお子さんやその家族と関わっています。発達と保育を軸に、直接支援はもちろん、webライター、保育士になりたい人の支援、保育士さん支援など幅広いキャリアを展開中です。

目次

40代の物忘れの主な原因とは?

40代は物忘れにはちょっと早い気がする、という人は多いのではないでしょうか。その一方で、若年性認知症と呼ばれる65歳未満で発症する認知症になる人もいます。物忘れを自覚している場合は、病的な原因よりも以下の3つが原因としてあげられることが多いです。みなさんはどれにあてはまるでしょうか?1つずつ解説していきます。

ストレスや睡眠不足による一時的な物忘れ

ストレスは脳へのインプットや物事に集中する機能に、睡眠は記憶を取り出して使うといった機能に影響を与えると考えられています。よってストレスがたまっていると、今までスムーズに覚えられていたことが難しかったり、作業が中断しやすかったりしますし、睡眠が十分にたりていないと物事を思い出しにくい様子がみられるかもしれません。

自律神経の乱れによる集中力低下

自律神経は全身の様々な部分をコントロールしている神経になります。よってバランスが崩れると体に様々な症状が現れることで有名です。一般的に自立神経失調症とよばれる自立神経バランスの乱れは、頭痛やめまいといった症状が有名ですが、他にも記憶力や集中力の低下といった症状がみられることがあるとされています。自律神経はストレスの影響を受けやすく、またホルモンにも影響されやすいです。物忘れにはいくつかの原因が絡んでいる可能性があるのですね。

更年期に伴うホルモンバランスの変化

更年期と呼ばれる主に40代から50代にかけておとずれる体の変化は、脳にも影響があると考えられています。エストロゲンとよばれる女性ホルモンは主に女性らしさをつくるホルモンで、子宮や卵巣の働きを維持させることで有名ですが、様々な神経物質のバランスを調節してくれる機能もあるのです。ホルモンバランスが変化する更年期は、脳内の神経物質のバランスにも影響があるのですね。

年齢による物忘れと若年性認知症による物忘れの違いとは?

物忘れといっても年齢によるものなのか、病気によるものなのか、気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは年齢による物忘れと若年性認知症による物忘れの違いについて考えてみました。

年齢による物忘れの特徴と症状

年齢を重ねること(加齢)によって起こる物忘れの主な特徴には

  • 物忘れの進行はあまりしないかゆっくりである
  • 脳の老化が原因
  • 自分が体験したことの一部を忘れてしまう
  • 物の起き忘れがある
  • 人の名前がなかなか思い出せない

などがあります。これらは自分が行動をしたことは思い出せるので、メモをとる、決められた場所に物を片付ける工夫が有効といえるかもしれません。

若年性認知症の初期サインと特徴

若年性認知症は65歳未満で発症する認知症のことです。その特徴には以下のようなものがあります。

  • 物忘れの進行が早い
  • 脳の病気が原因
  • 新しい記憶から薄れていく
  • 時間や場所がわからなくなる
  • それまでできていたことができなくなる
    (計画や順序通りに物事を行うことが難しい)

年齢による物忘れとは違って「どうしたらいいかわからなくなった」「さっきあったことすら思い出せない」人は、一度医療機関をたずねてみるとよいでしょう。

※参考資料:厚生労働省 若年性認知症ハンドブック

物忘れか認知症か気になる場合の対処法

自分の物忘れが年齢によるものなのか、それとも病気が原因なのか気になりますよね。どちらの場合でも医療機関を受診することで、早期発見や早期治療につながります。若年性認知症の場合、認知症の種類によっては進行を遅らせる薬も開発されており、また公的なサービスを受けることができます。また自分の物忘れについて原因や対処法を知っておくだけでも、ストレスが減るかもしれません。気になる方は一度、精神科や脳神経内科、脳神経外科などを受診されるといいでしょう。

更年期は物忘れが激しくなる?

「更年期になったら物忘れが激しくなる」「あまりにも忘れっぽいので病院にいったら、更年期障害だった」なんて話を聞いたことはないでしょうか? 更年期と物忘れは何か関係があるのでしょうか。

エストロゲン減少が与える記憶力への影響

女性ホルモンのエストロゲンは、更年期にバランスを崩しやすいホルモンの1つで、記憶に関わっているとされています。そのエストロゲンが減ってしまうと神経伝達物資が不足し、記憶の処理速度に影響がでると考えられています。急激に体に変化がある人もいれば、じわじわと変化する人など更年期の症状は人それぞれです。またエストロゲンは感情コントロールにも影響があるホルモンです。物忘れだけでなく、イライラする、すぐ怒ってしまうといった感情コントロール部分でも変化を感じている人はエストロゲンが原因かもしれません。

更年期特有の物忘れの症状と特徴

忘れ物や普段の生活の中でうっかり忘れてしまうといった行動が、代表的な更年期での物忘れとされています。また、普段使っている言葉や単語が出てこない、親しい人の名前が思い出せないことも更年期ではみられます。ただし、若年性認知症の初期症状にも物忘れはありますので、親しい人の名前がすぐ出てこないイコール、更年期による物忘れと決めつけないようにしてくださいね。

更年期の物忘れは一時的なものなのか

女性ホルモンのエストロゲン値が安定すれば、物忘れの症状もよくなるとされています。また、ストレスや生活習慣を改善することで物忘れといった更年期の症状が変わる人もいます。40代50代という時期が認知症の症状が始まる時期と重なる人もいるため、始めは更年期だと思っていたが、実は認知症などの病気があったという可能性も否定できません。認知症かどうかは、病院で検査を受けることが可能です。更年期は治療をすることで、体や心の負担が軽くなることもあります。ぜひ、認知症の相談を含めて医療機関への受診を検討してみてください。

40代の物忘れへの対策やセルフケア

40代の今、物忘れに困っている人も、これから40代を迎えるにあたって物忘れの対策をしたい人、どちらにも当てはまるセルフケアを取り上げてみました。生活の中でしやすいセルフケアばかりですので、今日から1つチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

質の良い睡眠

睡眠は記憶を整理する大切な時間とされており、質の良い睡眠は物忘れへの効果があると考えられています。ただ長い時間眠るのではなく、朝起きた時に「ああよく眠れた」と思えるのが質の良い睡眠です。質の良い睡眠には

  • 寝る前のブルーライトを控える
  • カフェインを取る時間を睡眠時間から逆算して考える
  • 暑すぎず、寒すぎない室温設定にする
  • 好みの寝具でリラックス空間を作る
  • 「しっかり眠らなくてはいけない」「ちゃんと眠りたい」と思いすぎない

などの工夫の中から自分にあったものを選んでやってみましょう。

※参考資料:厚生労働省 良い睡眠の概要(案)

ストレスを減らす

ストレスを減らすといっても、大きな変化をいきなり行う必要はありません。例えば、自分がする家事が多くてストレスに感じているのであれば、誰かに手伝ってもらったり、その役割を交代してもらえるようにするといったアクションはもちろん、家事そのものを減らせないか自分の考え方を少し変えてみる(例:きれいな部屋でないといけないと思い込むのではなく、食卓には食事以外で物を置かないようにするという部分的な考えにする)のも必要かもしれません。

また自分の育ち方・教えられ方で物事を決めているところもあるかもしれません(部屋が汚い人間はダメな人間と言い聞かされてきた、など)誰かに話を聞いてもらいながら、自分の考え方のクセを探ってみてはいかがでしょうか。

運動とコミュニケーションで脳を活性化

運動は体の健康維持に効果があることはみなさんもご存知のことと思います。体が健康であれば、それだけでストレスが減ります。ストレスが減ることで脳へのダメージも少なくなるのではないでしょうか。また人と話すことで、アイディアが浮かんだり、考え事が整理されることも、ストレス解消につながります。

どちらもやりたくないのに無理やりやろうとすると、ストレスになる可能性があります。自分が楽にできる方法で、運動もコミュニケーションも取り入れられるといいですね。

かかりつけ医や医療機関に相談する

認知症などの病気は医療機関で判断してもらうのが大切です。自己判断は物忘れの悪化はもちろん、すでにもっている病気にも影響があるかもしれません。かかりつけ医はもちろん、認知症は神経科や脳神経外科などで調べてもらえます。

どの病院にいったらいいかわからないときには地域の保健所や地域包括支援センターとよばれる介護・福祉・医療などに関する様々な相談を受けてくれる公的なサービスがありますし、認知症疾患医療センターと呼ばれる認知症の専門家がいる病院も各都道府県にあります。

仕事や家事で忙しい40代50代にとって、病院受診はハードルが高いかもしれません。まずは自分の気になってる物忘れについて整理しておく、という意味ではオンラインカウンセリングを受けてみるという選択肢もありますので、この機会に試してみるといいかもしれませんね。

当サイト「悩ミカタ」ではミドル世代(40代50代)の悩みや不安・ストレスについて各分野の専門家/カウンセラーに相談できるオンラインカウンセリングサービス「悩ミカタ相談室」を展開しています。不安な気持ち、1人で抱え込まずにまずはお気軽に相談してみませんか?

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まとめ

40代の激しい物忘れは、年齢以外にも、更年期やストレス、睡眠不足などが原因として考えられます。物忘れと若年性認知症には違いがありますので、自分の症状に合った対策をしていきたいですね。対策としては、質の良い睡眠や生活上のストレスを減らすこと、適度な運動などが効果的かもしれません。

それでも物忘れについて心配なときは、医療機関を受診し、専門医に相談することをおすすめします。この記事に書かれている情報を参考に、ご自身の物忘れと上手に付き合う方法が見つかりますように。

40代50代のお悩み” は専門家に相談しよう「悩ミカタ相談室」

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