倦怠期は多くの夫婦やカップルが経験することで、乗り越え方が気になるのも当然かと思います。倦怠期は、相手への気持ちが冷めたように感じたり、以前ほど魅力を感じなくなることです。倦怠期は必ずしもネガティブなものではありませんし、むしろ、二人の仲を見直し、より深い関係を築くチャンスとなります。この記事では、倦怠期の特徴と原因を押さえながら、乗り越えるために必要な行動について具体的に解説しています。倦怠期を理解し、二人にあった方法をみつけることで、あなたとパートナーの関係がより良いものになるのではないでしょうか。目次を具体的にしていますので、ご自身の知りたいところから読み進めてくださいね。
佐々木ゆりさん
公認心理師、臨床発達心理士。保育士歴は20年。現在は療育スタッフとして発達障害を持つお子さんやその家族と関わっています。発達と保育を軸に、直接支援はもちろん、webライター、保育士になりたい人の支援、保育士さん支援など幅広いキャリアを展開中です。
倦怠期の夫婦やカップルの特徴と原因
倦怠期に入った夫婦やカップルの主な特徴とその原因について取り上げていきます。倦怠期カップルの特徴が見られている、原因に見覚えがあるからといって必ずしも倦怠期とは限りません。ですが、行動を振り返ることは二人のこれからを考えるいいきっかけになることでしょう。一般的な倦怠期の夫婦やカップルに見られる特徴をご説明していきます。
倦怠期の夫婦やカップルに見られる5つの特徴
倦怠期の夫婦やカップルに見られる特徴を5つ取り上げてみました。
・会話が以前にくらべて減った(変わった)
・パートナーを知りたい気持ちが少なくなった
・パートナーよりもやりたいことを優先するようになった
・パートナーに対してイライラした結果、ケンカが増えた
・ときめく場面が減った
これらの行動が増えてきている場合、倦怠期の可能性があります。その一方で、「パートナーを知りたい気持ちが減った」「パートナ-にイライラしている」などの背景には、パートナー以外のことが理由なのかもしれません。「付き合い始めよりも少し変わってきたと思うけど、どう思う?」などパートナーに聞けるといいですね。
倦怠期の原因は大きく3つある
倦怠期の原因は大きく3つあります。
・お互いの存在や状況に慣れてしまっている
・今までと会う頻度が変わった
・将来への不安や価値観の違い
これらは決してネガティブな面だけではなく、お互いがこれからも付き合っていくために必要なポイントでもあります。「慣れたから、居心地が良くなった」「将来の不安があるから、少し聞いてみよう」と前向きに受け止めて、お互いにとって必要な部分は変えていくことが大切です。
倦怠期の定義
倦怠期とは一般的に相手に飽きている期間をいいます。倦怠期はよく知られている言葉ですが、医学的や学術的な定義は特にありません。付き合い始めのような新鮮さがなくなる状態で、パートナーに対してドキドキしないことから、パートナーに魅力を感じにくくなっているとされています。また倦怠期が定期的にくるカップルから倦怠期がまったくないカップルもいるため、個人差・カップル差が大きいものでもあります。
倦怠期が来るタイミングや期間とは?
付き合っていく中で、倦怠期があるカップルとそうでないカップルがいます。自分たちがどちらのタイプなのか、倦怠期が来るタイミングや期間がわかっていれば、見通しを持って過ごせる人もいらっしゃるかもしれませんね。ここでは一般的に言われている時期をご紹介していきます。
倦怠期が来るタイミング3選
・交際3ヶ月目の壁
・半年から1年の転換期
・3年目の岐路
それぞれのタイミングの理由として「付き合い始めよりもパートナーのことがわかってきているから」「一通りの季節イベントが終わってマンネリ化しているから」「今後のことを繰り返し意識するようになったから」などがあげられます。みなさんのケースに当てはまるタイミングがありましたでしょうか。
倦怠期の期間はカップルによってさまざま
倦怠期の期間が1週間で終わってしまうカップルもいれば、半年を超えて倦怠期が続いているカップルもいます。いったい何が違うのでしょうか。倦怠期の期間は、お互いが何を求めているのか、倦怠期を感じているのが自分だけなのか、双方なのか、といった状況によって様々であることがわかっています。前回のお付き合いでは倦怠期がなかったが、今回は半年もたたずに倦怠期を感じているという場合もあるので、個人の間でも様々です。
その一方で、倦怠期は多くのカップルが経験するものです。深刻に受け止めすぎると、パートナーと歩調がよりあわせにくくなるかもしれません。お互いの関係がより深まるきっかけかもしれないといったポジティブな面も持ち合わせていたいですね。
自分だけが倦怠期…?そんな時の乗り越え方
パートナーの心は見えないものですから、自分だけが倦怠期を感じている場合、とても不安になりますよね。ここでは自分だけが倦怠期を感じている人が試してほしい方法をいくつかご紹介します。
なぜパートナーに飽きているのか分析してみる
パートナーのどんなところに飽きてしまっているのか振り返ってみましょう。
- 自分の投げかけに対し、いつも同じ言葉が返ってくるから
- 姿を見てもなにも感じなくなったから
- パートナーの行動や考え方が悪い意味で気になるから
- 二人のこれからがイメージできないから
- 付き合うことよりも自分がやるべきことがあるから
- 他に気になる存在がいるから
分析した結果、パートナーに原因があるのか、自分の見方が変わったのか、わかりましたでしょうか。「よく原因がわからない」「相手が悪い感じがするけど、具体的にこれといった行動はない気がする」といった方は、自分の状況を整理するために、オンラインカウンセリングを使ってみてはいかがでしょうか?
カウンセリングというと、病気ではないかといったかなり深刻な状況を考えるかもしれませんが、自分の思考や状況を整理する手段でもあります。夫婦関係やパートナー問題を専門的に扱うカウンセラーとの対話は、自分だけで考えるよりも深堀できることでしょう。
なお「悩ミカタ」は幅広い専門家が揃っているオンラインカウンセリングサービスです。専門家を選べますし、自分の受けたい方法(電話・オンライン対面・メッセージ)でのお話が可能です。まずはどんな専門家がいるか調べてみましょう。
自分の状況をパートナーに説明しておく
自分がどういった感情をパートナーにもっているのか伝えると、相手へのリスペクトになります。
例えば…
・「今、仕事のプロジェクトが進んでいて、なんとなく頭の中で意識しちゃうみたい。でもこれからもお付き合いは続けていきたいから、あなたから声をかけてほしい」
・「付き合って半年、デートもそろそろ変えたいなと思っているんだけどどう思う?」
・「あなたとのやりとりが少し冷たいなと思っていて。前みたいに丁寧に伝えてくれると嬉しいな」
といったような言葉かけをしてみてはいかがでしょうか。
大切なのはパートナーにも立場や気持ちがあるということ。一方的に自分のことを押し付けるのではなく、お互いを尊重していることを伝えられるとよいですね。
二人で新しい体験をするきっかけをつくる
人間は危険な行動をする時、ドキドキしますよね? その時、そばにいる人を好きになってしまう現象を「吊り橋効果」といいます。アメリカのダットンとアーロンという学者が1974年に発見した心理的な現象です。危ない吊り橋ではなくても、これまで感じたことのない気持ちを二人で共有すると、新しい視点につながる可能性があります。ぜひ勇気を出して、二人が経験したことのないことにチャレンジしてみましょう。
パートナーだけが倦怠期…?そんな時の乗り越え方
こちらは自分に飽きている様子をパートナーが見せている時の対処法になります。パートナーの本心がまだわからない場合、もしかしたらパートナーは倦怠期だと思っていない可能性もあります。パートナーをただ疑うのではなく、これから良い関係でいられるように自分からできる工夫をお伝えしますね。
パートナーの立場になって関係を分析する
パートナーがどのような性格で、どういったことが好きなのかは、少しずつわかってきていると思います。付き合い始めの時にはわからなかったことがお互いわかるようになってきている今、パートナーにとって自分の何が飽きてしまう原因なのか分析してみましょう。
・パートナーは新しいことやチャレンジが好きなタイプなのに、自分は保守的なタイプで自分に合わせてくれていたかもしれない
・最近、仕事や身内に大きな変化があった
・実は細かいやりとりができるタイプではなく、悟ってほしい人だった
・再会までの期間が短いので、話題が同じになりやすい
・最近、会話というよりパートナーにお願いごとが多かった
「自分に飽きている」のか「状況にあきているのか」「そもそも予想とは異なる人だったのか」で対策は異なります。次は、パートナーを問い詰めるのではなく、以下の方法で確認していきます。
パートナーに寄り添う姿を見せる
人間は様々、いろいろな状況や考え方を抱えています。パートナーも自分のことを大切にしてくれる人であれば、お付き合いを続けていきたいと思うのではないでしょうか。言葉で伝える際には具体的なエピソードを添えると、パートナーに気持ちが伝わるかもしれませんね。
「わたしにいつもあわせてくれて、ありがとう。でも、あなたがつまらないことは教えてほしいな」
「最近、会話が少なくなった気がするけど、もしかして前よりも今のほうが居心地がいいかからなのかな?」
「忙しいのにメッセージしてくれるのとても嬉しい。これからも短くていいから、返信がほしいです」
などと言葉で伝えるのが苦手な人もいらっしゃるかもしれませんね。
ただどんなに短い言葉でも、何も言わないよりかはパートナーに伝わります。倦怠期を乗り越えるためにも、少し勇気を出して伝えていけるといいですね。
新しい自分磨きにチャレンジする
ここで取り上げる「自分磨き」は外見だけでなく、内面的なものも含まれます。また倦怠期の対策としての自分磨きなので、パートナーとの時間をものすごく減らすような取り組みはあまり効果がないかもしれません。意外性や新鮮さを意識して、新しい自分磨きにチャレンジしてみましょう。
【取り組みやすい自分磨きの例】
・ファッションを変えてみる
・体を動かして、体型を整える(ダイエットなど)
・パートナーの趣味を一緒に始めてみる
・断捨離をして、居心地のいい空間を作る
・パートナーも興味を持ちそうなイベントに参加する
自分磨きを「次の相手を探そうとしているのでは?」「すでに新しい相手がいるのか」とパートナーに思われては元も子もありません。「最近これをはじめてみたんだけど、どうかな?」などパートナーへのやりとりは忘れずにしていきたいものですね。
一緒に暮らす夫婦や同棲カップルの倦怠期の乗り越え方
一緒にいる時間が長い夫婦や同棲カップルにとって、倦怠期は身近な存在かもしれません。ここで今からできる具体的な乗り越え方をご紹介していきます。
普段の関わりにもう少し思いやりを持ってみる
一緒にいるからこそ、何も言わなくてもいい、と思っていませんか? だれでも褒めてもらったり、感謝されたりすることは嬉しいものです。「パートナーにだけ言葉をかけるのはちょっと癪にさわるな」と思う人も倦怠期を乗り越えるためにと、最初は割り切ってパートナーを思いやる言葉を使っていきましょう。言葉にするのが難しい人は、パートナーがほしいタイミングでコーヒーを出してみる、いつもしてもらっていることを自分がすると行動で伝えてもいいかもしれません。
お互いの時間と空間を大切にする
パートナーとの距離感は性格などの理由からそれぞれです。付き合い始めの頃は、ずっと一緒にいても苦でなかったかもしれませんが、自分の時間が必要な人も一定数いらっしゃいます。特に一緒に住んでいる場合は、物理的な距離が近くなりがちなので思いやりが必要です。自分はどのような距離感を求めているのか(一日1回は一緒に食事をとる・理由がはっきりしていれば一日中別室で過ごしてもいい、など)、パートナーと確認する機会を設けられるといいですね。
二人で達成したい目標を決めて取り組む
一緒にいることが当たり前の二人なので、達成感や新鮮さがあると倦怠期を感じにくくなるのではないでしょうか。目標を決めて取り組むことは、簡単に達成感を味わうことができますし、またこれまでなかった気持ちになれるかもしれません。小さなことでいいので、チャレンジしてみましょう。パートナーや自分がどれくらい目標に大して本気なのか、もともとストイックな性格なのかどうかすり合わせておくと失敗が少ないですよ。
【二人で目標を決めて取り組むことの例】
・ダイエット
・マラソン大会完走
・一日一捨
・旅行やマイホームのために貯金
・二人で本を月20冊読む
遠距離カップルの倦怠期の乗り越え方
こちらはなかなか会えない遠距離カップルの場合です。住んでいる場所が離れているだけではなく、仕事のシフトがあわない、学業が忙しいといった理由で、もともとこまめに会うことが難しい場合も、遠距離カップルの倦怠期の乗り越え方が参考になるかもしれません。
新しいやりとりを試してみる
遠距離カップルのネックは「会いたい時にすぐ会えないこと」ですよね。それゆえ、いつでもやりとりしやすい方法に頼りがちです。手紙や音声だけの電話といったアナログな方法も試してみましょう。メッセージも頻繁に送るのではなく、「日報」「週報」といった枠をつくってやりとりするのも面白いかもしれません。
オンラインでのデートを楽しむ
オンラインツールが豊富になり、オンラインデートの幅も広がってきています。zoomなどを使ったビデオ対話はもちろん、無料でプレイできるオンラインゲームもあります。通話ツールを繋ぎながら、映画などを同時に見始めるのも感動を共有できておすすめです。ツールの使用に自信がなければ、ぜひパートナーにレクチャーしてもらいましょう。二人ともあまり経験がないのであれば、調べながら使っていくのも新しい思い出になりますよ。
再会を楽しみにする気持ちをキープする
普段会えない二人なのに、再会を楽しみにする気持ちが少なくなってしまうと倦怠期を意識しますよね。以下の再会が楽しみになる工夫を取り入れていきたいですね。例えば以下のようなことが挙げられます。
・長時間の電話を再会まで避ける
・オンラインツールでのやりとりを再会までお休みする
・二人で経験したことがないことを計画しておく
・普段待ち合わせしない場所で待ち合わせてみる
この場合、パートナーに「ちょっとマンネリが心配だから、こんな工夫はどうかな?」と打診しておくのも大切です。理由のある変化は、パートナーも納得しやすいことでしょう。ここでもパートナーへの思いやりが大切なのですね。
倦怠期に避けたい行動とは?
倦怠期を感じている場合、どういったことに気をつけておけばいいのでしょうか。ここでは倦怠期に避けたい行動として4つ取り上げてみました。もしかすると、自分では気づかずに避けたい行動をしているかもしれません。今からでも遅くはありませんので、まずはどんな行動がNGなのかチェックしてみましょう。
他の異性と積極的に関わる
パートナーに飽きているからといって、別の異性との関わりを自分から作っていくことは誤解が生まれますので避けた方がよいでしょう。具体的には、他の異性とデートをしたり、SNSを使って頻繁にやりとりをすることがあげられます。そういった異性と積極的に関わる行動は、これまで積み重ねてきた信頼を裏切っているとパートナーに思われる可能性があるからです。他の異性ではなく、パートナーとの関係を振り返り、コミュニケーションを丁寧にしていくことこそが、倦怠期を乗り越えるきっかけになるはずです。
必要以上にパートナーを詮索する
倦怠期の解消につながるかもしれないと思っていても、パートナーの行動などを常にチェックするのはあまり気持ちのよいものではありません。お互いにとって心地よい距離感を見つけていくことが大切です。こちらの状態もオープンにしながら、パートナーに尋ねていくと誠意が伝わりやすいですよ。
自分からまったく連絡しない
先ほどの「必要以上にパートナーを詮索する」とは反対の行動になりますね。「まったく向こうから連絡をしてこないのは、自分ともう関わりたくない証拠なのでは」と思う人はわりといらっしゃいます。連絡がないと関わる機会が当然減っていきますし、お互い相手を意識することも減っていってしまいます。ほどよい距離感を見つけていくためにも、ぜひ連絡を自分からしてみることは忘れないでくださいね。
一方的に気持ちを押し付ける
倦怠期を感じているからといって、自分の気持ちを一方的に押し付けるのは避けたいものです。パートナーも大切な関係であると感じられなくなりますし、一方的な気持ちの押し付けは吐き出した方(自分)も疲れてしまうのではないでしょうか。「あなたが変わらないから、関係がうまくいかない」と責めるのではなく「わたしはお互い慣れてしまったから関係がうまくいっていないと思っているけど、どう思う?」とパートナーが発言しやすいやりとりを心がけていきましょう。
「でもこのモヤモヤした気持ちや怒りは誰かに言わないと気がすまない」「ずっと気持ちを我慢し続けなくてはいけないの?」と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。気持ちの吐き出し先として、悩みの専門家はこの上ない相談相手です。ただ受け止めてくれるだけでなく、あなたが探している答えがみつかるかもしれません。
「話を聞いてもらうのにお金を払うなんて」とためらうかもしれませんが、プロに聞いてもらうメリットは多く、労力やモヤモヤする期間を短縮できます。初めて利用する人にはコンシェルジュがいる「悩ミカタ」がおすすめです。まずはどのような専門家がいるかチェックしてみましょう。
まとめ
倦怠期は多くの夫婦やカップルが経験する関係の節目で、パートナーへの気持ちが冷めたように感じる時期です。主な特徴として、会話の減少やパートナーへの関心低下、ケンカの増加などが挙げられます。原因は慣れや価値観の違いなどさまざまですが、これは関係を深める機会でもあります。
乗り越え方としては、まず自分たちの状況を分析し、パートナーとオープンに話し合うことが重要です。新しい体験を共有したり、自分磨きにチャレンジするのも効果的です。遠距離カップルや同居カップルなど、状況に応じた対策も必要です。ただし、他の異性と積極的に関わったり、パートナーを過度に詮索するなどの行動は避けましょう。
倦怠期は決してネガティブなものではなく、お互いを理解し合うチャンスと捉えることで、より深い絆を築くことができます。これからの二人が、倦怠期を乗り越えて、より幸せな時間が増えることを願っています。