50代で「離婚」を考える方が増えています。長年連れ添ったパートナーとの関係に悩み、これからの人生を見つめ直す中で、「本当に離婚していいのか?」「離婚したら生活はどうなるのか?」と不安になるのは当然のことです。特に50代は定年や子育ての終わりが見えてくる時期であり、人生の再スタートを切るにも慎重さが求められます。
この記事では、50代の夫婦関係の現状や離婚率、よくある離婚理由、離婚のメリット・デメリット、そして離婚を決断する前にやるべきことや実際の事例まで、幅広くご紹介します。さらに、関係修復の選択肢や第三者への相談についても解説しています。「このまま夫婦でいるべきか、それとも離婚すべきか」と迷っている方にとって、判断の助けとなる内容をお届けします。

恋愛コラムニスト・カウンセラー
上岡史奈さん
探偵歴11年の元女探偵、探偵BAR店長を経て、 離婚、婚活、復縁などの相談を受ける恋愛プロデューサー。女性向けメディアを中心に、恋愛コラムの執筆を多数行っている。
50代の夫婦関係はどういうステージなのか…50代の離婚率

50代の夫婦関係は、一般的に「子育てがひと段落し、夫婦2人の生活に戻る時期」といわれています。定年やセカンドライフを見据えた生活設計を考える年代でもあり、同時にこれまで見過ごしてきた夫婦間のズレや不満が浮き彫りになることも多い時期です。
厚生労働省の統計によれば、離婚件数全体における50代の割合は年々増加傾向にあり、「熟年離婚」という言葉が一般的になるほど、50代で離婚を選ぶ夫婦は少なくありません。令和4年の内閣府の男女共同参画白書によれば、50代男性の13.3%、50代女性の19.4%が離婚経験者※です。
※参照元:令和4年版男女共同参画白書
50代が離婚を考える理由として多いもの

50代になると、人生の後半をどう過ごすかを真剣に考えるようになります。そのなかで、これまで積み重ねてきた夫婦関係に違和感や限界を感じ、「このままでいいのか?」と自問するケースが増えています。ここでは、50代で離婚を考える人に多く見られる3つの理由について解説します。
理由①:子育てが終わり、夫婦だけの時間が増えた
多くの家庭では、50代になると子どもが成人し、親としての役割から少し解放されます。その結果、夫婦だけの生活が再び始まりますが、そこで初めて「会話がない」「一緒にいても楽しくない」といった距離感や違和感に気づく人が多いです。
これまで子ども中心だった生活が終わり、夫婦の関係性の希薄さが浮き彫りになることが、離婚を考える大きなきっかけとなります。
理由②:価値観や人生観のズレが明確になった

50代は、自分の老後やセカンドキャリアについて具体的に考える時期でもあります。そのなかで、パートナーとの価値観や目指す人生の方向性にズレを感じ、「これ以上一緒に生きていけるのか」と疑問を持つようになることがあります。
特に、定年後の生活スタイルやお金の使い方、趣味や人間関係に対する考え方の違いは、ストレスの原因になりやすく、離婚の動機になり得ます。
理由③:長年の我慢や不満が限界に達した

「この人は変わらない」と長年あきらめてきた配偶者への不満が、50代になって限界を迎えることもあります。
例えば、家事や育児への非協力、モラハラ、会話のなさ、経済的な不安など、小さな不満の積み重ねが解消されないまま何十年も続いた結果、「もうこれ以上耐えられない」と離婚を決意するケースが見られます。年齢を重ねたからこそ、「残りの人生は自分らしく生きたい」と思うようになるのです。
50代で離婚するメリットとデメリット
離婚にはメリットとデメリットの両面があります。50代という人生の後半に差し掛かるタイミングでの離婚は、単なる別れではなく「これからの人生をどう生きたいか」という選択にもつながります。 そこでここでは、50代で離婚を決断する前に知っておきたい、主なメリットとデメリットについて解説します。
メリット①:精神的な解放感と自分らしさの回復

家庭内にいるだけで感じるストレスから解放されることで、体調や気分が安定し、心身の健康状態が改善することもあります。特に、相手との関係が冷えきっていたり、モラハラなど精神的な苦痛があった場合は、その解放感は大きなものになります。
メリット②:新たな人生設計ができる
50代で離婚すると、自分の希望に沿った生活を再構築しやすくなります。再就職や趣味、友人関係の再構築、または新たな恋愛など、自分のペースで将来を考えられる環境が整うのも利点です。「人生100年時代」といわれるなかで、50代はまだまだ第二の人生のスタートラインと考えることもできます。
デメリット①:経済的不安がつきまとう

離婚後の生活で最も大きな不安要素が「お金」です。特に専業主婦やパート勤務だった場合、離婚後の収入確保が難しくなることもあります。また、年金分割や財産分与などで一定の取り分があっても、将来にわたって安定した生活を送るためには、再就職や収支計画の見直しが必要になります。
デメリット②:孤独感や社会的なつながりの喪失
離婚後は、一人で過ごす時間が増えることで孤独を感じやすくなります。特に、共通の知人や親戚付き合いが薄れることもあり、精神的に孤立してしまう人も少なくありません。また、世代によっては「離婚=失敗」と捉える価値観も根強く、周囲の目が気になるという声もあります。
離婚を決める前に確認したい・準備したいこと
離婚は感情的な判断だけで決めるものではありません。特に50代という年代では、経済的・精神的な安定も重要であり、離婚後の生活設計をしっかり立てておくことが欠かせません。ここでは、離婚を本格的に決断する前に必ず確認・準備しておきたいポイントを3つ紹介します。
①経済状況を客観的に把握する
離婚後の生活に直結するのが「お金」の問題です。現在の収入・支出、貯蓄額、年金見込み、住宅ローンの有無などを整理し、離婚後に一人で生活を維持できるかを具体的にシミュレーションしておきましょう。
また、財産分与や年金分割などの権利についても確認しておくことが重要です。弁護士やファイナンシャルプランナーに相談することで、より現実的な計画を立てることができます。
②離婚後の住まいや生活環境を考える

離婚後にどこで、どのように暮らすのかという点も大きなポイントです。現在の住居にそのまま住めるのか、新たな住まいが必要なのか、引っ越しが必要であれば費用や手配の準備も必要になります。特に、賃貸物件に住む場合は年齢や収入によって入居審査が厳しくなるケースもあるため、早めの情報収集が重要です。
③心の準備と周囲へのサポート体制を整える

離婚は精神的にも大きな負担を伴います。「本当に離婚するべきか」「感情に流されていないか」と自分自身としっかり向き合いましょう。また、家族や友人に話を聞いてもらう、第三者の専門機関に相談するなど間に人を入れることで、冷静に判断できるようになります。特に、離婚後の孤立を防ぐためにも、サポートしてくれる人や場所の存在を確認しておくことは大切です。
50代で離婚した人や検討した人の事例

50代で離婚を考える方の多くが、「他の人はどうだったのか?失敗しないために事例を知りたい」と感じています。そこでここでは、実際に離婚を経験した、または真剣に離婚を検討した3名のケースを紹介します。どれも架空の事例ですが、現実に即したリアルな背景を元に構成しています。
①専業主婦から離婚を決断したA子さん(58歳)
A子さんは、結婚して30年近く専業主婦として家庭を支えてきました。子どもが独立したのを機に、「これからは自分の人生を大切にしたい」と思うように。しかし夫は家庭を顧みず、長年の不満が積もっていたこともあり、ついに離婚を決意。
ちょうど娘に子どもが産まれ、「孫の面倒を見て欲しいから一緒に住んで欲しい」と申し出てくれたこともあり、それが後押しになりました。その後、年金分割の制度についてもしっかり調べて、生活の基盤を整える準備を進めてから離婚しました。現在は趣味や旅行も楽しみながら、充実した暮らしを送っています。
②夫婦で話し合い、離婚を回避したB夫さん(55歳)
B夫さんは、仕事に打ち込んで家庭を顧みなかった結果、定年を前にしたタイミングで、妻から離婚を切り出されました。
しかし、離婚前にカウンセリングを受け、自分の気持ちを正直に伝えたことで妻の態度にも少しずつ変化が訪れました。「まだ関係を修復できる余地がある」とお互いが気づいてからは修復が進み、現在では、定年後も一緒に趣味を楽しめる関係にまで改善したのです。
離婚の決断をする前に関係修復を目指す方法とは?

離婚は人生の大きな転機ですが、必ずしも「離婚=正解」とは限りません。とくに長年連れ添った50代夫婦の場合、「改善の余地があった」と後悔する声も少なくありません。
まずは感情的にならずに冷静な話し合いを行い、自分の気持ちを素直に伝えることが第一歩です。それでも解決が難しい場合は、夫婦カウンセリングなど第三者の力を借りて客観的に状況を見つめ直しましょう。また、一時的に距離を置くことで、本当の気持ちに気づくこともあります。
第三者を入れて離婚を検討したほうがいいケースとは?

夫婦だけで冷静に話し合うのが難しい場合や、夫婦の関係に力の偏りがあるときは、第三者のサポートが有効です。
たとえば、モラハラや経済的支配などで判断が難しい状況では、専門機関や支援団体に相談することが必要です。また、財産分与や相続など法的に複雑な問題が絡む場合も、弁護士など中立的な立場の専門家を入れることで、スムーズな進行と冷静な判断がしやすくなります。
まとめ

50代での離婚は、人生の再出発を意味する一方で、大きな決断と準備が必要な出来事でもあります。この記事では、50代の夫婦関係の特徴や離婚率、よくある離婚理由、離婚のメリットとデメリット、そして実際の事例や関係修復の方法、第三者の活用まで幅広くご紹介しました。
離婚を考える理由は人それぞれですが、「離婚して本当に後悔しないか?」をじっくり考えることが大切です。感情に流されるのではなく、経済的・精神的・社会的な側面を総合的に見つめ直し、必要であれば第三者の力を借りて判断するのが賢明です。
「人生100年時代」と言われる今、50代の離婚は決して遅すぎる選択ではありません。しかし、自分の今後を豊かにするためには、離婚する・しないのどちらを選ぶにしても、「納得できる選択」をすることが重要です。
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