「配偶者との関係がギクシャクしている」
「努力しても変わってくれない」
そのような不安を抱えている方は少なくありません。修復のために頑張り続けて、心が疲れてしまうこともありますよね。
この記事では、認定心理士の資格を持つ現役カウンセラーの筆者が「夫婦関係の修復におけるきっかけや心の整え方」を解説します。「配偶者との関係をまだ諦めたくない」と悩んでいる方は、ぜひお読みください。
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梅田ミズキさん
認定心理士、サービス介助士。大学で臨床心理学・産業組織心理学・発達心理学などを学び、卒業後は公的施設にて精神疾患の方のケアや介助業務、ご家族の相談対応などに従事しながら、ホームページ掲載用のコラムやミニ新聞を執筆。現在はフリーライターとして独立し、くらしにまつわるエッセイの執筆、臨床心理・発達支援・療育関連のコンテンツ制作および書籍編集に携わりながら、心理カウンセラーも務めている。趣味は読書、映画鑑賞、気まぐれで向かうプチ旅行。
夫婦関係の修復に「疲れた」「難しい」と感じるのはなぜ?
夫婦関係の改善に向けて努力を続けているものの、期待したような変化が見られず心の疲労を感じるのは、とても自然な反応です。なぜ「疲れた」「難しい」と感じるのでしょうか。
自分ばかり頑張っている気がするため
夫婦関係の修復でつらいのは「自分だけが努力しているように感じること」かもしれません。配偶者に変わろうとする様子がないと「なぜ自分ばかり」という思いが強くなり、孤独感や不公平感が蓄積されていきます。
相手なりの考えや事情があるのを理解し、お互いを尊重する姿勢が大切です。しかし「なんだか温度差がある…」という気持ちから、修復への意欲を削いでしまうケースも少なくありません。
修復を試みても変わらない現実に心が折れるため
「話し合いをしても変わらない」「優しく接しても反応がない」といった状況が続くと、努力が無駄に思えて無力感に陥りがちです。特に、長期にわたって関係改善に取り組んできた場合、疲労感は深刻になります。
しかし、変化は目に見えない部分から始まる場合もあります。ときには一歩下がって、違った角度から状況を見つめ直すのも必要です。
夫婦関係を修復するためにできる「小さなきっかけ」6つ
「関係を良好にするための機会がない…」
そのように感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まずは大きな変化を求めるのではなく、日常での小さな行動から関係性を変えていきませんか。
筆者が実際のカウンセラー経験から重要だと感じる、夫婦関係修復への小さなきっかけを6つご紹介します。
- 感情をぶつけず「伝える」を意識する
- 感謝や労いの一言を添える
- 夫婦で共通の行動を取る
- さりげないスキンシップを取り入れる
- お互いに完璧を求めない
- 別居も視野に入れる
感情をぶつけず「伝える」を意識する
長く一緒にいると、つい「○○してくれない」と“直してほしい部分”に目がいきがちです。しかし、“感情的になって相手を責める”ではなく“自分の気持ちを冷静に伝える”に視点を変えるだけで、言葉の印象がガラリと変わります。
たとえば「家事を手伝ってくれない」と責めるより「一緒に家事をしてもらえると助かる」と伝える方が、相手は受け入れやすくなりますよね。伝え方に変えると、相手も身構えずに話を聞きやすく、お互いが歩み寄れる会話につながります。
感謝や労いの一言を添える
関係がギクシャクしていると、相手のよい面を見つけるのが難しくなりがちです。しかし「お疲れさま」「ありがとう」など小さな言葉を意識的に口にすると、お互いの心に変化が生まれます。
仕事から帰ってきた際の「お疲れさま」、家事をしてくれた際の「ありがとう」など、当たり前だと思っていることにも感謝を表してみましょう。最初は気持ちが追いつかなくても、言葉にしていると次第に心も柔らかくなっていきます。
相手も「認められている」と感じ、関係改善への意欲が湧く可能性があります。
夫婦で共通の行動を取る
「いきなり会話を増やすのは難しい」
そんな方は、まずは「一緒にいる時間」を増やしてみてください。以下のような「共通の時間」は、同じ方向を向いているという一体感が生まれやすくなります。
- 一緒に散歩をする
- 同じテレビ番組を見る
- 週末に買い物に行く
- 子どもの行事に一緒に参加する
- 料理を一緒に作る など
たとえ会話がなくても、同じ空間で同じ体験をしたり共通の目標や楽しみを持ったりすると、夫婦としての結束感を取り戻すきっかけになります。
さりげないスキンシップを取り入れる
関係が冷え切っていると、身体的な接触も避けがちでしょう。しかし、人は肌の触れ合いを通じて安心感や愛情を確認する生き物です。スキンシップには、愛情ホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」の分泌を促す効果もあります。
以下のような自然なスキンシップは、心の距離を縮める効果があります。
- 手をつなぐ
- 肩に軽く触れる
- 挨拶のときにハグをする など
ただし、相手が嫌がっている場合、無理強いは禁物です。相手の気持ちを尊重しながら、さりげなく触れ合う機会を作ってみましょう。最初は手をつないで散歩をするなど、自然な形から始めるのがおすすめです。
お互いに完璧を求めない
「理想的な夫・妻」でなければならないという思い込みは、お互いを苦しめる原因になる場合もあります。相手に過度な期待をかけず、同時に「自分自身も完璧でいる必要はない」と受け入れる姿勢が大切です。
相手が家事を完璧にこなせなくても、自分が毎日笑顔でいられなくても、それは人として自然なことといえます。完璧を求めるより、短所や弱さも含めて受け入れることに重きをおくとよいでしょう。
一方で、相手のよい変化を見つけた際は素直に認め、自分の改善点も素直に受け入れる柔軟性を持てると関係性に余裕が生まれます。
別居も視野に入れる
どうしても修復が困難な場合、離婚の前に一度別居を検討するのも選択肢の一つです。物理的な距離を置くと、お互いの存在の大切さを再認識したり、冷静に関係を見つめ直したりできる場合があります。
別居は「関係の終わり」ではなく「お互いに必要な時間と空間を与える手段」です。この期間中に自分自身と向き合い、本当に求めている関係性について考えられます。
ただし、別居には経済的・精神的な負担も伴うため、十分に検討したうえで専門家のアドバイスを受けるのがおすすめです。
実際に修復を試みた人たちの体験談
筆者は、夫婦のお悩みに関するカウンセラーを行っています。カウンセラーで実際にお悩み相談にきたご夫婦の体験談を、一部フィクションも交えて紹介します。
夫婦関係の修復に取り組んだ方の経験からは、ヒントを見つけられるかもしれません。
修復に成功したケース:小さな行動が配偶者を変えた
Aさん(40代女性)は、夫との会話がほとんどない状態が3年間続いていました。ある日、夫が仕事で疲れて帰ってきた際に「お疲れさま」と声をかけることから始めたそうです。
- 最初は反応がなかったものの、毎日続けるうちに「ありがとう」と返してくれるようになった
- その後、夫の好きなコーヒーを入れたり、一緒にニュースを見たりする時間が自然と増えた
6か月後には以前のような夫婦の会話が戻り、現在は良好な関係を築いています。Aさんは「相手を変えようとするのではなく、できる範囲で自分から歩み寄ってよかった」と振り返っています。

「相手を変えようとするより、まず自分から変わる」という小さな積み重ねが相手の心を動かし、よい循環を生み出した例です
修復できなかったケース:自分の人生を見直すきっかけに
Bさん(30代女性)は2年間にわたって夫婦関係の修復に努めましたが、最終的に離婚を選択しました。しかし「この期間の努力は無駄ではなかった」と言います。
- 自分自身の価値観や本当に大切にしたいことが明確になった
- 離婚後は新しい人生に前向きに取り組めた
Bさんは「修復できなかったけれど、努力したからこそ後悔なく次に進めた。自分を大切にすることの意味も理解できた」と語っています。修復がゴールではなく、お互いの幸せが最も重要だと学んだケースです。

自分自身と向き合って真摯に取り組んだからこそ、後悔のない選択や新たな人生への準備ができました
成功・失敗にかかわらず共通していたのは「自分を大切にする姿勢」
成功・失敗にかかわらず、修復に取り組んだ多くの方に共通していたのは「自分を大切にする重要性に気づいたこと」です。相手のことばかり考えて自分を犠牲にするのではなく、自分の感情や需要も大切にしながら関係改善に取り組む姿勢ともいえます。
自分が心身ともに健康であってこそ、相手に対しても余裕を持って関われるものです。「自分軸を持ちつつ相手を思いやる」、このバランスが夫婦関係修復の鍵となると、多くの体験談から見えてきます。
夫婦関係の修復に疲れたときの心の整え方

修復への努力に疲れを感じたときこそ、自分の心を整えるのが大切です。とはいえ「どんなふうにケアすればいいの?」と迷いますよね。
ここでは、夫婦関係の修復に疲れてしまった際の心の整え方を3つご紹介します。
「早く修復しなければ」と焦らない
「早く元通りにしなければ」と焦ると、かえって状況を悪化させる場合があります。「疲れた」と感じる自分を責めずに、まずはいまの気持ちを受け入れることから始めましょう。
夫婦関係の修復への道のりは、人それぞれです。焦りや不安を感じた際には深呼吸をして「自分のペースで進むこと」「いまできること」に集中してみましょう。
ひとりの時間を意識的に作る
夫婦関係の問題に向き合い続けていると、心に余裕がなくなり、冷静な判断ができなくなります。意識的にひとりの時間を確保し、好きに過ごしてリラックスしながら心の余白を取り戻しましょう。
散歩・読書・入浴・音楽鑑賞など、あなたが心地よく感じる時間を大切にしてください。自分を労わると気持ちに余裕が生まれ、また新しい気持ちで夫婦関係と向き合えます。
専門家や第三者への相談を検討する
一人で抱え込まず、カウンセラーや信頼できる友人、家族に相談するのも大切な選択肢です。第三者の客観的な視点からは、見えなくなっている部分に気づくかもしれません。
とはいえ、より的確なのは、あなたの状況をしっかりと分析したうえで助言をしてくれる「夫婦の専門家」です。夫婦カウンセリングや弁護士への相談など、専門的なサポートを受けて効果的な解決策が見つかった方も多くいらっしゃいます。
「直接会ってのカウンセリングはハードルが高く感じる」という方は、オンラインでの相談サービスも利用して孤独感を和らげてみましょう。
当サイト「悩ミカタ」では、ミドル世代(40代50代)の悩みや不安・ストレスについて各分野の専門家/カウンセラーに相談できるオンラインカウンセリングサービス「悩ミカタ相談室」を展開しています。
公認心理師など国家資格を保有する専門家が多く登録しています。つらくて不安な気持ち、1人で抱え込まずにまずはお気軽に相談してみませんか?
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夫婦関係の修復に関するよくある質問
夫婦が別れたほうがいいサインは?
「なんとか修復したい」と感じていても、以下の場合は別れを検討する時期かもしれません。
- 相手からのDVやモラハラがある場合
- お互いの価値観が根本的に違いすぎて歩み寄りが不可能な場合
- どちらか一方が関係修復に全く取り組まない場合 など
また、子どもがいる場合は、両親の不仲が子どもに悪影響を与え続けているかどうかも重要な判断材料です。ただし、これらは一時的な感情ではなく、長期間にわたって継続している状況かどうかが前提になります。
夫婦関係を修復するためにやってはいけないことは?
夫婦関係を修復したい場合は、以下のような行為は避けるべきです。
- 相手を責め続ける
- 過去の失敗を何度も蒸し返す
- 感情的に怒鳴る
- 相手の人格を否定する
- 第三者(子どもや親族)を巻き込んで相手を批判する など
また、相手を無理に変えようとしたり、自分の価値観を押し付けたりするのも逆効果になります。修復にはある程度の時間が必要と受け止め、小さな変化を積み重ねる姿勢が大切です。
冷めていく夫婦の共通点は?
冷めていく夫婦には、主に以下のような共通点が挙げられます。
- お互いに関心を示さない
- 感謝の気持ちを表現しない
- スキンシップが全くなくなる
- 将来について話し合わない
- 相手の話を聞かない など
また、相手のよい面よりも悪い面ばかりに目が向くようになり、一緒にいても楽しさを感じられなくなるのも特徴です。しかし、これらの状況も適切な対応で改善できる可能性があります。
夫婦関係の修復で大切なのは「お互い真摯に向き合う」こと
夫婦関係の修復には、お互いに誠実な気持ちで接するのが重要です。普段なかなか口にできない「ありがとう」の気持ちや相手への思いやりを表現するなど、小さなきっかけが大きな変化をもたらすこともあれば、修復よりも別の道を選ぶのが最良な場合もあります。
どの選択をするにしても、自分自身を大切にするのも忘れないでください。一人で抱え込まず、専門家や信頼できる人に相談しながらできることを少しずつ実践し、お二人らしい良好な関係を築いていくことを願っています。
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