学生時代や社会に出てすぐの頃は、友達がそれなりにいたはずなのに、40代になってみたら、友達と呼べる人が身の回りにいない、そんな悩みを感じていませんか?仕事関係の人としか喋っていない、家族しか話し相手がいない、そんなふうに感じて、寂しくなってしまっているかもしれません。
それはもしかしたら、友人が減ったのは40代という年齢が関係しているかもしれません。ではどうして友人が減ってしまうのか、どうすれば楽しく過ごせるのか、解説していきます。
臨床心理士・公認心理師
aiirococcoさん
公認心理師、臨床心理士として総合病院に勤めています。小児科外来をはじめ、緩和ケアチームやリエゾンなど幅広い年齢層の方の心理支援を行っています。また、webライターとして主に心理系の記事を執筆中。誰かに相談するほどではないけど困ったな、というときに役立つ情報を発信できるよう頑張ります。
40代で「友達がいない」ことに悩みやすい理由
若い頃は、さほど「友達がいない」と悩んだことがない人も、40代になると「友達がいない」という悩みを持つことがあります。普通なら、歳を重ねるごとに友達は増えていくはずなのにと思うと、自分が周りから拒絶されたような気持ちになってしまいますよね。
ただ、もしかしたら、あなたに「友達がいない」のは、あなたのせいではないかもしれません。40代で「友達がいない」ことに悩みやすい理由は何なのでしょうか?
①背負うものが多く、忙しい毎日を生きているから
40代というと、仕事では中堅どころとなり、責任も仕事量も増える時期です。残業が多かったり、休日も出勤しないと仕事が回らなくなってしまう人もいるでしょう。毎日が、仕事一色で終わってしまうなんて人もいるのではないでしょうか。
また家庭を持つ人は、子どもが成長し、習い事や部活動などを始める時期に入ってきます。子どもの予定に振り回されて、休みらしき休みが取れていないという人も多いでしょう。そういうふうに背負うものが多く、忙しい毎日を生きているため、友達に会おうという時間とエネルギーが湧いてこないのが40代ではないでしょうか。
②話が合わなくなっていると感じるから
40代というと、結婚した人、子どもがいる人、独身のままの人という感じで、ライフスタイルの分岐がおよそ確定した形になりがちです。大学時代は共通の話題が多く、会って喋っても楽しかったのに、40代になってみると、話の合わなさを感じてしまうことはあるでしょう。
金銭感覚や、休日の過ごし方などもまったく違い、お互いに距離を感じてしまうこともあるのではないでしょうか。そのせいで、少しずつ会う頻度が減っていき、自然消滅的な形で疎遠になることもあります。
③体力がない
20代の頃は、残業した後でも友達と飲みに出掛けて、翌日も仕事に行くなど無茶な遊び方ができたかもしれません。でも40代になると、なかなかそうはいかないのではないでしょうか。仕事が遅くなれば、早く帰って寝たいと思うでしょう。
休日に会うにしても、翌日の仕事が気になってしまい、遅くまでは遊べないかもしれません。また遠方にいる友人に会うとなると、移動距離も長く、面倒くささが先立ってしまうのではないでしょうか。
④転勤や結婚による引っ越しで距離が離れるから
自分自身の転勤や、結婚相手の転勤によって、遠方への引っ越しを余儀なくされる人もいるでしょう。地元や大学生時代を過ごした土地であれば、それなりに友達も残っているかもしれませんが、見知らぬ土地となると、そうはいきません。
時々連絡は取り合っていたとしても、会うことが難しいとなると、だんだんと疎遠になっていったりもするでしょう。友達ではあるけれども、ほとんど会うことはない友達、そういう関係の人はたくさんいるという40代も多いかもしれません。
⑤友達ができる場に属していないから
例えば、習い事やサークル活動、趣味の集まりなど、友達ができるような場所に積極的に参加している40代は少ないのではないでしょうか。学生時代であれば、同じクラスや部活、サークルなどで自然と友人が増えていったはずです。
職場で友達ができる人もいますが、仕事とプライベートは分けたい人もいるでしょう。また、コロナ禍以降、学校の行事も減り、ママ友と呼べるような友人を作ることも難しくなってきました。そういう意味では、積極的に自分で動かない限り、友達を作ること自体が難しいのかもしれません。
⑥必要性を感じていないから
仕事に行けば、同僚と楽しくお話ができ、家に帰れば家族が居て話し相手がいるという人は、友達という存在の必要性をあまり感じていないかもしれません。ふとした時に、友達がいないと寂しく感じることはあるかもしれませんが、普段はそれほど深刻に悩んだりしていない場合もあるでしょう。
実際、話し相手がそばにいれば、さほど寂しさのようなものは感じないはずです。そのため、積極的に友達を作ろうとする意欲が湧いてこないのではないでしょうか。元々消極的な人は、頑張って知らない人に声をかけて友達になるという過程を踏んでまで、友達を作りたいとは思わないでしょう。
友達がいないことで心に抱えやすい悩みとは?
友達がいなくても問題はない、そう思える時もあれば、そうは思えない時もあるでしょう。友達がいないことで、心に抱えやすい悩みに関して、心理相談の現場で、よく耳にする具体的なケースをご紹介します。
①本当はあまり仲が良くなかったのではないか
友達とだんだん疎遠になっていくに従って、こういう悩みを感じる人がいます。自分にとっては友達だったけど、相手にとってはそうでもなかったのかもしれないと思ったりして落ち込んでしまうこともあるでしょう。
前は時々あったお誘いがなくなり、こちらから勇気を出して誘ってみても都合が合わず断られということを繰り返すうちに、本当は嫌われているのではないか、面倒に思われていたのではないかとネガティブな考えに取り込まれていってしまうそうです。
②家族しか話し相手がいない
友達がいないことで、気づけば家族しか話し相手がいない状態になったと悩む人もいます。その家族も、あまり話を聞いてはくれず、心の中に話したいことだけどんどん積もっていってしまい、孤独感を感じてしまうそうです。
特におしゃべりをすることで気分転換を図る傾向が強い女性は、こういった悩みを持ちやすいかもしれません。 家族のことに一生懸命になっているうちに、友達がどんどん疎遠になっていってしまい、ふとした時に友達と呼べるような存在がいない身近にいないことに気づいて虚無感を感じてしまいます。
③友達の家族に遠慮してしまう
友達はいるけど、相手が結婚したことで誘うことのハードルが一気に上がってしまったと悩む人もいます。休日はもちろんのこと、平日の夜なども誘いづらく、だんだんと疎遠になっていってしまうそうです。
相手からの誘いもないため、いつどういうタイミングで誘えばいいかもわからず、そうこうしている間に時間的な距離がどんどん空いていってしまいます。会いたい時に、ぱっと連絡して会えるような気楽な関係ではなくなってしまったように感じてしまいます。
④悩んだ時に話せる人がいない
子育てのこと、仕事のこと、夫婦関係のことなど少し悩んでしまった時に、話せる相手がいないという悩みを感じる人もいます。そういう時、学生時代なら友達を呼んで話したりするのが当たり前だったのではないでしょうか。
ちょっと話がしたい、悩み事を聞いて欲しいと思っても、誰を誘えばいいのか頭に浮かんで来ず、余計に落ち込んでしまったという場合もあります。そして孤独感を感じてしまうのです。
⑤孤独な老後になる不安
友達がいない、このままいけば孤独な老後を過ごすことになるのではないかという悩みを感じる人もいます。独身の人はもちろんのこと、結婚していても離婚や死別で伴侶を失うことだってあります。
そういう時に、友達がいないと孤独になるのではと不安を感じてしまう人も多いでしょう。友達がいれば、一緒に旅行に出かけたり、食事をしたりと楽しく過ごすこともできるかもしれません。そう思うと、余計に今の友達のいない状態が恐ろしく感じられてしまうのです。
⑥自己肯定感が下がる
友達がいないと感じると、急激に自己肯定感の低下を感じてしまう人もいるでしょう。必要とされない人なのではないか、面白みがない人間なのではないかなどと悶々と考えてしまい、自分はダメな人だと思ってしまうのです。
友達がいないということが、自分の価値を下げることのように思えてしまうのではないでしょうか。それは学生時代に、ひとりぼっちが怖かったのと同じ心理でしょう。周りに友達の多い同年代の人がいたりすると、余計に自分と比較して落ち込んでしまうのかもしれません。
40代での友達の作り方
40代になると友達がいないと感じてしまう理由はわかったけれども、それでも友達が欲しいと感じる人もいるでしょう。具体的なケースで挙げたような内容の悩みを持っている人もいるかもしれません。
実際に40代であっても友達がたくさん居る人もいます。もし、あなたが友達がいることで、毎日がもっと楽しくなるのではと思うのであれば、挑戦してみる価値はあるかもしれません。
①過去の友人に連絡をしてみる
今から新しい友達を作るのもいいですが、過去の友人に連絡をしてみることは、一番手軽でお勧めです。学生時代にとても仲が良かったけれども、疎遠になってしまっている人に、ぜひ連絡を取ってみてください。
あなたが想像する以上に、相手は喜んでくれますし、久しぶりで話も弾むはずです。今の生活が全然違っていて共通の話題がないと思うかもしれませんが、思い出話だけでも、相当楽しめるものですし、近況報告もいい刺激になります。
②仕事仲間との関係を深めてみる
新しく友達を作りたいのであれば、仕事仲間との関係を深めてみるのもお勧めです。趣味が合う人がいれば、一緒に出かけてみるのもいいでしょう。自分のプライベートなことを話すことで、相手も心を開きやすくなります。
そもそも同じ仕事をしているので、共通の話題はあるでしょうし、趣味や気が合えば、きっといい友達になれるはずです。年齢問わず、自分に合いそうな人を探してみるのもいいかもしれません。
③習い事を始めてみる
友達を作りたいのであれば、習い事はいいかもしれません。ひとりでやるものよりも集団でやるものがいいでしょう。サークル的な集まりに参加するのもいいでしょうし、グループ受講に参加するのも良さそうです。
趣味の合う人たちですので、自然と打ち解けやすいのではないでしょうか。もし合わないと感じれば、別の習い事にシフトすればいいので、あまり気おわずに体験から始めてみるといいかもしれません。
④オンライン飲み会をやってみる
仕事や結婚の都合で、友達と距離が離れてしまっている人は、オンライン飲み会などをやってみるのもいいかもしれません。数人でもいいですし、複数人に声をかけて、その時に参加できる人だけでやるのもいいでしょう。
顔を見て話をすれば、自分にも友達がいたと思えるはずです。距離と時間が空くと、どうしても心の距離も空いてしまいますが、過去に友達だった人とは話せばすぐ距離が元通りになるはずです。
⑤SNS上の友達をつくる
SNS上であっても友達は友達です。ブログを通して繋がりを作っていったりする人も、意外と多いでしょう。自分の好きなことや、日々のことなど書いていくうちに、同じものを好きな人や、あなたの気持ちに共感できる人が集まってきてくれます。
積極的に誰かに声をかけて仲良くなるのはしんどく感じても、少し受け身でも始められるのがSNSのいいところではないでしょうか。ただし、コメント数が少ないとか、そういうことを気にする人は、やめておいた方がいいかもしれません。逆につらくなる場合があります。
友達がいなくても楽しく過ごすコツ
これを読んでくれている方は、もしかしたら友達がいないから毎日が楽しくないのではないか、と思っているのかもしれません。でも、友達がいなくても毎日を楽しく過ごしている人はたくさんいます。では友達がいなくても楽しく過ごすためには、どうしたらいいのでしょうか。
①趣味をつくる
友達がいなくて寂しいと感じるのは、時間がぽっかりと空いてしまった時かもしれません。何もすることがなく、友達を誘おうと思っても誘う友達がいない、そんな時に友達がいないと感じてしまうのではないでしょうか。
自分が大好きで没頭できる趣味があれば、そういうぽっかりと空いた時間をもっと楽しむことができます。趣味が充実している人は、時間がいくらあっても足りないくらい毎日を楽しんでいるのです。
②行きつけのお店をつくる
飲み屋でも、カフェでもレストランでもいいのですが、行きつけのお店をつくるのはいいかもしれません。そこに行くと、笑顔で迎えられ、たわいない会話が行き交う、そういうお店があれば楽しく過ごすことができそうです。
常連になれば、同じように常連になっている人と言葉を交わすことも出てくるかもしれません。また、しょっちゅう通っているうちに、定位置が決まり、より居心地の良さが出てきたりもするでしょう。家と職場以外に居場所がある、それは毎日を楽しく過ごすためのコツです。
③仕事に燃える
趣味が仕事というくらい、仕事をすることに情熱を燃やす人もいるのではないでしょうか。そういう人は、やはり仕事に燃えることで楽しく過ごすことができます。仕事に生きることは寂しいと感じる人もいるかもしれませんが、何か一つのことに情熱を捧げられるのは素晴らしいことです。
仕事を通しての付き合いも広がりますし、同志と呼べるような仲間も増えたりするでしょう。友達がいなくても、十分に毎日が充実し、楽しく過ごすことができます。退職後のことは退職後に考えればいいのです。
④家族との時間を大切にする
40代となると、この10年くらいのうちに子どもが巣立って夫婦だけになる人も多いでしょう。家族での時間を楽しむことができるのは、人生のうちで今だけかもしれません。家族に時間を取られて、友達と会えないかもしれませんが、家族に時間を使える今を大切にするのもいいのではないでしょうか。
今は家族を優先すると決めてしまうと、意外と気持ちは楽になるものです。子どもに手がかからなくなってきたら、少しずつ友達との関係を取り戻していけばいいかもしれません。家族で、たくさん思い出を作ることが、今の最優先だと割り切ればいいのではないでしょうか。
⑤ペットを飼う
動物が友達になるということは往々にしてあるものです。言葉は通じなくても、心を通わせることはできます。そういう意味で、ペットは友達がいなくても楽しく過ごすためにおすすめの存在です。
好みによりますが、犬であれば、おそらくお散歩に出かけたりするでしょう。犬の散歩をしていると、必ずと言っていいほど同じように犬の散歩している人に出逢います。犬を介して話すうちに、仲良くなるなんてこともあるでしょう。そういうことを抜きにしても、ペットがいることでの心の充実感は大きいです。
⑥今のつながりを大切にする
友達がいないと感じるのは、外に向かってつながりを求めているということでしょう。そのつながりが希薄に感じられて、心許無くなってしまっているのです。つながりは友達だけではありません。家族や親族、同僚、ご近所さんなど色々なつながりがあったりします。
その今の持っているつながりを、ひとつひとつ大切にすることで友達がいないと感じる穴は埋められることがあります。外とのつながりをしっかり感じられれば、不安になることもなく楽しく過ごせるのかもしれません。
まとめ
もしあなたが40代で、友達がいないことに悩んでいるのであれば、とてもいい言葉があります。それは「友達は戻ってくる」です。
私は仕事柄、60代から80代の方とお話しする機会も多く、人生のさまざまなことを教えてもらっています。みんな口を合わせておっしゃるのが「友達は戻ってくる」です。子育てや仕事で忙しかった時には、疎遠になっていた友達が、歳を重ねていってふと手が空いた時に戻ってくるそうです。
今、友達がいなくても、この先のことはわかりません。歳をとってからでも友達はできるかもしれませんし、友達より大事な何かが手に入るかもしれません。大切なのは、今あなたが、どんなふうに毎日を過ごしたいのか、ではないでしょうか。少し積極的に動いて、友達をつくってもいいでしょうし、ひとりで楽しむことを追求してもいいはずです。
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